11.2 共クリギング

共クリギングは、二次変量の分布が既知である場合、マップの推定値を改善できる内挿技術です。二次変量 (共変量または Z2 とも言う) は、主変量 Z と同じ位置の標本に加え、それ以外の多数の位置の標本が含まれます。もし、主変量の測定が困難であったり費用がかかるものであったりする場合、共クリギングを使って、主変量の標本をこれ以上増やさずに内挿の推定量を大幅に改善できる可能性があります。

以下の仮説的な事例を考えてみましょう。放射能漏れの後、以下に示す 80 x 80 m の領域に四分位 (quartile) プロットで示されたサンプル密度でプルトニウムが採集されました。隣のマップは、ブロッククリギング (バリオグラフィによる) の結果です:

ウランと同じ位置と、それ以外の追加の 60 地点で、ウランより測定が容易な土壌炭素 (Soil carbon) が以下の四分位マップに示すように採集されました。炭素のプルトニウムに対する回帰分析から (右図)、2つの変量に高い相関があることがわかります。このことから、共クリギングを使ってプルトニウムのマップを改善できることが示唆されます。

炭素を共変量に使ってプルトニウムの共クリギングマップを作成したのが右下のマップです。等高線 (等値線) の境界の違い、とりわけ、ウランの採集が最もまばらであったマップの右上部分に大きな改善が見られる点に注目してください:

このクリギングの推定量は、Z に関する隣接するサンプル位置の距離と Z に関するバリオグラムだけでなく、Z2 に関する隣接するサンプル位置の距離、Z2 に関するバリオグラム、および、Z x Z2 に関する交差バリオグラム (cross-variogram) にも基づいています。これにより、Z と Z2 に十分な相関性があれば、サンプリングされていない地点における Z の推定値がよりロバストな (確固とした) ものになります。

共クリギングを行う前に必要なことは、a) Data WorksheetField Assignment ダイアログで共変量 (Covariate) を定義する、b) 主変量 Z、共変量 Z2 に関するセミバリアンス分析 (バリオグラムモデリングを含む) を実行する、c) 交差変量 Z x Z2 に関するセミバリアンス分析を実行する、です。また、Data Summary – Covariate ウィンドウで共変量が実際に主変量と相関しているかをチェックしたいかもしれません。

3つのバリオグラムのモデル化が済んだら、Interpolation ウィンドウの CoKrig タブを選択できます:

 

 

Search Neighborhood – Covariate

共クリギングにおける共変量 Z2 値の探索方法は、主変量 Z 値に関する探索と異なる場合があります。Search Neighborhood の Covariate タブでは、探索パラメータを主変量 Z と同じにするか、異なるものにするかを指定することができます。選択できるオプションに関する詳細については、Chapter 9 の Search Strategy をご覧ください。