6.2 Autocorrelation ウィンドウ

  1. Autocorrelation ウィンドウ
  2. 等間隔でないラグクラスの定義
  3. Variograms ウィンドウ
  4. Semivariance Values ウィンドウ
  5. Isotropic Variogram Models (等方性バリオグラムモデル)
    1. The Spherical Isotropic Model
    2. The Exponential Isotropic Model
    3. The Linear Isotropic Model
    4. The Gaussian Isotropic Model
  6. Anisotropic Variogram Models (異方性バリオグラムモデル)
    1. The Spherical Anisotropic Model
    2. The Linear Anisotropic Model
    3. The Gaussian Anisotropic Model
  7. Anisotropic Semivariance Surface (2-d Variogram Map)
  8. Cross-Autocorrelation または Cross-Semivariance Analysis

 

Autocorrelation ウィンドウ

Autocorrelation ウィンドウは、バリオグラムの各種オプションを計算したり、その最終結果を表示する場所です。セミバリアンスの定義とラグクラス距離間隔の式については、Semivariance Analysis の概要をご覧ください。

 

Active Lag Distance

Active Lag Distance では、セミバリアンスを計算する範囲を指定します。このフィールドの最小距離は、データセットにおける隣接ポイント間の最小距離となりますが、最大距離はポイント間の最大距離となります。この値を大きくしすぎたり小さくしすぎると、この距離に対して可能な最大値または最小値がそれぞれ割り当てられます。

例えば、1200 m のトランセクト (横断) では、最大ラグは 1200 m になります。Active Lag を 300m に指定すると、バリオグラムは全長 1200m のトランセクトに沿ってラグ間隔が 300m 以下に制限されます。

Active Lag のデフォルトは、User Preferences ダイアログウィンドウの Analysis タブで指定します (Chapter 2 参照)。指定した値がお使いのデータの有効ラグにもっともふさわしいものになることはほとんどありませんが、これから探索するための開始点が提供されることになります。バリオグラムは一般に、最大ラグ間隔に向かうほどラグクラス1つ当たりの対の数が減るため、ラグ間隔が大きいところで分解します。

GS+ では、ラグクラス 100万、1クラス当たり最大10億対まで対応します。

 

Lag Class Distance Interval

Lag Class Distance Interval では、ポイント対をラグクラスに群分けする方法を定義します。バリオグラムの各ポイントは、ひとつのラグクラス、すなわち、ステップサイズとも呼ばれる特定の Lag Class Distance Interval によって分割された対群の平均セミバリアンスをあらわします。この間隔は、GS+ に計算させることも、ユーザーが手動で設定することもできます。GS+ に計算させる場合は、有効ラグの距離は均等に分割されることになります。

 

Anisotropic Axis Orientation

Anisotropy (異方性) とは、データの中の方向に依存する傾向のことです。例えば、山の傾斜に関するデータを2次元グリッドから収集するとしましょう:登りと下りの坂の方向 (upslope-downslope direction) と坂が交差する方向 (cross-slope direction) では標高の自己相関は異なるものにになりますので、等方性 (isotropic) 分析では、現実に存在する自己相関の大部分が隠されてしまう可能性があります。異方性分析を使うと、分析するデータに方向成分があり、それによって予期せぬ因子の変化による影響があるか否かを確認することができます。トランセクトのような1次元データには異方性分析は不向きです。

GS + は、幾何学的な異方性、すなわち方向毎に異なる範囲を持つ複数のバリオグラムとして表現される異方性を評価します。Principal Anisotropic Axis (異方性モデルの Major Axis:主軸) は、範囲が最長の方向、すなわち、空間的連続性が最大の方向です。

異方性を評価する最良の方法は、Anisotropic Semivariance Surface (異方性セミバリアンス表面) を表示して Azimuth (方位) 関数を使用して定義したあと、セミバリアンス値が最小に揃う方向 (空間的連続性が最大の方向、すなわち、異方性バリオグラムモデルの主軸) に Principal Anisotropic Axis を設定することです。このマップは、Semivariance Analysis ウィンドウの下にある Surface コマンドをクリックすることで開くことができます。

 

Principal Axis (degrees N)

Principal Axis は、空間的連続性が最大の方向、すなわち、異方性分析でオフセット角を計算するベースとなる軸です。オフセット角は、ベース軸から時計回りに 0º, 45º, 90º, 135º です。異方性分析のそれぞれの角度に含まれるポイントは、これらの角度のいずれかに十分に近いものになります (後述する Offset Tolerance 参照)。

