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論議から合意へ: カルフォルニアの海上石油プラットフォームの廃止

多くの環境問題は、激しい市民論争を引き起こします。カルフォルニアの 27の海上石油プラットフォームの閉鎖方法の問題は、その典型例として出発しました。しかし意外なことに、慎重な分析の後、ひとつの選択肢である「rigs to reefs (油田の切削装置を岩礁に)」は、石油会社や環境問題専門家を含むほとんどの関係者からの支持を得ました。この選択を可能にする法律は、カルフォルニア州議会でほぼ満場一致で可決され、アーノルド・シュワルツェネッガー知事によってサインされました。

 

プロジェクトは Decision Analysis Practice Award で入賞

このプロジェクトは、2014年11月、サンフランシスコの INFORMS MeetingでDecision Analysis Practice Award を獲得しました。この賞は、意義深い決定のための優れた決定分析の適用を表彰します。それは、分析の質とその決定への影響力、そしてその決定のクライアントへの重要性と利益を考慮した、審査員と参加者による評価に基づいています。

これは、Decision Analysis Society(※1) と、Society of Decision Professionals(※2) が共同で後援してます。「カルフォルニアの海上石油プラットフォームの廃止措置のための多属性決定解析」は、Max Henrion (LuminaのCEO) が発表し、Brock Bernstein と Surya Swamy (当時のLuminaのSenior Decision Analyst) が共同執筆しました。

 

チャレンジ

カルフォルニア沿岸の 27の石油プラットフォームは、数十年前の古いもので、生産寿命の終わりに達しています。元のリース契約は、完全に生産をやめた後、取り壊して取り除くことをプラットフォームの運営者に要求していました。プラットフォームは深さ1200フィートに及ぶ大きな構造物です。これらは、現在海洋生物でおおわれており、経済的に価値のあるロックフィッシュ (メバル等) に豊かな生息地を与えています。これらは、アシカや、趣味のダイバーの人達、多くの他の海の生物によってポピュラーな場所になりました。

廃止には、おそらく10億ドルを超える費用がかかるでしょう。また、この生息場所の破壊だけでなく、空気や水への排出を含めて、相当な環境への影響があります。California Ocean Science Trust (OST) は、多分野にまたがるチームに、閉鎖という選択肢の決定分析を使って、関連のある科学的、工学的、経済的、法的問題という広範囲の調査を提供するよう依頼しました。

環境団体、石油会社、漁師、趣味の釣り人やダイバー、様々な州と連邦政府の機関を含めて、関係している最大の範囲の関係者を、研究は考慮に入れなければなりませんでした。これらの人は、撤去のコストや、生物学的生産性、海洋哺乳動物や鳥類、空気や水質、海底への環境の影響、海洋への立ち入り、リース条件の遵守などを懸念しています。

 

なぜ Analytica だったのか?

プロジェクトチームは、不確定要素と感度を調査するため、また利害関係者は仮定とシナリオを調査することができるようにするために、統合した枠組みを示すためのモデリングプラットフォームを必要としていました。彼らはスプレッドシートを検討しましたが、結局は Analytica を選びました。

「Analytica は、分かりやすく、簡単に使用できる環境で、最初の概念モデルから、次第により複雑な数値とシナリオのモデルまでを構築することを可能にした統合した環境を提供しました」とプロジェクトリーダーの Brock Bernstein氏は言いました。

チームのプラットフォームエンジニアである Andy Bressler氏は、コメントしました「多くの二者択一の結果を非常に簡単に調査することを可能にし、量的および質的なシナリオのオプションを簡単に導入するときに、Analytica はユーザーに柔軟性を提供します。」

 

解決策

Lumina は、幅広い廃止の選択肢を評価し、関係者の懸念に対する包括的な処置を提供するために、多属性決定解析のフレームワークを開発しました。彼らは Analyticaで「PLATFORM (プラットフォーム) 」決定ツールとしてこのモデルを作りました。好ましい決定について、インタラクティブに仮定と選択を変えたときの影響を調査することが解析チームと関係者にできるよう、プラットフォームを設計しました。チームは目的と懸念を確認するために関係者と作業し、このインフルエンス・ダイアグラムの中央に示される 8つの属性を構築しました。

チームは、幅広い廃止の選択肢を確認し、そして決定木として構築しました。主要な選択肢は、
1. 最初のリース条件で求められるように、プラットフォームを完全に撤去する、2. 部分的な撤去、残ったパーツを人工魚礁に変える (掘削装置から礁へ) 、3. 現状のままにしておき、風力タービンや他の選択肢のプラットフォームとして再利用する、です。悲しい事に、再生可能エネルギーのためのプラットフォームに化石燃料のこれらの遺物を再利用することは、非実用的であると判明したのです。

それぞれの廃止の選択肢のコスト、生物生産力に対する影響、海洋の利用法、空気放出を見積もるために、「PLATFORM」には量的モデルを含んでいます。このインフルエンス・ダイアグラムはコストモデルの一部を表しています:

これは、モンテカルロシミュレーションを用いて重要な不確定要素をモデル化します — 例えば、累積的な確率の分布として、完全な撤去と部分的な撤去の超過経費の分布を示します。

これは、SMARTS (Simple Multi-Attribute Rating Tool with Swing weights : 関係者が鍵となる特質の相対的重要度の判断に役立つ広く使われている方法) を使用しています。それは廃棄するという選択肢を評価するために、量的、質的な特質を統合されたフレームワークに結合します。それは、提言のためにこれらの重要性と重要な不確定要素の相対的重要性を見極めるための感度分析をサポートします。

このトルネードダイアグラムは、この Platform Harmony への提言のそれぞれの特質のスウィングウェートの変化を表します。最初のリース契約に厳格に従うことに重きをおくことを増やすことによってのみ、好ましい決定が「一部の撤去」から「完全な撤去」に変わることを、これは示しています。また、コストについての不確定要素が、決定にほとんど影響を及ぼさなかったことも示します。

 

施策の結果

研究からの重要な洞察は、「部分的な撤去」または「rigs to reefs (油田の切削装置を岩礁に) 」の選択が、「完全な撤去」に比べ、共にコストと環境への影響を下げるということでした。技術的な貢献は、漁業と大気排出の最初の量的モデルと、撤去コストの最初の確率的な解析が含まれました。

部分的な撤去のための重要な選択肢は、輸送の邪魔をすることを避けるために、プラットフォームを海面下 85フィートでカットすることでした。環境保護団体にとって部分的な撤去を緩和するさらなる選択肢は、石油会社とOcean Conservation Fundの間で部分的な撤去 (潜在的に5億ドル以上) から、コストの削減を共有することでした。

この追加情報で、関係者のほとんどは、「油田の切削装置を岩礁に」を支持しました。カルフォルニア州議会は、ほとんど満場一致で法律 (AB 2503) を可決しました。アーノルド・シュワルツェネッガー知事は、2010年9月にサインしました。最初のプラットフォームの閉鎖は、2015年に始まることになっています。

 

 

著者

プロジェクトチームには、海洋エンジニアリングの専門家の Andy Bressler、生物資源における大気環境の専門家の Peter Cantle、Ecotrust の経済学者の Sarah Kruse博士と Astrid Scholz博士、Occidental College の海洋生物学者の Daniel Pondella博士、Channel Islands National Park の管理者 (引退) の Ian Setnicka も参加していました。

 

クライアント

このプロジェクトは、California Natural Resources Agency のために、California Ocean Protection Council、Chevron Corporation、Ocean Conservancy、Sportfishing Conservancy、United Anglers の支援によって、California Ocean Sciences Trust (Cal OST) から依頼されました。

 

参考