2. 幾何学的両義性の判断

幾何学の授業を受けると、2つの辺とそれらに挟まれた1つの角によって、1つの三角形が一意的に定まることを学びます。2辺とそれに挟まれていない角では、そうはいきません。もし、ユーザーが2辺とそれに挟まれない角を使って三角形を定義する場合、シンボリック型の幾何学プログラムに期待されることはどのようなことでしょうか?それは、毅然として原則を守り、解の求めを断固拒否することもあるでしょう。さもなくば、冗長になりますが両方の解を提示することもあるでしょう。あるいは、ユーザーの求めに応じて内容を判断し、それにふさわしい解を提示することもあるでしょう。

Geometry Expressions で採用されているのは、描画された内容をその指針とする後者のアプローチです。例えば、以下の図では、2つの三角形 ABC と ADC には、いずれも長さが a と b の辺と、2つの辺には挟まれていない角 θ があります。2つの三角形は、描画内容において ADC は鈍角であるのに対して、ABC は鋭角である点で異なります。Geometry Expressions では、この角度の鋭さと鈍さを使用して問題とされている三角形が区別されます。

2つ目の例として、次の条件を与えたタコを描画する場合、2つの解が考えられます。1つは凸型の形状、もうひとつは凹型の形状です。Geometry Expressions では、この場合も、描画された内容に基づいて問題とされる図形が判断されます。