ヒューリンクステクニカルサポート
更新日: 22/10/07

SigmaPlot 14.x / 15 における Unicode のサポートについて

SigmaPlot 14.x / 15 では、一定の制限はありますがワークシート、グラフ、レポートを含む各種インターフェースの殆どで Unicode キャラクタがサポートされます。以下のセクションでは、本製品の各種インターフェースにおける Unicode のサポート範囲と制限事項について説明します。詳しくは、本セクションの末尾にあるテクニカルノートをご覧ください。


ワークシート

  行タイトル、列タイトル、および、データセルに幅広な Unicode キャラクタを入力できます。現在使用中のワークシートに、キーボードから直接 Unicode キャラクタを入力するか、または、Windows の Character Map ユーティリティなど他のアプリケーションからコピー&ペーストすると、工場出荷のデフォルトのフォントは Tahoma が指定されていますが、使用するフォントによってはそのキャラクタがサポートされていないことがあり、その場合は、そのキャラクタをあらわす字形やそれに相当する記号を別のフォントから探さなくてはなりません。もし、該当する字形が見つからなかった場合は、そのキャラクタのプレースフォルダーとして矩形のボックスが代わりに挿入されます。Tahoma でサポートされないキャラクタには、Georgian Unicode ブロック (U+10AD U+10FF) などがあります。

  特定のキャラクタが正しく表示されない場合、とりわけ、そのキャラクタを頻繁に使用するような場合は、使用するワークシートのフォントをそのキャラクタが直接サポートされるようなフォントに変更したいと考えるかもしれません。この場合、ワークシートのフォントを変更すると、ワークシート全体のフォントに影響が及ぶ点に注意してください。Tahoma よりも Unicode キャラクタを広くカバーするフォントには、Windows 2016 で廃止予定となった Arial Unicode MS や、フリーウェアフォントの GNU Unifont がありますが、Windows システムに別途インストールする必要があります。

  ワークシートのフォントは通常 Unicode に指定されていますが、そこに非 Unicode フォントのキャラクタを挿入すると、非 Unicode フォントのキャラクターの数値コードが、キャラクタマッピングの異なる Unicode 系のコードに翻訳されるため、うまく表示されないのが普通です。例えば、Symbol フォントの小文字のギリシア文字デルタをあらわす16進数コード 0x64 を選択し、そのキャラクタを Tahoma がフォント指定されたワークシートに挿入すると、その文字の Unicode エンコーディングは U+0064 となるため、小文字の Latin キャラクタ d が表示されることになります。このケースでは恐らくワークシートのフォントは変更したくないでしょうから、Unicode フォントの中から該当するキャラクタを探して、代替フォントとして利用することになります。このワークシートでギリシア文字のデルタを使用するには、Unicode フォントからキャラクタコード U+03B4 を選択して置き換える必要があります。

  ワークシートで Unicode をサポートするもうひとつの方法として、Format text (書式付きテキスト) があります。この機能は、ワークシートのセルを選択状態にして右クリックしてあらわれるメニューから選択できます。書式付きテキストを使えば、Unicode キャラクタを複数使って複数のフォントで表示できるテキストを定義することができます。ここで定義したテキストは、ワークシートには完全に表示されませんが、グラフページで使用するシンボルテキストやラベルの元になるテキストとして使用することで正しく表示されます。


グラフページ

  グラフページのテキストには、グラフタイトル、軸タイトル、目盛りラベル、等高線ラベル、凡例項目といったグラフの一部として、あるいは、独立したテキストオブジェクトとして、Unicode キャラクタを含めることができます。グラフページのデフォルトに指定されているフォントは Arial です。

  テキストオブジェクトの内容を直接または Edit Text ダイアログを使って編集する際は、キーボード、または、コピー&ペーストを使って Unicode キャラクタを入力することができます。もし、入力しようとするキャラクタが現在使用しているフォントでサポートされていない場合、そのキャラクタは矩形のボックスで置き換えられます。このキャラクタを正しく表示させるには、そのキャラクタを選択状態にしたあと、そのキャラクタをサポートするフォントをリストから選択します。これによってそのキャラクタは正しく表示されるはずです。Symbol フォントなどの非 Unicode フォントのキャラクタについても、これと同じ手順で対処できます。

  シンボルテキストとラベルについては、ワークシートに入力された通常テキストまたは書式付きテキストを使用して Unicode キャラクタを表示できます。


レポート

  ワークシートと同じくレポートにも、キーボードや他のアプリケーションからのコピー&ペーストによって広範な Unicode キャラクタを配置することができます。ワークシートと比べたときの大きな違いは、レポートでは複数のフォントがサポートされる点にあります。レポートアイテムをユーザーが手動でノートブックに追加する場合、そのレポートのデフォルトフォントは Arial となります。ユーザーが Analysis プロシージャーを実行したときに作成されるレポートアイテムのデフォルトフォントは Times New Roman となります。

