Mathematica 14.3 新機能紹介

Mathematica v14.3 がリリースされました!

2025年8月、Mathematica 14.3 がリリースされました。ここでは、一部の新機能をご紹介します。

ダークモードの完全サポート

システムをダークモードに設定すると、バージョン 14.3 ではノートブックがデフォルトで自動的にダークモードで表示されます。

編集 メニューから 環境設定 を開き、インターフェース設定ライトモード/ダークモード で設定を変更することもできます。

AI ワークフローの編成のための LLMGraph の追加

LLMGraph を使用すると、複数の LLM 生成ステップを効率的にスケジューリングして組み合せ、LLM 送信の同時実行を管理しながら最適な評価を行うことができます。

次の例は Wolfram 言語関数を使用してテキストをチャンクに分割し 、要約を行うために LLM 関数を並列実行し、最後に別の LLM 関数を実行してすべてのチャンク要約から単一の要約を作成します。

例えば、アメリカ合衆国憲法に適用すると、下記のような出力を得ることができます。

フィッティング関数の追加

LocalModelFit は、局所多項式回帰 (LOESS) を用いてるノンパラメトリックフィッティング関数です。

KernelModelFit は指定されたカーネル関数を使って局所化されたデータのフィッティングを行います。 デフォルトではカーネルはガウス分布で、その数と幅は自動的に選択されます。

バンド幅を 100 のカーネル数を 20、コーシーカーネルを使ってフィッティングを行います。

地理画像がより美しく

バージョン 14.3 ではマップのスタイルとレンダリングが更新され、よりきれいに表示されるようになりました。

都市レベルでは、道路が目立つようになっています。

夜間の衛星画像も取得できます。

非可換代数の実装

非可換代数を表現し、多項式の演算を行うための複数の関数が追加されました。

NonCommutativeExpand は非可換代数演算を展開します。

NonCommutativeGroebnerBasis は非可換代数上で多項式集合のグレブナー基底を計算します。

ガウス曲率の計算

曲面のガウス曲率を求める RegionGaussianCurvature が追加されました。

領域内の2点間の最小距離

領域内の2点間の最小距離を求める FindShortestCurve が追加されました。

火星の衛星フォボスについて、ランダムな2点間の最短曲線を見つけます。

ShortestCurveDistance を使うと最短距離の長さを求められます。

化学関数

原子あるいは結合が特性値によって色付けられる MoleculeValuePlot が追加されました。

カフェイン分子中の原子の酸化状態は次のようになります。

2 つの分子が 「どの程度類似しているか」 を定量的に測定する MoleculeFeatureDistance が追加されました。

ヒルベルト変換

ヒルベルト変換を求める HilbertTransform が追加されました。

行列分解

4 つの行列分解機能が追加されました。

EigenvalueDecomposition は固有値分解を計算します。

FrobeniusDecomposition は行列のフロベニウス分解を計算します。

PolynomialHermiteDecomposition は行列のエルミート分解を計算します。

PolynomialSmithDecomposition は行列のスミス分解を計算します。

その他にも多くの機能が追加されています。機能の詳細はこちらよりご確認ください。

スティーブン・ウルフラムによるリリース案内でも様々な活用例が紹介されています。 こちら よりご確認ください。