6.2 Autocorrelation ウィンドウ
- Autocorrelation ウィンドウ
- 等間隔でないラグクラスの定義
- Variograms ウィンドウ
- Semivariance Values ウィンドウ
- Isotropic Variogram Models (等方性バリオグラムモデル)
- The Spherical Isotropic Model
- The Exponential Isotropic Model
- The Linear Isotropic Model
- The Gaussian Isotropic Model
- Anisotropic Variogram Models (異方性バリオグラムモデル)
- The Spherical Anisotropic Model
- The Linear Anisotropic Model
- The Gaussian Anisotropic Model
- Anisotropic Semivariance Surface (2-d Variogram Map)
- Cross-Autocorrelation または Cross-Semivariance Analysis
Autocorrelation ウィンドウ
Autocorrelation ウィンドウは、バリオグラムの各種オプションを計算したり、その最終結果を表示する場所です。セミバリアンスの定義とラグクラス距離間隔の式については、Semivariance Analysis の概要をご覧ください。
Active Lag Distance
Active Lag Distance では、セミバリアンスを計算する範囲を指定します。このフィールドの最小距離は、データセットにおける隣接ポイント間の最小距離となりますが、最大距離はポイント間の最大距離となります。この値を大きくしすぎたり小さくしすぎると、この距離に対して可能な最大値または最小値がそれぞれ割り当てられます。
例えば、1200 m のトランセクト (横断) では、最大ラグは 1200 m になります。Active Lag を 300m に指定すると、バリオグラムは全長 1200m のトランセクトに沿ってラグ間隔が 300m 以下に制限されます。
Active Lag のデフォルトは、User Preferences ダイアログウィンドウの Analysis タブで指定します (Chapter 2 参照)。指定した値がお使いのデータの有効ラグにもっともふさわしいものになることはほとんどありませんが、これから探索するための開始点が提供されることになります。バリオグラムは一般に、最大ラグ間隔に向かうほどラグクラス1つ当たりの対の数が減るため、ラグ間隔が大きいところで分解します。
GS+ では、ラグクラス 100万、1クラス当たり最大10億対まで対応します。
Lag Class Distance Interval
Lag Class Distance Interval では、ポイント対をラグクラスに群分けする方法を定義します。バリオグラムの各ポイントは、ひとつのラグクラス、すなわち、ステップサイズとも呼ばれる特定の Lag Class Distance Interval によって分割された対群の平均セミバリアンスをあらわします。この間隔は、GS+ に計算させることも、ユーザーが手動で設定することもできます。GS+ に計算させる場合は、有効ラグの距離は均等に分割されることになります。
- Use individually-specified points
このオプションでは、Define コマンドを使用して Lag Class Intervals (ラグクラス間隔の定義) ウィンドウを開き、ラグ間隔の区切り点 (break point) を個別に指定します。
- Use a regular interval
このオプションで指定した値は、有効ラグ距離の全体を均等に分けるラグ間隔のサイズになります。例えば、ラグ間隔が2単位で有効ラグ距離が 10 単位の場合、作成されるラグクラスは5つで、いずれの幅も2単位になります。指定できる最小の間隔は、データセットにおける任意の2つのサンプルポイントの位置を隔てる最小距離になります。最大間隔は、任意の2つのサンプルポイントの位置を隔てる最大距離になります。デフォルトでは、有効ラグ距離の 10% 、もし有効ラグ距離の 10% が有効な最小値よりも小さければ、その最小値になるよう設定されています。このデフォルト値は、与えられたデータセットにふさわしくない場合もありますので、セットごとに異なるステップを試してください。
バリオグラムにおけるラグクラスの数 (すなわちプロットされる点の数) は、有効ラグ距離の値と有効ステップの値の関数になります。例えば、有効ラグが 300m で、有効ステップが 15m であれば、クラス数は約 20 になります。なお、与えられたクラスのラグ距離は、そのクラス内にあるポイント距離の平均値になり、かならずしもそのクラスの中間点になる訳ではありませんので注意してください。例えば、ラグクラスが 10-20 m の場合、もし、10-15 m の間に区分されるポイント対が 15-20 m の間に区分されるポイント対より多くあれば、そのラグ距離の平均値は 15 m ではなく 12.3 m になります。
