更新日: 14/04/10

準古典的トラジェクトリー分子動力学 (QCT-MD)

Quasiclassical Trajectory Molecular Dynamics (QCT-MD)

QCT-MD は零点運動を古典的シミュレーションを使わずに取り込む費用効率の高い手法です。この機能は、MD シミュレーション中にそれぞれのモードに振動エネルギーを取り込みます。これによって、ポテンシャルエネルギー面のサンプリングがより現実的となり、非調和 (anharmonic) 効果や、ピーク幅などのスペクトル特性をうまく説明できます。QCT-MD は、特に振動効果が重要となる任意のタイプの MD シミュレーション(IR や光電子スペクトルなど)で有効にはたらきます。

上の図は、QCT-MD 光電子スペクトルシミュレーションの基本を説明するものです。まずはじめに、調和振動子のエネルギーに従って初期速度を選択したら、古典的ニュートン力学を使用してこの系を伝播します。次に、軌跡に沿って垂直脱離エネルギー (VDE) を計算し、この VDE の (重み付き) ヒストグラムとして、シミュレーションされたスペクトルを求めます。

以下に示すのはシアン化物の水和クラスタについて光電子スペクトルのシミュレーション結果と実測値を比較したものです。シミュレーション結果のピーク幅と位置は、低温部においても実測値とほぼ一致します。純粋な古典的 MD では、これとは対照的に低温部のピーク幅はゼロ (!) になります。

 

論文:

Q-Chem 4.0 マニュアル:

 

計算例