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更新日: 06/02/07

 

完成したグラフを学術誌やウェブに発表する際に必要な準備
(PREPARING YOUR GRAPHS FOR JOURNAL OR WEB PUBLICATION)

ここではユーザーが自身で作成したグラフを、学術誌や他の印刷物に提出するための準備に必要なガイドラインを紹介します。この文書は、SigmaPlotで将来追加される機能「Publication Assistant」を書式化したもので、「Publication Assistant」機能は、このプロセスに沿ってユーザーをガイドするよう開発される予定です。ここでは、図表の投稿規程に沿う適切なファイルを作成するのに必要な情報を提供するのみにとどめます。

この作業は、必ずしも単純なプロセスではありません。画像ファイルに関する形式と用語はもちろん、出版物の図表に必要な条件に関しても一定の知識が必要となります。

投稿用の図表 (Figures) のためのファイル作成

SigmaPlot で作成するグラフの最終目的は出版物での使用です。いまや殆どの出版業者のプリプレス環境はデジタル化されています。このような環境では、所定のフォーマットと属性を備えた画像ファイルが求められます。さらに、出版物や他の印刷物によってそれぞれ条件が異なることも承知しておかねばなりません。

ファイルを作成する前に必要な確認事項

ファイル出力する図表を用意する場合、まず、以下の項目をあらかじめ決定しておくか確認しておく必要があります。これらは (上記の) 出版社による要求です。

  • テキストサイズを含めた図表の最終的なサイズはどれだけか(通常単位はインチ又はミリメートル)。
  • 行間の高さはどれだけか。
  • 適切なタイプフェイス(フォント)を使用しているか。特に EPS (Encapsulated PostScript) ファイルで重要。
  • 最終的な dpi (dots-per-inch 解像度) はどれだけか?

図表作成のステップ

出版物に必要なファイル作成のステップを以下に示します。これらは、出版社によって幾分異なります。

  • 図表の最終的なサイズおよび行間、線の太さを決める。使用する図表はカラーか、グレースケールか、モノクロかも決める。

  • 対応するファイル形式の確認と、最適な形式の選択。推奨するフォーマットを順に以下に示します。

    • SigmaPlot、EPS、TIFF、印刷されたハードコピー(ファイルではありませんが、いまだにこれを好む業者もあります)。
    • SigmaPlot ファイルを直接受けてくれる出版社もありますが、それ以外では EPS か TIFF 又はその両方がほとんどです。

  • 見た目の図表のサイズから、その図がどのくらいで縮尺されるかを決定する。たとえば、グラフが5インチの大きさであったとしても、3.25 インチの大きさで印刷されます。従って、グラフは 3.25/5 倍、すなわち 0.65 倍に縮小されることになります。

  • テキストラベルと線の太さを、SigmaPlot グラフ上で調整する。 たとえば、グラフの見た目のサイズが 0.65 倍に縮小されるとして、テキストのサイズが 10pt でなければならないとすれば、あなたはラベルを少なくとも 15.5pt (10 x 1/0.65) より大きくしなければなりません。 もし、線の太さが 1pt でなければならないとすれば、1.54pt にしなければなりません。

    • そうでなければ、グラフそれ自体を最終的な出版サイズに縮小することができます。
    • SigmaPlot のグラフをリサイズする方法 (Resizing a SigmaPlot Graph) についての Tips をご覧ください。

  • タイプフェイス(フォント)やラベル付け等、出版社の要求に合致するようグラフに修正を加える。

  • グラフフォーマットの設定が完了したら、選択されたファイルを作成しましょう。出力方法を選択する前に目的の図表が選択されているかを(クリックして)確認してください。これで図表が自動的に作成されます。

もし、EPS ファイルを作成する場合、解像度 (dpi) に注意を払う必要はまったくありません。ファイル形式と解像度 (dpi) について関心があるなら、以下の記述をご覧ください。

もし、TIFF 形式を使用しなければならない場合は、それが CMYK-圧縮型の TIFF 形式であることを確認してください。圧縮されていない TIFF ファイルは、サイズが大きいため取扱いに苦労します。また、解像度 (dpi) の計算もする必要があります。

たとえば、最終的な印刷で 600 dpi の解像度が要求される ファイルを作成する場合、画面上のグラフが 0.65 倍に縮小されるときは、ファイルの解像度を 600 dpi に設定してはいけません。この場合は、解像度に 390 dpi (600*0.65) を使用します。このファイルが最終的な印刷サイズに縮小されるとき、最終的な解像度は 600 dpi となります。

DPI について

殆どの人は dpi (ドット・パー・インチ) が何であるかを理解していません。すなわち「dpi」という言葉は非常に誤解を生じやすい用語であるといえるでしょう。dpi は印刷用語です。より正確な表現を使うなら、解像度 (resolution) がベターでしょう。dpi で決定されることは、図表の作成に使用されるピクセル(点)の多さです。 ラスタ化された(点で構成された)図表を縮小すると最終的な dpi を単純に増やすことができます。より小さな空間により多くのピクセルが集まるわけですから、それだけ dpi が増えることになります。