この軸の方向は、空間的連続性が最大の軸、すなわち、最大の異方性軸と一致します。デフォルトの軸は、南北 (y) 軸から 0º の角度です。適切な軸の値を選択するには、Surface コマンドを使用して Anisotropic Variogram Surface ウィンドウを開きます。

 

Offset Tolerance (degrees)

異方性分析では、Offset Tolerance で任意の2ポイント間に必要となる配置の近さを決定して、与えられたオフセット角の分析に含めるポイントを指定します。2ポイント間の角度がこのオフセット角のオフセット許容範囲 (offset tolerance) に含まれていれば、その2ポイントは与えられたオフセット角の分析に含まれることになります。

例えば、2ポイント間の角度が 59.3º で、オフセット許容範囲 (offset tolerance) が 15.0º であるとすれば、2つのポイントは 30º から 60º の間のすべての角度が含まれる 45º の角度クラスにのみ含まれることになります。デフォルトの許容値は 22.5º に設定されています。

 

Variogram Options

 

等間隔でないラグクラスの定義

必ずしも等間隔でないラグクラスを個別に指定するには、このダイアログウィンドウを使います。目的とする距離間隔クラスの上限をスプレッドシートのセルには指定します。このダイアログに入力した値にかかわらず、最小の限界値は常にゼロ、Active Lag Distance の値が常に上限となります。以下の例では、はじめのクラスは距離単位3で区切られていますが、その後、5, 10, 20 単位で区切られている点に注目してください。

 

Variograms ウィンドウ

Variograms ウィンドウには、編集や印刷が可能なバリオグラムがフルウィンドウで表示されます。各タブには、異方性の向きが異なるバリオグラムがそれぞれ表示されます。また、バリオグラムの作成に使用したセミバリアンスの値を一覧で表示させたり、Variance Cloud Analysis を実行することもできます。Variance Clouds では、バリオグラムを人為的に歪める可能性のある外れ値のポイント対を検出する手段が提供されます。

マウスカーソルを使って、特定のラグクラス内にある対の数を確認したり (ウィンドウの下に表示されます。以下の例では、バリオグラムの2つ目のシンボルにカーソルがあります)、Variance Cloud 分析を実行することができます。また、バリオグラムモデルのパラメータも (もしあれば) グラフの脚注として表示されます。パラメーターを脚注として表示させたくない場合は、Edit Graph コマンドを使用して Graph Settings ダイアログを開き、その Footnote フィールドの記述 “(model results)” を削除する必要があります。

 

 

Semivariance Values ウィンドウ

このワークシートには、ラグクラス、各クラスのポイント対の間隔距離の平均値、および、平均距離とセミバリアンスのベースとなるポイント対の数が一覧表示されます。このワークシートは読み出し専用 (read-only) です。

 

Isotropic Variogram Models (等方性バリオグラムモデル)

バリオグラムは、分離距離 (separation distance) に対するセミバリアンスをあらわすグラフです。自己相関が存在していれば、separation distance が小さいほどセミバリアンスは小さくなります (自己相関が大きくなります)。このグラフは、通常、ナゲット分散 (nugget variance)、シル (sill)、レンジ (range) の3つの項を使ってモデル化される以下に示すような曲線になります。

GS+ には、4タイプの等方性モデルが用意されています。いずれも、3つのパラメータに基づいて記述されます:

GS+ では、5つのモデルの各パラメーターのデフォルト値が計算されます。Isotropic Variogram Model ダイアログウィンドウからこれら3つのモデルパラメータの全てを変更することができます。

 

 

Spherical Isotropic Model

Spherical Isotropic Model (球形モデル) は、2次関数を修正したもので、ポイント対の距離 A0 で自己相関がなくなりセミバリオグラムが漸近線に達します。このモデルで使用する式は以下の通りです:

γ (h) = C0 + C [1.5(h/A0) - 0.5(h/A0) 3 ]

for h ≤ A0

γ (h) = C0 + C

for h > A0

ここで、

 

Exponential Isotropic Model

Exponential Isotropic Model (指数モデル) は、徐々にシルに接近するという点では球形モデルと似ていますが、シルに到達する速度と、このモデルとシルは現実には収束することがないという事実において球形モデルとは異なっています。このモデルで使用する式は以下のとおりです:

γ (h) = C0 + C [1 - exp(-h/A0)]

ここで、

 