距離間隔を変更すると、前に行った異なるステップを使って計算した画面上の結果は消去されます。新しいステップに基づく結果は、Calculate コマンドを使って更新する必要があります。
Anisotropic Axis Orientation
Anisotropy (異方性) とは、データの中の方向に依存する傾向のことです。例えば、山の傾斜に関するデータを2次元グリッドから収集するとしましょう:登りと下りの坂の方向 (upslope-downslope direction) と坂が交差する方向 (cross-slope direction) では標高の自己相関は異なるものにになりますので、等方性 (isotropic) 分析では、現実に存在する自己相関の大部分が隠されてしまう可能性があります。異方性分析を使うと、分析するデータに方向成分があり、それによって予期せぬ因子の変化による影響があるか否かを確認することができます。トランセクトのような1次元データには異方性分析は不向きです。
GS + は、幾何学的な異方性、すなわち方向毎に異なる範囲を持つ複数のバリオグラムとして表現される異方性を評価します。Principal Anisotropic Axis (異方性モデルの Major Axis:主軸) は、範囲が最長の方向、すなわち、空間的連続性が最大の方向です。
異方性を評価する最良の方法は、Anisotropic Semivariance Surface (異方性セミバリアンス表面) を表示して Azimuth (方位) 関数を使用して定義したあと、セミバリアンス値が最小に揃う方向 (空間的連続性が最大の方向、すなわち、異方性バリオグラムモデルの主軸) に Principal Anisotropic Axis を設定することです。このマップは、Semivariance Analysis ウィンドウの下にある Surface コマンドをクリックすることで開くことができます。
Principal Axis (degrees N)
Principal Axis は、空間的連続性が最大の方向、すなわち、異方性分析でオフセット角を計算するベースとなる軸です。オフセット角は、ベース軸から時計回りに 0º, 45º, 90º, 135º です。異方性分析のそれぞれの角度に含まれるポイントは、これらの角度のいずれかに十分に近いものになります (後述する Offset Tolerance 参照)。
この軸の方向は、空間的連続性が最大の軸、すなわち、最大の異方性軸と一致します。デフォルトの軸は、南北 (y) 軸から 0º の角度です。適切な軸の値を選択するには、Surface コマンドを使用して Anisotropic Variogram Surface ウィンドウを開きます。
Offset Tolerance (degrees)
異方性分析では、Offset Tolerance で任意の2ポイント間に必要となる配置の近さを決定して、与えられたオフセット角の分析に含めるポイントを指定します。2ポイント間の角度がこのオフセット角のオフセット許容範囲 (offset tolerance) に含まれていれば、その2ポイントは与えられたオフセット角の分析に含まれることになります。
例えば、2ポイント間の角度が 59.3º で、オフセット許容範囲 (offset tolerance) が 15.0º であるとすれば、2つのポイントは 30º から 60º の間のすべての角度が含まれる 45º の角度クラスにのみ含まれることになります。デフォルトの許容値は 22.5º に設定されています。
Variogram Options
- Show Sample Variance
このオプションをチェックすると、バリオグラムグラフにサンプルデータの分散が点線で表示されます。
- Show Variogram Model
このオプションをチェックすると、バリオグラムポイントのモデルが表示されます。自動または手動で既にモデルを定義している場合は、バリオグラムの現在のグラフにモデルが再描画されます。モデルをまだ定義していない場合、または、Calculate コマンドを実行する場合は、最良フィット (best-fit) モデルが計算されグラフが描画されることになります。
モデルのパラメータを確認したり、モデルを変更するには、バリオグラムイメージの下にある Model コマンドを使用します。
- Expand
Expand コマンドをクリックすると、別のバリオグラムウィンドウが開きます。このウィンドウを使ってバリオグラムを印刷したり書式設定することができます。セミバリアンスの値を個別に表示する Variance Cloud Analysis とバリオグラムのクラス間隔あたりの対の数についても、このウィンドウで選択できます。
- Model
Model コマンドをクリックすると、Model Dialog ウィンドウが開きます。このウィンドウを使って、バリオグラムのモデルを変更できます。Model は、Show
Model Variogram Option を選択しているときだけ利用できます。
- Surface
Surface コマンドをクリックすると、Anisotropic Variogram Surface Map ウィンドウが開きます。このサーフェスマップは、以下で説明する異方性自己相関がある場合にそれを可視化するのに役立ちます。
