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Tecplot 360 は科学者が流れの剥離をより深く理解するのに役立ちます

Tecplot 360 は、流れの剥離に対する科学者のより深い理解を助け、流れの剥離の正体を探る一世紀に渡る議論に新たな光を投げかけます。

燃料消費と汚染物質の排出をより少なく抑える車両、航空機、燃焼器の設計には、流れがどのように剥離するかをつかむことは必要不可欠です。燃料の消費を減らすには、空気抵抗を減らさなければなりません。汚染物質を減らすには、より効率的に燃料が消費されなければなりません。流れの剥離を掌握することは、どちらの実現にも極めて重要です。

図1は、蓋駆動キャビティ内での不規則な流れの剥離がどのように可視化されるかを示した例です。このプロットは、不規則な流れの剥離における画期的な理論展開を証明しています。このキャビティ内で可視化された流れはベンチマーク問題で、実際の機器を表すものではありませんが、この流れはまさに圧力ポート内の流れ、電子機器の冷却流、コーティング処理での流れのようなキャビティ流に相当します。

「航空機、自動車、トラック、船舶にとって、抗力の低減とそれに付随する燃料消費と汚染物質の減少は非常に重要です。」と、サンディエゴ州立大学航空宇宙工学/工業力学部准教授の Gustaaf Jacobs 博士は述べます。「燃焼器では、流れの剥離は燃料と空気の混合を促進して、燃料消費と汚染物質を減らすという望ましい誘導効果を期待できます。」

Jacobs 准教授は最近の共同研究で、どこで空気力学的な剥離が起こるかを予測する新しい数理計算的な研究成果を生み出し、流体力学分野での一世紀に渡る問題を解決しました。

「(Tecplot 360 の)レイアウトファイルとマクロ機能は、パラメータ研究において同じような可視化が必要な時に特に役に立ちます。マルチフレーム機能も Tecplot 独自のものです。ストリームラインの可視化も、ほとんどの可視化ソフトウェアよりも簡単にできます。」
Dr. Gustaaf Jacobs
サンディエゴ州立大学

研究は、Jacobs 准教授とユナイテッド・テクノロジーズ社の Amit Surana 博士を含む、マサチューセッツ工科大学の George Haller 教授率いる研究チームによって行われました。この結果、流体(気体と液体)の剥離をコントロールする方法へと導く新しい洞察がもたらされ、最終的にはより燃料効率の良い設計が可能になるでしょう。彼らは、計算結果の可視化を通じて複雑な現象をより深く理解するために Tecplot 360 を使用しました。

この理論は、1904年に Ludwig Prandtl によって開発された流れの剥離の発生場所を識別する数学的条件を進展させます。Prandtl の研究には、規則的で理想化された 2D の流れにしか適用されないという重大な制約がありました。この先駆的な研究が行われて以来、Prandtl の規範を実世界の問題、つまり不規則な3Dの流れにまで広げるための熱心な努力が払われてきました。研究チームが Prandtl の条件を不規則な 2D と 3D の流れまで広げるこの画期的な理論を展開するのには 5年以上かかりました。

「この新しい理論は、不規則な 2D / 3D 流れの中における障壁からの流体粒子の剥離の位置と角度を、特別な仮定を必要とせず、実物に基づいて、初めて特定しました。」と Jacobs 氏は述べます。

Jacobs 氏は即座に、グループの研究は、この分野の他の多くの研究者たちによる、流れの剥離の識別基準の開発における重要で著しい進歩の上に成立したと指摘します。

「我々の研究成果は、一世紀以上もの間この問題を研究してきた多くの科学者に支えられています。」と Jacobs 氏は述べます。「つまり、我々はグループが辿り着いた画期的な成果には満足しているが、剥離基準の開発に対する多くの称賛は科学界全体に向けられるべきなのです。」

高次ソルバ-が流れの剥離の謎の解明に役立ちます

Jacobs 氏、Haller 氏、Surana 氏は、インハウスの高次 Navier-Stokes ソルバ-を使用して蓋駆動キャビティ流内の流れを計算しました。彼によると、このソルバ-は不規則な剥離流の高精度な計算に最適とのことです。

