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地下水の化学特性の評価に GWB を活用

国立大学法人 
弘前大学 
北日本新エネルギー研究所
地球熱利用総合工学部門

准教授 井岡聖一郎
(所属は取材当時のものです)

地下水の水質データを用いて Eh-pH 図を簡単に作成できるソフトはないかなあと探したのがきっかけでした。

研究されている内容について教えてください

国立大学法人弘前大学に赴任する前は、地下水の化学特性について、特に地下水の酸化還元状態の評価にする研究を中心に行ってきました。現在は、地熱エネルギー利用の観点から、熱水の水循環や化学特性の評価、また環境への影響、そして熱水の化学特性を利用した地熱貯留層温度の推定に関する研究等を実施しています。特に、熱水の水循環の解明では、キャビティリングダウン分光分析装置 (Picarro 社製 L2120-i) を用いて熱水の酸素、水素の安定同位体比を測定し熱水の起源や涵養標高等についての調査研究を行っています。また、環境への影響に関する研究では、帯水層蓄熱等を行った場合、地下の温度変化に伴う地下水水質への影響に関する研究も実施しています。なお、地下水の酸化還元状態の評価にする研究については、現在では熱水も研究対象に加えて研究を継続しています。

 

分析データは現地に赴いて自分で採取

The Geochemist’s Workbench を使い始めたきっかけは?

私が、The Geochemist’s Workbench を使用するきっかけは、(独) 日本原子力研究開発機構でポスドクをしている時に、地下水の水質データを用いてEh-pH 図を簡単に作成できるソフトはないかなあと探したのがきっかけでした。

 

研究はどのように進められ、データが記録されていますか?

私が所属している地球熱利用総合工学部門では、基本的に研究に必要なデータは自分で現地に赴いて観測や試料の採取を実施し、そして室内での実験や分析により取得しています。取得したデータはすべてではありませんが、Excel ファイルあるいは Text 形式で管理をしています。

これらの研究の中で The Geochemist’s Workbench ではどのようなデータを扱っておられますか?

研究室の分析装置

The Geochemist’s Workbench で扱っているデータは基本的に分析結果です。私が所属している地球熱利用総合工学部門で現在使用している分析装置の中で、分析結果を The Geochemist’s Workbench で扱っているのは、イオンクロマトグラフ (Thermo Fisher Scientific 社製 ICS–1100&21000) 、ICP (PerkinElmer 社製 Optima 7000DV) 、ガスクロマトグラフ (島津製作所製GC–2014) 、紫外可視分光光度計 (HACH 社製DR 6000) 、原子蛍光分光光度計 (PSA 社製Millennium Excalibur) 等です。

 

The Geochemist’s Workbench の用途は何ですか?

基本的には、Eh-pH 図の作成や Log Ksp の算出、そして現在は特に地熱貯留層温度の推定 (Geothermometry) のために、鉱物の飽和指数と温度との関係の図の作成に利用しています。

 

The Geochemist’s Workbench を使って開発されたプログラムを用いた研究成果があればご紹介ください。

Eh–pH 図ではありませんが、解析時に The Geochemist’s Workbench の Rxn を利用してこれまで発表した論文は、以下になります。

 

The Geochemist’s Workbench の使用感、良い点と悪い点は?

もともと、よく利用する Eh-pH 図を作成する際には、色やフォントが選択できるので The Geochemist’s Workbench 使用感には悪い点はなく、また GWB 10.0 になってから、スタートアップの画面がコンパクトにまとまったのが個人的には良かったです。

GWB の全てのプログラムを1箇所にまとめたダッシュボード

 

The Geochemist’s Workbench

どのような研究者の方に勧められる製品ですか?

地下水の化学特性について調査や研究を行っている方々です。特に地下水の分析結果の可視化をできるだけ容易に行いたい場合には有効ではないでしょうか。また、地熱開発において地熱貯留層温度の推定 (Geothermometry) を試みておられる方々にも勧められる製品だと思います。

本事例作成に関し、井岡准教授のご協力に感謝いたします。

 

(インタビュー:2015 年3 月)

※所属・役職はインタビュー時のものです。

 

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