  レポートのテキストカーソルでは、キーボードから直接 Unicode キャラクタを入力したり、コピー&ペーストすることができます。もし、入力しようとするキャラクタが現在使用しているフォントでサポートされていない場合、そのキャラクタをあらわす字形を別のフォントから探さなくてはなりません。もし、該当する字形が見つからなかった場合は、そのキャラクタのプレースフォルダーとして矩形のボックスが代わりに挿入されます。このキャラクタを正しく表示させるには、そのキャラクタを選択状態にしたあと、そのキャラクタをサポートするフォントをリストから選択します。これによってそのキャラクタは正しく表示されるはずです。


グラフのコピー&ペースト、および、エクスポート

  SigmaPlot や OLE オブジェクトやエンハンスド・メタファイルとしてグラフを表示する他のアプリケーションにグラフをコピー&ペーストした場合、そのグラフ内で使用されるテキストオブジェクトの Unicode キャラクタは忠実に再現されます。グラフページの選択範囲またはグラフページ全体を画像ファイルとしてエクスポートする場合、ビットマップフォーマットやエンハンスド・メタファイルとして出力される Unicode テキストの表示に全く問題はありません。Unicode キャラクタのベクトルフォーマットの PDF、EPS、SVG 形式での表示については制約があります。例えば、CJK (Chinese, Japanese, Korean) キャラクタについては正しく表示されません。また、その他の一部の Unicode ブロックのキャラクタについても表示上の問題があります。


統計的検定

  Analysis タブの SigmaPlot パネルにリストされている全ての統計プロシージャーは、非線形回帰 (Nonlinear Regression) を除いて、カテゴリ型データや変数名 (通常は列タイトル) としてあらわされるワークシートの Unicode テキストのデータを処理することができます。Unicode テキストがワークシートに正しく表示されていれば、そのテキストは、一部の例外はありますが、レポートや Result Graph で参照されるときも正しく表示されます。Unicode のサポートに関する詳細につきましては、上記のレポートとグラフページのセクションをご覧ください。ワークシートの Formatted Text を統計データに使用する場合、そのデータのプレーンテキスト部分のみが統計的検定の処理とレポートや Result Graph の出力結果に使用されることになります。


Transform 言語を利用した機能について

  Transform 言語を利用してデータ処理を行う機能としては、User-Defined Transform ダイアログ、Quick Transform ダイアログ、Plot Equation ダイアログ、Nonlinear Regression インターフェースの Regression Wizard, Dynamic Fit Wizard、Global Fit Wizard があります。また、前に説明した SigmaPlot の機能をプログラム的に制御するための各種オートメーションインターフェースを介して Transform 言語を利用したマクロも幾つか同梱されています。

  トランスフォームをコーディングしたり、方程式をコーディングするためのテキスト (非線形回帰や方程式のプロットで使用) の内容は、プログラミング変数や引用文字列を含めて、ASCII キャラクタのみとなります。2つめの制限は、上記に掲げた各トランスフォームインターフェースで使用するインプットデータの内容は、拡張 ASCII (extended ASCII) のみであるという点です。ワークシート内の拡張 ASCII 以外の Unicode キャラクタをトランスフォームのインプットデータとして使用すると、算術計算の関数で通常使用すると欠損値 --- になったり、また、例えば、col(2)=col(1) といった命令で別の場所にコピーするような場合は、? 記号になります。トランスフォームのインプットデータに関するこの制限は、SigmaPlot の次期バージョンで解除される可能性があります。


他のアプリケーションのワークシートデータのインポート、エクスポート、コピー/ペースト

  SigmaPlot の Excel および SPSS とのワークシートデータに関するインポートとエクスポートについては、現在のところASCII までの対応となり Unicode キャラクタはサポートされません。Excel データの SigmaPlot へのコピー&ペーストについても、現時点ではサポートされません。SPSS から SigmaPlot へのコピー&ペーストについてはサポートされます。SigmaPlot から Excel および SPSS へのワークシートデータのコピー&ペーストについては、両方ともサポートされます。


テクニカルノート

  SigmaPlot の Unicode サポートは、Unicode コードスペースの Basic Multilingual Plane (基本多言語面) 内のキャラクタに限定されます。この範囲には、モダンな言語の殆どとシンボルに関する幾つかのカテゴリ (ブロック) が含まれています。基本多言語面のキャラクタを参照するコードポイントの範囲は、16進数の U+0000 U+FFFF であるため、それぞれ 16-bit の値としてあらわされます。この範囲にあるコードポイントの全てにキャラクタが割り当てられている訳ではありません。下位領域 (subrange) の中にはプライベートでの利用やサロゲートキャラクタ (他の多言語面の Unicode 補助キャラクタを指定するために使用するキャラクタ) として確保されているもの、現在の Unicode 標準 (version 9.0) ではまだ割り当てられていないものもあります。