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電力負荷をオフピークにシフトして節約

蓄電池や熱冷却といったエネルギー貯蔵技術は、電力負荷をオフピーク時間にシフトします。これによって、発電コストと費用のかかる新たなピーク用発電所の必要性が削減されます。カリフォルニア州エネルギー委員会 (CEC) は E3 Consulting社に、消費者と電力会社にとってのこれらの負荷シフト技術の費用対効果を、カリフォルニア州の大規模な電力会社 (Pacific Gas & Electric、Southern California Edison) や他のステークホルダーが評価できるようにするオープンソースモデルを構築するよう依頼しました。

 

チャレンジ

電力コストと費用のかかる発電設備を新たに建設する必要性を削減するための、電力負荷をピークからオフピークにシフトする電力貯蔵技術がいくつか浮上しています。この PLS (Permanent Load Shifting) テクノロジーには、蓄電、蓄熱 (例:日中、建物を冷却するための氷を夜間に作る)、工程のシフトが含まれます。カリフォルニア州公益事業委員会 (CPUC) はEnergy and Environmental Economics, Inc. (E3) とStrateGen Consultingに、CPUC、カリフォルニア州の投資家が所有する大規模電力会社 (PG&E、SCE、SDG &E) 等が PLS の可能性を評価できるようなモデルの作成を依頼しました。コンサルタントは、ステークホルダーとのワークショップ、インタビューや会合といった共同作業を経て、オープンソースツールを開発しました。モデルは、送電網、再生可能エネルギーとの統合、消費者割引など、PLS法の費用対効果を評価するのに必須でした。

 

なぜ Analytica だったのか?

E3 社は、モデル構造と仮定を透過的にし、さまざまなステークホルダーが簡単に使用できるモデリングプラットフォームを必要としていました。「Excel の VBA の経験豊富なアナリストであっても、Excel/VBAモデルでは新しいプロジェクトごとにわずかに異なる要件を更新やデバッグをするには時間がかかることがわかりました 。VBAモジュールが複雑になると、文書化やアナリスト間の転送が難しくなりました。最終的に、モデルが VBA に大きく依存するようになると、エネルギー公益事業産業の規制監督と政策展開の中核をなす透明性と公開レビュープロセスのレビューの機会が大幅に制限されます。当社は”恒久的な負荷シフトに関する費用対効果評価” (Permanent Load Shifting Cost-effectiveness Evaluation) で初めて Excel/VBA ではなく Analytica を思い切って選択しましたが、そのことに非常に満足しています」と、シニアコンサルタントの Eric Cutter は言っています。「このプロジェクトの分析範囲を拡大すると決めたとき、Analytica の Intelligent Arrays™ を使うと変更を簡単に行なえて、モデル全体に拡大することができました。Excel と比べて Analytica は驚異的に時間を節約できます」とチームのリード Analyticaモデラーである David Miller は言っています。

 

解決策

E3社は、Analytica を使って、PLSテクノロジーの値を調査するための公に入手できるツールを開発しました。8,760 時間あたりの PLSシステムの影響、顧客の負荷データ、小売電気料金、回避できたコストを入力すると、ツールが PLSテクノロジー期間のコストと利益を見積ります。ユーザーは PLSテクノロジーの耐用年数、(シフト前後の) 顧客の公共料金比率、気候帯、割引率等の重要な条件が調整できる透過的かつ直感的なユーザーインターフェイスを使用することができます。



E3社の PLS 費用対効果フレームワーク用に Analytica インターフェイスをカスタマイズ

「Lumina社からの一日のトレーニングと数時間のサポートを受け、我々はテクノロジー、事例、顧客タイプ、操作プロファイル、料金規定、場所の経済状態をまとめた洗練されたモデルを 1 ヶ月で納品しました。モデルを拡張してテクノロジー、料金、シナリオなどを追加するのは、Excel で行、列、グラフ、VBA の配列を追加するのに比べると非常に簡単でした。モデルに対するステークホルダーからのフィードバックとパブリックなワークショップの結果のプレゼンテーションは圧倒的に肯定的でした」と、E3社のEric Cutter は言っています。David Miller によると「Analytica が特に有用であること証明したのは、電力会社の料金表の分析の部分でした。ブロック率の傾斜、使用時のエネルギーとデマンド料金、危機的ピークの料金レート、特定のレートや電力会社に固有のさまざまなカスタマイズ条件などの特徴があるため、料金は多様かつ複雑です。Excel では、料金の正確なモデリングはすぐに複雑になります。Analytica の影響ダイアグラムインターフェイスを使って、あらゆる料金表に適用できる簡単なルールを採用すると、料金表ごとに必要なカスタマイズを大幅に削減することができました。」

ツールは、グリッドのベネフィットの現在価値などシステム全体の結果と、顧客固有の請求書の節約の両方を予測します。モデルは非常にインタラクティブで、主な前提条件への変更に素早く対応し、主要なアウトプットへの影響を調査します。以下に示すように、視覚的な影響ダイアグラムが表示され、モデルの詳細を調査することができます。

 

 

結果

モデルを使って、負荷シフトが開始する時間や負荷シフトの期間など、入力する条件の変更の影響をインタラクティブに調査することができます。下のグラフのように、新しい PLS費用対効果モデルを使用すると、(15 年のプロジェクトである) PLSテクノロジーのグリッドのベネフィットのライフサイクル値は、PLSシステムが負荷をシフトできる時間数と、負荷シフトが開始する時間によって、ピーク kW あたりの削減は 500 ドルから2500 ドルとなります。



グリッドのベネフィット ($/KW)

PLSツールは料金の節約を顧客に提示します。以下の図は、一般的な料金の 66 シフトプロファイルの料金の節約です。ご覧のように、ベースラインプロファイルのピークはだいたい正午 12 時です。したがって、正午後に開始するシフトではデマンド料金の削減のベネフィットが発生せず、合計費用の節約が小さくなる傾向があります。



料金節約のベネフィット ($/kW) – 一般的なレート

E3社は、PLS Analyticaモデルを使用して、カリフォルニア州の電力市場における電力会社および顧客への PLS の費用効果を評価しました。電力会社はこの結果を使用して、需要レスポンス計画の一部として、PLSプログラムの規模の決定に役立てています。

 

 

著者

David Miller, E3 Eric Cutter, E3

 

参考

このモデルは、Energy, Environmental and Economics Consulting Inc によって構築されたものです。CPUC の調査の詳細について、またオープンソース PLS 費用対効果モデルをダウンロードするにはプロジェクトのWebページをご参照ください。