- Calculate
Calculate コマンドをクリックすると、セミバリオグラムが計算されます。
等間隔でないラグクラスの定義
必ずしも等間隔でないラグクラスを個別に指定するには、このダイアログウィンドウを使います。目的とする距離間隔クラスの上限をスプレッドシートのセルには指定します。このダイアログに入力した値にかかわらず、最小の限界値は常にゼロ、Active Lag Distance の値が常に上限となります。以下の例では、はじめのクラスは距離単位3で区切られていますが、その後、5, 10, 20 単位で区切られている点に注目してください。
|
- Clear
ワークシートの内容を消去します。
- Import
ラグクラス間隔の境界を内容とするテキストファイルをインポートします。ラグクラス間隔 (ステップ) ファイルのデフォルトの拡張子は .stp です。インポートするファイルの書式は、半角英数からなるヘッダレコードの変数番号の後に数値のみのレコードが続きます。
line 1: Optional header record 1
line 2: Optional header record 2
line 3: 2.0
line 4: 4.0
line 5: 8.0
line 6: 12.0
line 7: 30.0
line 8: 100.0
このファイルには、8つのラグクラスが記述されています:
0 to <2.0, 2.0="" to="">2.0,><4.0, 4.0="" to="">4.0,><8.0, 8.0="" to="">8.0,><12.0, 12.0="" to="">12.0,><30.0, 30.0="" to="">30.0,><100.0, 100.0="" to="" maximum="" lag="" distance.="">100.0,>
有効ラグは、インプットファイルにおけるポイント間を隔てる最大距離、すなわち、maximum lag distance を任意の値にすることで、調整することができます。
- Actions
ワークシートの内容は、GS+ のメインウィンドウのメニューコマンドや右クリックメニューを使って、Print, Copy, または Export することができます。Decimal Places (小数点以下の桁数) は、列を選択状態にして、Increase または Decrease Decimals アイコンをクリック (または、メニューコマンド Data > Change Decimals を使用) することで変更することもできます。列の一番上をクリックすると、選択した列に基づいてワークシートを降順または昇順で Sort (ソート) することができます。また、2つの列の境界線にカーソルをおいてそれを別の位置にドラッグすることによって、Column Widths (列幅) を変更することもできます。
Variograms ウィンドウ
Variograms ウィンドウには、編集や印刷が可能なバリオグラムがフルウィンドウで表示されます。各タブには、異方性の向きが異なるバリオグラムがそれぞれ表示されます。また、バリオグラムの作成に使用したセミバリアンスの値を一覧で表示させたり、Variance Cloud Analysis を実行することもできます。Variance Clouds では、バリオグラムを人為的に歪める可能性のある外れ値のポイント対を検出する手段が提供されます。
マウスカーソルを使って、特定のラグクラス内にある対の数を確認したり (ウィンドウの下に表示されます。以下の例では、バリオグラムの2つ目のシンボルにカーソルがあります)、Variance Cloud 分析を実行することができます。また、バリオグラムモデルのパラメータも (もしあれば) グラフの脚注として表示されます。パラメーターを脚注として表示させたくない場合は、Edit Graph コマンドを使用して Graph Settings ダイアログを開き、その Footnote フィールドの記述 “(model results)” を削除する必要があります。
- Actions
いずれのグラフも、GS+ のメインウィンドウのメニューコマンド、もしくは、右クリックメニューを使って、Print (印刷), Copy (コピー), Edit (編集), Export (エクスポート), または、List graph values (グラフの値一覧) を実行することができます。
- Cloud / Scatter
特定のラグ間隔に関する Variance Cloud または Scattergram (散布) グラフを別ウィンドウに作成します (後で詳しく説明します)。
Semivariance Values ウィンドウ
このワークシートには、ラグクラス、各クラスのポイント対の間隔距離の平均値、および、平均距離とセミバリアンスのベースとなるポイント対の数が一覧表示されます。このワークシートは読み出し専用 (read-only) です。
- Actions
