ORTEP モデルの作成

CrystalMaker は、様々な様式で結晶モデルを表示することができます。ここでは、その中の特殊な例として、ORTEP 図によく似た白黒の熱振動楕円モデルを作成します。

 

CrystalMaker で Cubane 分子をフルカラー (左) および白黒 (右) でモデル化した例

 

CrystalMaker は、その他の可視化プログラムと同じように、モニター解像度とビデオカードの機能を最大限に活かして、写真品質のカラーグラフィックスを作り出します。(CrystalMaker は、それだけでなく、印刷品質の高解像度プリントも可能です。)

そうした見栄えの良いグラフィックスが求められる一方で、時にはシンプルなもの、すなわち構造の本質が分かれば十分な場合もあります。CrystalMaker には、こうしたニーズに応える豊富なオプションを用意しています。

CrystalMaker を使えば、原子、熱振動楕円、化学結合、多面体など、様々な選択が可能です。さらにそれぞれのモデルに対して、カラー、グレースケールの選択ができます。

ここでは有機分子の白黒画像を、Oak Ridge Thermal Ellipsoid Program (ORTEP) のモデルとよく似た熱振動楕円で作成します。これには、あらかじめ用意された Examples コレクション内の Thermal Ellipsoid (Cubane with H spheres) を使って説明します。

1. 白黒画像

まず始めに、Atoms inspector に移り、各原子の Edit Colour から色を選択することで、白黒に変更します。同様に Bonds inspector に移り、色を白黒に変更します。

 

2. 熱振動楕円表示

上のメニューより Model > Ellipsoids を選択することで、原子を熱振動楕円表示に変更することができます。(開いているモデルが熱振動楕円データを持っていない場合は、このコマンドがグレー表示になっていて選択ができません。)

 

3. モデルのオプション

表示スタイルの調整は、Atoms inspector で行います。原子ごとにグループ化されたリストが表示されます。

Atoms inspector には、中空の赤道八分儀楕円体形式の C 原子グループと、中空の球形式の H 原子グループが表示されています。

原子の表示形式である球 (Sphere) 、熱振動楕円 (Ellipsoid) 、多面体 (Polyhedron) に関して、列全体を、あるいは個々の原子の行だけを変更することができます。

  1. Atoms パネルを開く
    まだ開いていない場合は、Atoms inspector に移動してください。

  2. Hollow Equatorial Octant を選択する
    代表の原子の Ellipsoid Style のアイコンをクリックします。するとポップアップメニューが開き、様々なスタイルを選択することができます。2D > Hollow Equatorial Octant を選択すると、アイコンが熱振動楕円に変更されます。

  3. 水素原子を小球で表示
    水素などの軽い原子の場合、熱振動楕円データを無視し、その代わり小球を使ってその位置を表示することがよくあります。Ellipsoid Style のポップアップメニューの一番下にある Plot ellipsoid as sphere にチェックを入れてください。

 

4. 化学結合のスタイル

モデルに表示されている化学結合のスタイルを変更します。先程の熱振動楕円のオプションと同じように変更することができます。

Bonds inspectorパネルを開くと、Plain Cylinder スタイル (白の塗り色) がすべての化学結合に使用されています。
  1. Bondsパネルを開く
    Bonds inspector に移動し、Bonds オプションの設定パネルを開きます。

  2. Default の化学結合スタイルを選択する
    化学結合の Bonds Style のアイコンをクリックします。するとポップアップメニューが開き、様々なスタイルを選択することができます。2D > Plain Cylinder を選択すると、アイコンにスタイルが反映されます。

 

5. Summary

以上で、ORTEP 形式の白黒プロットが完成しました。Transform > Synchronize を使用して、テンプレートにこのスタイルを保存することができます。