「直接数値シミュレーションは実際の実験と同じくらい優れていることが示されました。」と Jacobs 氏は述べます。「この理論は、障壁における速度導関数を必要としますが、それを実験的に評価するのは非常に困難で費用がかかるので、計算でしか実証することができません。そのうえ、低次(低精度)の方法では、正確に高次速度導関数を決定するのは困難です。」

「直接数値シミュレーションは実際の実験と同じくらい優れていることが示されました。」
Dr. Gustaaf Jacobs
サンディエゴ州立大学

乱流の直接数値シミュレーション(Direct Numerical Simulation: DNS)のためのコードは、Jacobs 氏によって開発、実証されました。マルチドメイン法では、構造化されていないメッシュによって、あらゆる複雑な計算領域を重なり合いのない 6面体の部分領域に分割します。各部分領域内では、高次多項式によって解が概算されます。

領域は面データだけによって繋がれており、高度な並列コードへと導く局所的特性をこの手法に与えます。この手法は急激に収束し、高次精度です。この高次ソルバ-は分散と拡散の誤差が小さいのが特徴です。言い換えれば、正確な時間積分のみならず高い空間精度ということになります。この高次精度は、不規則な剥離流のシミュレーションには特に重要です。

Tecplot の可視化は新しい理論の実証に役立ちます

図1 では緑の剥離面が確認できます。白い線で可視化された流体粒子が立方体の蓋駆動キャビティの側壁から剥離した時、それに沿って運ばれる障壁のような役割を果たしています。平均に近い速度で振動する蓋、あるいは頂壁が流れを運んでいます。この振動運動により、キャビティの鋭い角近辺における剥離に特徴づけられる流れは不規則となっています。壁上の剥離面の起源は、壁データのみで剥離位置を特定する新しい剥離理論によって確認されたものです。流体粒子が理論によって予測された位置から剥離することが、高精度な計算と可視化によって検証されています。

Jacobs 氏はこう説明します。「流体粒子剥離の解析は、赤い線によって可視化されている壁上の瞬間的な表面摩擦パターンと、それに対応する瞬間的なストリームラインの剥離の典型的な解析からの革新的なアプローチです。不規則な流れでは、剥離しているストリームラインによって、流れの剥離について判断を誤りかねないような解釈をしがちです。例えば、この振動蓋駆動キャビティのような準周期的な流れでは、流体粒子剥離はストリームライン剥離とはかなり異なるということが、計算と理論によって示されています。剥離しているストリームラインが振動しているのに対して、一般的な感覚には反しているかもしれませんが、流体粒子は固定した曲線から剥離します。」

では、研究者たちはプロットの結果からそのデータについてなにがわかったのでしょうか?「簡単に言えば、準周期的な流れ内の流体粒子は、新しい理論が壁に基づいたデータのみで決定することができる、壁上の安定した剥離ラインから剥離することが、このプロットによって証明されました。」と Jacobs 氏は述べます。「さらに、実際の流体粒子の剥離は、瞬間的な表面摩擦分野でのやや不自然な剥離とは異なることが示されています。」

Jacobs 氏は Tecplot ソフトウェアを 10年間使用しており、その一番の強みはその使いやすさだと思っています。彼はより速くデータを可視化するために、Tecplot のマクロとレイアウトも使用しています。「レイアウトファイルとマクロ機能は、パラメータ研究において同じような可視化が必要な時に特に役に立ちます。」と Jacobs 氏は述べます。「マルチフレーム機能も Tecplot ソフトウェア独自のものです。ストリームラインの可視化も、ほとんどの可視化ソフトウェアよりも簡単にできます。」

Jacobs 氏は他のデータ可視化ツールも使用していますが、彼のグループで行われる数値研究には Tecplot 360 は必要不可欠であると感じています。Tecplot 360 は、組織内のコードで生成された粒子を乗せた流れのアニメーションだけではなく、不規則な流れの 3D 等値面プロットの作成にも使用されます。その結果のプロットは、研究論文やプレゼンテーションに使用されます。大学での Tecplot 360 の主な役割は、研究者が研究結果の物理的性質を理解することを、可視化を通して助けることですが、Jacobs 氏は、このソフトウェアはコードのデバッグにも役立つと付け加えます。