ワークシートの内容は、GS+ のメインウィンドウのメニューコマンドや右クリックメニューを使って、Print, Copy, または Export することができます。Decimal Places (小数点以下の桁数) は、列を選択状態にして、Increase または Decrease Decimals アイコンをクリック (または、メニューコマンド Data > Change Decimals を使用) することで変更することもできます。列の一番上をクリックすると、選択した列に基づいてワークシートを降順または昇順で Sort (ソート) することができます。また、2つの列の境界線にカーソルをおいてそれを別の位置にドラッグすることによって、Column Widths (列幅) を変更することもできます。
Isotropic Variogram Models (等方性バリオグラムモデル)
バリオグラムは、分離距離 (separation distance) に対するセミバリアンスをあらわすグラフです。自己相関が存在していれば、separation distance が小さいほどセミバリアンスは小さくなります (自己相関が大きくなります)。このグラフは、通常、ナゲット分散 (nugget variance)、シル (sill)、レンジ (range) の3つの項を使ってモデル化される以下に示すような曲線になります。
GS+ には、4タイプの等方性モデルが用意されています。いずれも、3つのパラメータに基づいて記述されます:
- Nugget Variance (ナゲット分散) または C0:モデルの y 切片です。
- Sill (シル) または C0 +C :モデルの漸近線です。
- Range (レンジ) または A:空間依存性が確認される分離距離 (separation distance) です。モデルのレンジパラメータ (A0)と区別するために range (A) を有効レンジ (effective range) と呼ぶこともあります。
GS+ では、5つのモデルの各パラメーターのデフォルト値が計算されます。Isotropic Variogram Model ダイアログウィンドウからこれら3つのモデルパラメータの全てを変更することができます。
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- Variogram Model Type
4つの等方性モデル (Linear, Spherical, Exponential, および Gaussian) のいずれかを選択します。モデルを選択すると、バリオグラムの変更内容がグラフに反映されることになります。
- Model Terms (モデル項)
各モデルの3つのモデルパラメータはいずれも、各パラメータで許容される範囲内で変更することができます。値を変更するには、その下に表示されているスライダーを動かすか、テキストボックスに新しい値を直接入力します。
- Nugget Variance (ナゲット分散) または C0:モデルの y 切片です。ナゲット分散は、Sill (シル) より大きくなることはできません。
- Sill (シル) または C0 +C :モデルの漸近線です。シルは、ナゲット分散より小さくなることはありません。
- Range (A) :空間依存性が確認される分離距離 (separation distance) です。モデルの範囲パラメータ (A0)と区別するために Range (A) を有効範囲 (effective range) と呼ぶこともあります。Range A は、以下に示す各モデルの式に記述されているように A0 から計算します。この範囲は、0 より小さくなることはありません。
- Statistics – This Fit
GS+ には、モデルの内挿出力を補助する以下の3つの統計量が用意されています:
- Residual Sums of Squares (残差平方和):バリオグラムデータに対するモデルの当てはまりのよさを正確に測定するものです。残差平方和が小さいほどモデルの当てはまりが良いことになります。GS + でモデルを自動的にあてはめる場合、各バリオグラムモデルのパラメーターの選択に RSS が使用され、任意のモデルの RSS を最小化するパラメーター値の組み合わせが決定されます。This Fit ボックスに表示される Residual SS は、現在定義されたモデルに関して計算されるものです。
- r2 :バリオグラムデータに対するモデルの当てはまりのよさの指標を提供するものです。この値は、最適な当てはめを計算する Residual SS ほど感度やロバスト性はありません。モデルパラメータの変更の効果を判定するには、RSS (残差平方和) を使用してください。
- Proportion C/(C0 +C):この統計量は、空間的に構成される分散 C によって説明されるサンプル分散 (C0 +C) の割合を計る尺度となります。ナゲット分散のない (曲線が原点を通過する) バリオグラムではこの値が 1.0 になります。逆に、空間的に依存する分散が指定範囲になければ (すなわち、ナゲット効果しかないところでは) 0 になります。
- Statistics – AutoFit
このボックスには、Autofit モデル (GS+ によって直前に計算されたモデル) の統計量が表示されます。この手段により、自動的に計算されたモデルと、モデル項を変更したものを比較することができます。
- Autofit
