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省エネ船の設計に Tecplot を活用

日本シップヤード株式会社
設計本部基本設計部流力性能グループ
新井 洋 様

 

Tecplot ではマクロ処理や Python との連携といった機能が準備されており、作業の自動化を簡単に構築することができる点に魅力を感じています。

 

現在研究されている内容について教えてください

私たちの会社では貨物や人を運ぶ船の設計を行っています。他の輸送手段に比べて船は大量の貨物を高い輸送効率で運ぶことができるため、長距離貨物輸送の多くは船を用いて行われています。近年では地球環境を保護する目的から GHG の排出量削減・禁止することが求められていますが、船の世界も例外ではありません。船の世界では国際条約によって GHG 排出量の規制や削減目標が定められています。そのため市場では、定められた規制値を満足した経済性の良い省エネ船が望まれています。

私の業務は、より多くの貨物を少ない燃料で早く安全に運べる船の形を設計することです。また、ダクトやフィンといった省エネ付加物の設計も行っています。

 

Tecplot 社製品をどのような場面で使用されていますか?

船の形や省エネ付加物を設計する際に、Tecplot を用いて船の周りの流れを可視化する事でより良い船の検討に役立てています。

船で貨物を輸送する際に消費されるエネルギーの多くは、船が水や空気から受ける抵抗力に打ち勝って前に進むことに使われています。燃料消費の少ない船を設計するためには船が受ける抵抗を小さくする必要があります。船が受ける抵抗力は摩擦抵抗の他に、船が渦を作る事によって生じる粘性圧力抵抗や、水面に波を造ることによって生じる造波抵抗があります。粘性圧力抵抗や造波抵抗は船の形によって大きく変化するので、これらが小さくなるように船の形を決めていきます。さらに、船の後ろに装備されたプロペラに流入する流れを制御することで、エンジンで産み出された動力を効率的に推力に変換することができるので、この点にも気を付けながら船の形を設計していきます。船の形が決まると、CFD を用いて船体周りの流れを解析し、Tecplot を用いて可視化を行います。図 1 に示した船体表面の圧力分布やプロペラに流入する流れの様子、図 2 に示した船の造る波紋を確認しながら船の形を設計していきます。また、図 3 に示すような船の造る渦の位置などを見ながら、省エネ付加物の形状や配置を検討しています。

図 1. 船の後半部における流れの様子

 

図 2. 船の造る波の様子

 

図 3. 船と省エネダクト周りにおける渦の様子

 

Tecplot 社製品を使い始めたきっかけは?

学生時代に研究室の先輩から勧められて使い始めたのがきっかけです。それまでにも他の可視化ソフトをいくつか使用していましたが、流体解析に特化した機能が豊富に準備されている点が使いやすく頻繁に使用するようになりました。会社に入ってからも Tecplot を使用できる環境が整っていましたので、長い間使わせていただいています。

 

Tecplot 社製品の魅力とは?

設計においては可視化結果を参考にしながら船の形を決めていきますので、多くの解析結果に対して簡単に同じ処理を行うことが重要になります。Tecplot ではマクロ処理や Python との連携といった機能が準備されており、作業の自動化を簡単に構築することができる点に魅力を感じています。また、ユーザーインタフェースが分かりやすく、初心者の方でも扱いやすい点も魅力の一つに挙げられます。データ構造と設定の階層が非常にシンプルなので、複雑な操作を行わずに直感的に使用できるのではないかと思います。

 

今後の展望 / 製品機能への要望

近年のハードウェア性能の向上により、短い時間で多くの解析を行えるようになりました。その結果、CFD 解析によって得られる情報量は膨大なものとなっています。手作業でこれらの情報を処理する事は現実的ではありませんから、Tecplot の様々な機能を上手く使うことで効率的に船の周りの流れを把握し、より良い船の設計に活かしていきたいと考えています。

 

 

 

本事例作成に関し、新井様のご協力に感謝いたします。

(インタビュー:2024 年 11 月)

※所属・役職は取材当時のものです。

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