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絶縁診断業務における計測データの
効率化なグラフ化・分析の実現

一般財団法人
電力中央研究所

高橋 俊裕様

絶縁診断業務と研究内容 (担当の業務内容について)

電気を安全かつ効率よく送り届けるためには、送電時のロスを抑える必要があります。この一つのソリューションとして、大きな電力を送る区間については、高い電圧での送電が行われています。高い電圧を安全に取り扱うには、十分な電気絶縁が必要になります。電気絶縁が何らかの原因で破壊されると絶縁破壊事故となり、その場所で電気を送ることができなくなるどころか、その周囲の送電系統にも大きな影響を及ぼし、瞬間的な電圧低下が発生したり、停電が発生したりします。このような事象を防止し、絶縁破壊を未然に捉えるため、絶縁破壊の前兆現象を捉えて絶縁破壊を予知することが期待されています。私の携わっている研究は、特に都市部の地中送電線として多用されている電力ケーブルの絶縁劣化状況を把握して絶縁破壊を未然に防ぐため、絶縁診断技術を確立することにあります。

絶縁破壊の前兆現象は数 mA 〜数十 mA の微小で数ナノ秒〜数マイクロ秒と高速な電気信号を発生させます。これを数十 kV 以上の電圧が常時かかっている送変電設備の内部から検出してその波形などを解析します。このため、高速デジタルオシロスコープが必須となり、このデータを容易に解析できるソフトウェアを長きにわたって探していました。

 

計測機器のバイナリデータとしての処理

このような中、2008年に出会った FlexPro、当時は Version 7 だったかと思いますが、それまでにいろいろ試したソフトウェアの中で唯一、Tektronix 社のオシロスコープのバイナリデータファイルを手間を掛けずに正確に読み込んでくれる市販ソフトであったため、導入を決定しました。他のソフトウェアでも、マクロなどの設定をそれぞれ行えばデータの読み込みは可能ではありますが、ファイル形式を指定するだけで読み込める FlexPro はかなり魅力がありました。

実験では主に Tektronix 社のオシロスコープ (以前は TDS7254、最近では DPO4104 等) を使っています。このデータを簡単に取り込んでグラフに表示し、解析するという操作はとても頻繁に行います。オシロスコープに付属のソフトウェアでアスキーファイルに変換すれば、様々なソフトウェアで読み込むことできますが、作業工数が余分に掛かってきます。また、データポイント数が多いため、アスキーファイルのサイズもかなり大きくなってしまい、扱いにも困ります。その点、FlexPro ではファイル形式を指定するだけで読み込んで、グラフ化も解析も行うことが出来ます。

 

データのグラフ化と確認の容易さ

FlexPro では、前述のように簡単にバイナリデータを読み込んで、グラフに表示できます。絶縁試験では、1つの実験で複数のセンサを使って同時にデータを測定します。これら計測データを比較するために、同じ時間軸に対して複数のデータを並べて表示させる必要があります。FlexPro では、データを選びグラフのタイプを選択するだけで、このようなグラフを描くことが出来ます。

▲ 図:FlexPro で描いたグラフ

また、グラフの表示については、アクティブフォルダという機能を使用しています。測定ケースごとのフォルダに同一タイミングで取得した複数のセンサからのデータを読み込んでおいて、データの名前を揃えておくと、赤色のアクティブフォルダを切り替えるだけで、グラフに表示されるデータを切り替えることができます。この機能のおかげで、いくつも同じグラフを描くことなくデータを確認することができます。また、事象隔離 (Event Isolation) という機能も効果的に使用しています。条件を満たすデータポイントを簡単に抽出できるという機能です。測定データの見せ方として、データを一点ずつ表していくことがあるのですが、すべてのデータを点として描くと、グラフのサイズがとても大きくなってしまいます。小さな値はノイズですからそもそも不要ですし、大きな値でも本当に欲しいのはピークの部分だけです。事象隔離を使ってピークだけをフィルタしておくと、見栄えもよいですし、ポイントを減らしたデータでグラフを書くことで、グラフを文書に貼り付けた時に画像データのサイズを小さくすることができます。事象隔離 (Event Isolation) は GUI から自由に設定でき、使い勝手の良い機能です。

 

簡単な操作による解析

ウェーブレットや STFT といった時間周波数解析も簡単に操作することができます。私の研究では、あまり精緻な解析を必要としていませんが、結果を簡単にグラフとして表示でき、周波数の変化が大きいタイミングや、高い周波数の信号が出ているタイミングを視覚的に確認できることは有効です。業務によってポイント数の多いデータの取り扱いも行うため、最近リリースされた Version 9.1 の 64 bit へのネイティブ対応はとても助かります。

 

計測データのグラフ化作業の効率化

FlexPro Professional は Visual Basic for Applications (VBA) が利用でき、自由度の高いカスタマイズを行うことができるのも魅力の1つです。ヒューリンクスさんには、複数のバイナリデータを読み込んで、データごとにフォルダに分けて、コメントを追加する公式オブジェクトを作成するというマクロのカスタマイズをしてもらいました。また、このマクロに合わせてテンプレート機能を活用する事でマクロでのデータ取り込み、フォルダ作成後、ボタン1つであらかじめ指定した書式のグラフの作成を行うことが可能となりました。現場での調査は、これまでデータ収集するところまでしかできませんでしたが、このマクロとテンプレート機能を活用する事で、現場でも計測データの確認作業をその場で行うことが可能となりそうです。

 

絶縁診断業務の更なる効率化・展開に向けて

将来的には、オシロスコープの制御も含めた自動化を実現したいと考えています。冒頭に述べましたように、私の現在の研究テーマは電力機器の絶縁診断ですが、我々が測定装置等とともに電力機器が設置・使用されている現場に赴いて絶縁診断にかかる各種測定を実施し、それを持ち帰って解析するような流れとしています。これを、送電設備を保守されている方々に、例えば FlexPro を使って自動化したシステムと所定の測定装置を使ってマニュアルに則って絶縁診断にかかる各種データの取得を依頼し、得られたデータとFlexPro により自動生成されたレポートを届けて頂くことで一次的な絶縁診断ができないかと考えています。

 

製品への要望と改善点

FlexPro には3つのグレードがありますが、2番目の Standard と3番目の View の機能の差が大きすぎるように思います。View でもう少し処理ができると助かります。例えば、公式の中で「$オブジェクト名$」と記述するとオブジェクトを参照でる間接演算子 $$ が使えません。これは汎用な公式を作るときにはとても便利なため、残念です。前述したアクティブフォルダを切り替えるショートカットキーがあるとより簡単な操作で使用でき、喜ばれるのではないかと考えます。

 

最後に

同じようなデータから同じ書式のグラフをたくさん描く必要がある方に、FlexPro はお勧めです。描けるグラフのタイプが豊富で、テンプレートから選ぶだけです。また、各メーカーの計測機器のオリジナルデータ、特にバイナリデータをそのままインポートできるのは、汎用ソフトとしては非常に魅力的で、多くの方にお勧めしたいです。

 

本事例作成に関し、電力中央研究所 高橋様のご協力に感謝いたします。

(インタビュー:2013 年12 月)

※所属・役職はインタビュー時のものです。

 

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