このダイアログウィンドウで開始条件と同じパラメータを利用してモデルを自動的に当てはめ直します。GS+ におけるモデルの当てはめは、開始条件にある程度依存します (反復計算の前にモデルパラメータを仮定する)。手動によるモデルの当てはまりが良い場合もありますが、そのような場合に、Refitting を使えば、パラメータを改善して、RSS を最小化することができます。オリジナルのモデルパラメータに戻すには、この Model 定義ウィンドウを終了し、バリオグラムの再計算が必要な場合があります。
- OK/Cancel
OK をクリックすると、ダイアログウィンドウが閉じて、変更内容が個々のモデルに適用されます。Cancel をクリックすると、変更内容は適用されずにダイアログウィンドウが閉じます。
Spherical Isotropic Model
Spherical Isotropic Model (球形モデル) は、2次関数を修正したもので、ポイント対の距離 A0 で自己相関がなくなりセミバリオグラムが漸近線に達します。このモデルで使用する式は以下の通りです:
γ (h) = C0 + C [1.5(h/A0) - 0.5(h/A0) 3 ] |
for h ≤ A0 |
γ (h) = C0 + C |
for h > A0 |
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ距離間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A0 = レンジパラメータ。spherical モデルのケースでは、有効レンジ A = A0
Exponential Isotropic Model
Exponential Isotropic Model (指数モデル) は、徐々にシルに接近するという点では球形モデルと似ていますが、シルに到達する速度と、このモデルとシルは現実には収束することがないという事実において球形モデルとは異なっています。このモデルで使用する式は以下のとおりです:
γ (h) = C0 + C [1 - exp(-h/A0)] |
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A0 = レンジパラメータ。指数モデルの場合、漸近線の 5% 内にシル (C + C0) が存在する距離である有効レンジは A = 3A0 となります (指数モデルやガウスモデルでは、シルが漸近線と接することはありません)。
Linear Isotropic Model
Linear Isotropic Model (線形モデル) は、バリオグラムを直線であらわすものです。このモデルにはシルがない点に注意してください。レンジ A0 は、以下に示すように任意に定義されます。使用する式は以下の通りです:
γ (h) = C0 + [ h (C/A0) ] |
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A0 = レンジパラメータ。線形モデルの場合、有効レンジ A は存在しません。空間的な自己相関は、サンプリングされた全範囲にわたって存在します。GS + のモデルウィンドウでは、A の初期値は、グラフ化した最後のラグクラスの分離距離 (h) に設定されます。以下のバリオグラムの場合は 77.4 になります。
Gaussian Isotropic Model
Gaussian または Hyperbolic Isotropic Model (ガウスまたは双曲線モデル) は、指数モデルと似ていますが、y 切片が緩やかに上昇すると仮定される点が異なります。このモデルで使用する式は以下の通りです:
γ (h) = C0 + C[1 - exp(-h 2 / A02 )] |
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A0 = レンジパラメータ。ガウスモデルの場合、漸近線の 5% 内にシル (C + C0) が存在する距離である有効レンジは、A = 3 0.5 A0 になります (指数モデルやガウスモデルでは、シルが漸近線と接することはありません)。
Anisotropic Variogram Models (異方性バリオグラムモデル)
Anisotropic Variogram Models (異方性バリオグラムモデル) は、等方性バリオグラムと似ていますが、レンジパラメータに方向に関する情報が含まれる点が異なります。GS + では、幾何学的異方性が計算されます。この計算では、方向によってレンジが変化しますがシルは一定に保たれます。その結果、異方性モデルでは以下に示すレンジ項には方向成分しか含まれていません。
GS + に用意されている異方性バリオグラムモデルのタイプは、Linear, Spherical, Exponential, Gaussian の4つです。いずれのモデルも以下に示す項を使って記述されます:
- Nugget Variance (ナゲット分散) または C0:モデルの y 切片です。この値は全ての方向で同じになります。
- Sill (シル) または C0 +C :モデルの漸近線です。この値は全ての方向で同じになります。
