4. 最適計画の構築

Search オプションと Optimality の判定基準は、それぞれデフォルトで指定されている “Best” と “I” のままで結構です。

注意: デフォルトで指定された内容の、是非に関する画面上の有益な情報を確認してください。このような応答曲面計画では、推奨される最適化の基準として I-optimality が選択されていることに注意してください。最適モデル選択画面については、スクリーンチップス(電球アイコン)をクリックしてください。Design-Expert が Coordinate Exchange と Point Exchange から、どのように “Best” な検索を実行するかについて記述された説明を読むことができます。

 

“Edit Model” ボタンを押して、デフォルトの2次モデルを3次モデルに引き上げます(実験者はこの応答が波型になるだろうと考えたことを思い出してください。デフォルトで指定された2次モデルでは、波型の曲面に適合する期待ができないからです)。

Cubicモデルの指定

 

デフォルトで指定された試行内容は、実験者が希望する試行設定のうち lack of fit(不適合度)と replicates(反復回数)の値が少し高めです。試行回数を制限するために、Lack of fit points の値をデフォルトで指定された 5 から「4」に変更し、また、Replicates(反復回数)についても「4」に減らすことにしましょう。実験者は、これによって計画の堅牢性が低下することを重々承知していますが、実験の試行には相当のコストが掛るため、ここではあえて、試行数を減らす道を選んだ訳です。

Lack of fitとReplicatesの変更

 

“Next” をクリックして応答入力に移ります。応答入力は、デフォルトで指定された一般的な “R1” のままで結構です(この実験の最終結果はここでは確認しません)。続いて、“Finish” をクリックして、制約条件付きプロセス空間の最適計画を構築します。

注意: Design-Expert では、この段階で “bootstrap”(ブートストラップ)と呼ばれる計画点の集合が無作為に選ばれます。この集合は、モデル選択画面で設定した仕様に合致するまで、繰り返し別の点と交換されることになります。

 

最適な計画(実際の内容はブートストラップの無作為化により異なる場合があります)

 

ブートストラップの無作為化により、出来上がる計画はその都度異なるものとなりますが、基本的にはいずれも(あらゆる実用的な用途として)最適なものとなります。続いて、選択された点の内容を確認してみましょう:

現在テーブルには、計画点を識別する形状タイプが表示され、ID でソートされた状態で計画点の一覧が表示されているはずです。ブートストラップの無作為化により、実際の点は以下に示すものと異なる場合があります。

計画割付表に点タイプを表示させIDでソート(実際の内容とは異なる場合があります)

 

注意: 計画の内容をざっと見渡してください。その中で “Vertex” とラベルの付いた点タイプを見てみましょう。(A, B)の値の組み合わせのうち(110, 17)は除外されていますか?そうなっているはずです(この組み合わせだとでんぷんがゲル状になるには、温度が低すぎて、時間が短すぎます)。
P.S. Design-Expert がこの計画をどのように構築したかを確認するには、Design ブランチ下の “Summary” ノードをクリックしてください。

 

これらの因子の組み合わせが3次モデルの適合に充分な情報となり得るかを正確に評価してみましょう。Design の “Evaluation” ノードをクリックしてください。

3次モデルに関する計画の評価

 

指定された計画内容に基づいて、評価する次数に3次がプログラムにより自動的に選択されています。“Results” をクリックして、実験がどの程度うまく計画されたかを確認してみましょう。

計画の評価結果(実際の画面とは異なる場合があります)

 

エイリアスは特に見つかりませんでした:出だしとしては上々です。しかし、検出力統計の値の低さと、各項の統計値にばらつきがあることに驚く人がいるかもしれません。これは、多重線形制約条件の計画では良く起こることです。従って、代わりに FDS(設計空間率)グラフを使用して、このような実験の適正な規模を評価することをお勧めします。これについては、このすぐ後にとりあげます。

 それでは、“Graphs” ボタンをクリックしてみましょう。ここで、応答の標準偏差の大きさが2であれば、実験者が期待する差異であると仮定しましょう。別の言葉で言い換えると、S/N 比が 2 であるということです。左側の FDS Tool にある d に 2 と入力します(“d” は応答の差異 response difference を意味します)。Tab キーをクリックして、標準偏差(“s”)を 1 として、この予測精度の水準を達成する設計空間の割合を見てみましょう。

 

FDS グラフ

FFDSの値はグラフの左側に凡例として示されていますが、この場合、理想的な値は 0.8 以上となります。この計画に問題はありません。

注意: FDS に関する豊富な情報は、スクリーンチップスを使ってワンタッチで表示させることができます。実際にこれを開き、“FDS Graph Tool” と書かれたリンクをクリックしてみてください。

 

Graphs Toolbar にある “Contour” をクリックして、等高線上で計画点がどこに配置されるかをご確認ください(実際に表示されるものとは若干異なる場合があります)。

標準誤差のプロット

 

計画点どうしの間隔は好ましい距離で保たれ、また、反復試行の選択についても道理に適ったものであると考えられます(“2” とラベルのついた四隅の点)。“View” -> “3D Surface” を選択し(または Graphs Toolbar から 3D Surface を選び)、標準誤差の曲面を表示させてみましょう。

標準誤差の応答曲面

 

この計画の場合、標準偏差プロットにおいて比較的平坦な曲面が作成されます。つまり設計空間全体を通して非常に均一な予測精度が得られることになります。

 応答曲面法による最適化計画のチュートリアルは、これで終了です。

注意: この後、何をするかはあなた次第です。Design-Expert が選択する実際の計画点によっては、最大の頂点、辺沿いの点、あるいはその他の地点に、更に数回の試行を追加したくなるかもしれません* 。計画に変更を加えたら、前に戻ってそれを評価します。標準誤差の 3D グラフを表示させ、追加した計画点の位置がどれだけ低くなったかを確認していきます。いずれのケースにおいても、Design-Expert の最適化機能には、ユーザーが指定したモデルの適合に必要な多岐にわたるプロセス条件が用意されており、ユーザーが候補として指定した可能性のある領域で処理を実行できるので、安心して作業を進めることができます。 
* 計画割付表を変更する方法については、一元配置実験(Part2:上級編) で詳しく紹介されています。