Linear Isotropic Model

Linear Isotropic Model (線形モデル) は、バリオグラムを直線であらわすものです。このモデルにはシルがない点に注意してください。レンジ A0 は、以下に示すように任意に定義されます。使用する式は以下の通りです:

γ (h) = C0 + [ h (C/A0) ]

ここで、

 

Gaussian Isotropic Model

Gaussian または Hyperbolic Isotropic Model (ガウスまたは双曲線モデル) は、指数モデルと似ていますが、y 切片が緩やかに上昇すると仮定される点が異なります。このモデルで使用する式は以下の通りです:

γ (h) = C0 + C[1 - exp(-h 2 / A02 )]

ここで、

 

Anisotropic Variogram Models (異方性バリオグラムモデル)

Anisotropic Variogram Models (異方性バリオグラムモデル) は、等方性バリオグラムと似ていますが、レンジパラメータに方向に関する情報が含まれる点が異なります。GS + では、幾何学的異方性が計算されます。この計算では、方向によってレンジが変化しますがシルは一定に保たれます。その結果、異方性モデルでは以下に示すレンジ項には方向成分しか含まれていません。

GS + に用意されている異方性バリオグラムモデルのタイプは、Linear, Spherical, Exponential, Gaussian の4つです。いずれのモデルも以下に示す項を使って記述されます:

GS+ では、5つのモデルの各パラメータのデフォルト値が計算されます。Anisotropic Variogram Model ダイアログウィンドウからこれら4つのモデルパラメータの全てを変更することができます:

 

 

Spherical Anisotropic Model

Spherical Anisotropic Model (球形異方性モデル) は、シルに徐々に近づくという点で球形モデルと似ていますが、シルに到達する速度が異なり、また、このモデルとシルとが実際に収束することはありません。このモデルで使用する式は以下の通りです:

γ (h) = C0 + C[1 - exp(-h/A)]

ここで、

 

Linear Anisotropic Model

Linear Anisotropic Model (線形異方性モデル) は、バリオグラムを直線であらわすものです。このモデルにはシルがない点に注意してください。主軸 (major axis) と副軸 (minor axis) は、バリオグラムの最後のラグクラスの距離間隔を使って定義されます。使用する式は以下の通りです:

γ (h) = C0 + h (C / A)

ここで、

 

Gaussian Anisotropic Model

Gaussian または Hyperbolic Isotropic Model (ガウスまたは双曲線モデル) は、指数モデルと似ていますが、y 切片が緩やかに上昇すると仮定される点が異なります。このモデルで使用する式は以下の通りです:

γ (h) = C0 + C[1 - exp(-h2 / A2 )]

ここで、

 

Anisotropic Semivariance Surface (2-d Variogram Map)

Anisotropic Semivariance Surface または Variogram Map では、全方位のセミバリアンスを視覚的に表示することができます。これを使って、異方性バリオグラムモデルを定義するための適切な主軸を簡単に見つけ出すことができます。任意の1方向のトランセクト (例:北へ10度) は、この向きのバリオグラムと同じになります。このサーフェス (z 軸) がセミバリアンスになります。x および y 軸は、それぞれ、E-W (東西) および N-S (北南) の分離距離 (separation distances) になります。マップの中心は、全ての方向におけるバリオグラムの原点 γ (h) = 0 に対応します。詳細は、Isaaks and Srivastava (1989; page 150) および Goovaerts (1997; page 98) をご覧ください。

ポイント対は少なくとも3つ以上ないと、特定のラグクラスと方向に関するセミバリアンスの平均値を取れないので、作成されるマップは不完全なものになります。セルが3対よりも少なければ欠損値になります。セルのサイズは、ラグクラスの距離間隔に依存します。

 

 

Anisotropic Semivariance Surface (3-d Variogram Map)

3-d Anisotropic Semivariance Surface または Variogram Map は、2-d マップを 3-d に投影したものです。 3-d グラフのフォーマットは、Edit Graph コマンドを使って変更することができます。

 

Cross-Autocorrelation または Cross-Semivariance Analysis

Cross-Autocorrelation Analysis ウィンドウは、実行するのがセミバリアンス分析 (Z または Z2) ではなく、クロスセミバリアンス分析 (Z x Z2) である点をを除けば、Autocorrelation Analysis ウィンドウと同じです。クロスセミバリアンス分析は、共クリギングを実行する前に行う必要があります。このウィンドウに用意されているコマンドとオプションの説明については、上記 Semivariance Analysis Window に関する説明をご覧ください。