原子間距離に基づいて結合をまとめて作図するにはどうすれば良いですか?

原子間に結合を作図するには、Bonds inspector を使います。このペイン内の Minimum bond distance(以下、Bmin) と Maximum bond distance(以下、Bmax) に作図したい結合距離の範囲を代入するのですが、デフォルトでは、2つの原子の半径の和の1.15倍が Bmax に代入されることになっています。

例えば、Teaching コレクション内の Graphite を用いて説明します。

 

Graphite のオリジナルの結合

 

Bonds inspector に移ると Bmin = 0 , Bmax = 2 の結合情報があることが分かります。この結合をいったん非表示にして、C-C 間に新たに結合を加えると、以下のようにオリジナル(Bmax = 2)とは異なる結合パターンが描画されます。

 

2つの原子の半径の和の1.15倍:(1.21+1.21)×1.15 = 2.783 が自動で Bmax に代入

 

ここで、右上の Distances アイコンをクリックして、Distance Explorer 画面を開きます。

Distance Explorer では、原子の位置情報(XYZ座標)に基づく距離が算出されます。これは、2体分布関数(pair-distribution function)に相当するもので、各原子の中心から距離 r の場所に別の原子が見つかる確率がヒストグラムとして表されます。

 

ヒストグラムより指定する結合距離を検討

 

Distance Explorer の Table に表される各原子間の距離 d の値は、原子Aの座標(X1, Y1, Z1)、原子Bの座標(X2, Y2, Z2)とすると、d=√((X1-X2)^2+(Y1-Y2)^2+(Z1-Z2)^2) という計算式で算出されます。

 

Table に表される各原子間の距離 d の値

 

これらの原子間距離の値を見ながら、Bonds inspector の Bmin と Bmax の間隔を決めることができます。

最短距離のみを結合に使用する場合は、Bmax を 2.456 より小さい値にすれば良いことが分かります。

Bmax / Bmin を 3.0 ~ 3.5 にすると以下のようになります。