また、殆どの印刷用図表では、グレースケールの図表で 600 dpi 、カラー図表で 300 dpi より高いものは要求されません。よく目にする 1200 dpi という数字は、ハーフトーンを持たないモノクロの図表でしか使われません。もし、あなたが本当に 1200 dpi の図表を作成しなければならないのであれば、出版社に受け取ってもらう前にPhotoshop かそれと同等のソフトを使ってそれを圧縮する必要が出てくるでしょう。一般にこのことは、Photoshop をお持ちで TIFF ファイルを使用する必要がある場合に参考になります。(以下をご覧ください)

TIFF ファイルの後処理

もし、Photoshop を利用できる環境にあるなら、常にファイルの最適化を行ってください。SigmaPlot は、 Photoshop で利用できるような著作権のある高価な圧縮形式を利用することができません。これは、SigmaPlot で作成されたファイルが、LZW 圧縮アルゴリズムを使って保存された Photoshop ファイルとくらべ常に非常にサイズが大きくなることを意味します。SigmaPlot はまた、出力形式に著作権があるモノクロームあるいはグレースケールの TIFF をサポートしていません。

SigmaPlot ファイルを開き、LZW 圧縮と適切なカラーモードを利用してそれを再び保存すると、ファイルサイズに驚くほどの違いが見られます。サイズにして 100分の1程度の縮小も珍しくありません。

  • 図表がカラーの場合は CMYK TIFF のままにしておきます。保存する際は、LZW 圧縮を使用します。
  • 図表がグレースケールの場合は、Image Mode をグレースケールに変更します。
  • 図表がモノクロの場合は、Image Mode を Duotone に変更します。
Photoshop の TIFF オプション

なぜ EPS を使用するのですか?

出版社の多くは、EPS または TIFF 形式でファイルを提出するよう求めます。もし、それらのうちいずれでも良いといわれたら、EPS を常に選ぶようにしましょう。 なぜでしょう?それは、EPS は一般にベクトルフォーマットとして認知されているからです。ベクトルフォーマットでは、画像がピクセルの集まりで構成されているのではなく、線 (lines)、塗りつぶし (fills)、テキスト (text) といった画像の要素を記述する言語でできています。ベクトルフォーマットには「サイズ」という概念がありません。無次元です。つまり、解像度をまったく変更することなく、できるかぎり小さなサイズに縮小可能であり、できるかぎり大きいサイズに拡大可能であることを意味します。ベクトルファイルに関しては、dpi という概念はまったく意味をもちません。

このフォーマットは、サイズの変更によって図表の品質に劣化が生じることがないため、グラフのような図表を扱う場合に最適です。ただし一方で、ベクトルフォーマットのファイルをドキュメントに配置した場合、サイズが合わないことが最初によくおきます。この場合は、最終的な目的のサイズになるよう調整しなければなりません。ベクトルファイルに馴染みのない人にとっては、驚き、苛立ちあるいは困惑を感じるかもしれません。

SigmaPlot がサポートするベクトルフォーマットは、このほかに Windows Metafile フォーマットがあります。

EPS と PostScript フォント

EPS ファイルを受け付けてくれるたいていの出版社であっても、図表内では標準的な Adobe PostScript フォントの使用が要求されることにご注意ください。一般的に要求されるのは、Helvetica、Times、ギリシア文字用 Symbol フォントです。SigmaPlot はプリンタドライバで利用可能なプリンタフォントを自動的に検出し、あなたの使用するプリンタがこれらのフォントを利用できる PostScript プリンタとしてセットされているかをを確かめます。また、ページ上に現れるフォントを正確に見えるようにしたいのであれば、Adobe Type Manager をインストールする必要があります。

WEB へのパブリッシング

他のファイルに加えて、出版社がオンライン版としての出版物も利用できるよう、htm、jnb、jpg ファイルを作成する SigmaPlot の Save as Web Page コマンドの使用をお奨めします。


ヒントとテクニック

  • グローバルチェンジ
    • テキストやラインを変更する必要がある場合、目的のグラフを選択することによってグラフ全体に変更を加えることができます。Format メニューの Line および Text コマンドを使用すると、それらをグローバルに変更することができます。

  • グラフサイズの変更
    • 出版物用のグラフをリサイズする必要がある場合、グラフのサイズを変更する前に、まずフォントや線の太さの設定を OFF にし、これらのオブジェクトの自動スケール機能を OFF にすると良いでしょう。Tool メニューの Option コマンドにある Page タブをクリックし、Graph Objects Resize with Graph オプションのチェックをはずします。グラフを厳密に再スケールするには、Format メニューの Size and Position コマンドを使用します。
      Option ダイアログ Object プロパティダイアログ

  • エクスポートする前にグラフが選択されているかを確認する
    • エクスポートする前に目的のグラフが選択されているかを確認してください。そうしないとグラフの周囲にある不要な空白を含めたページ全体がエクスポートされることになります。

  • 大きなグラフィックを出力する前に充分なディスク容量とメモリーがあるかを確認する
    • 大きなファイルを使う場合、送り先のドライブはもちろん、システムドライブにも、少なくとも 200 メガバイト以上の空き容量が必要となります (スワップ領域と一時ファイルに使用)。仮想メモリを大幅に増やすこともできますが、一般に充分なハードドライブスペースが確保できない場合はこの設定は必ずしも必要ではありません。これらのファイルを作成するには、一定の時間がかかることに注意してください。作成にかかる時間はシステムのスピードとメモリ容量に依存します。