- Range (レンジ) または A:検討する方向に空間依存性が確認される分離距離 (separation distance) です。
以下の合計になります:
- A1 :変位 φ の主軸のレンジパラメーター
- A2 :副軸 (φ + 90) のレンジパラメーター
個々のモデル式に記述されるように対間の各 θ によって調整される。
モデルのレンジパラメータ (A1 または A2 )と区別するために range (A) を有効レンジ (effective range) と呼ぶこともあります。GS+ では、A1 と A2 から Minor Ranges と Major Ranges がそれぞれ計算されます。個々のモデル式については後で説明します。
GS+ では、5つのモデルの各パラメータのデフォルト値が計算されます。Anisotropic Variogram Model ダイアログウィンドウからこれら4つのモデルパラメータの全てを変更することができます:
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- Variogram Model Type
4つの異方性モデル (Linear, Spherical, Exponential, および Gaussian) のいずれかを選択します。モデルを選択すると、バリオグラムの変更内容がグラフに反映されることになります。
- Model Terms
各モデルの3つのモデルパラメータはいずれも、各パラメータで許容される範囲内で変更することができます。値を変更するには、その下に表示されているスライダーを動かすか、テキストボックスに新しい値を直接入力します。
- Nugget Variance (ナゲット分散) または C0:モデルの y 切片です。ナゲット分散は、Sill (シル) より大きくなることはできません。
- Sill (シル) または C0 +C :モデルの漸近線です。シルは、ナゲット分散より小さくなることはありません。
- Range Minor:空間依存性が確認される分離距離 (separation distance) です。モデルのレンジパラメータ (A2 )と区別するために有効範囲 (Effective Range) と呼ぶこともあります。マイナーレンジは、以下に示す各モデルの式に記述されているように A2 から計算します。マイナーレンジは、メジャーレンジより大きくなることはありません。
- Range Major:空間依存性が確認される分離距離 (separation distance) です。テキストの中にはモデルのメジャーレンジパラメータ (A1 )と区別するために有効範囲 (Effective Range) と呼ぶこともあります。メジャーレンジは、以下に示す各モデルの式に記述されているように A1から計算します。マイナーレンジは、マニアーレンジより小さくなることはありません。
- Statistics – This Fit
GS+ には、モデルの内挿出力を補助する以下の3つの統計量が用意されています:
- Residual Sums of Squares (残差平方和):バリオグラムデータに対するモデルの当てはまりのよさを正確に測定するものです。残差平方和が小さいほどモデルの当てはまりが良いことになります。GS + でモデルを自動的にあてはめる場合、各バリオグラムモデルのパラメーターの選択に RSS が使用され、任意のモデルの RSS を最小化するパラメーター値の組み合わせが決定されます。This Fit ボックスに表示される Residual SS は、現在定義されたモデルに関して計算されるものです。
- r2 :バリオグラムデータに対するモデルの当てはまりのよさの指標を提供するものです。この値は、最適な当てはめを計算する Residual SS ほど感度やロバスト性はありません。モデルパラメータの変更の効果を判定するには、RSS を使用してください。
- Proportion C/(Co+C):この統計量は、空間的に構成される分散 C によって説明されるサンプル分散 (C0 +C) の割合を計る尺度となります。ナゲット分散のない (曲線が原点を通過する) バリオグラムではこの値が 1.0 になります。逆に、空間的に依存する分散が指定範囲になければ (すなわち、ナゲット効果しかないところでは) 0 になります。
- Statistics – AutoFit
このボックスには、Autofit モデル (GS+ によって直前に計算されたモデル) の統計量が表示されます。この手段により、自動的に計算されたモデルと、モデル項を変更したものを比較することができます。
- Autofit
このダイアログウィンドウで開始条件と同じパラメータを利用してモデルを自動的に当てはめ直します。GS+ におけるモデルの当てはめは、開始条件にある程度依存します (反復計算の前にモデルパラメータを仮定する)。手動によるモデルの当てはまりが良い場合もありますが、そのような場合に、Refitting を使えば、パラメータを改善して、RSS を最小化することができます。オリジナルのモデルパラメータに戻すには、この Model 定義ウィンドウを終了し、バリオグラムの再計算が必要な場合があります。
- OK/Cancel
OK をクリックすると、ダイアログウィンドウが閉じて、変更内容が個々のモデルに適用されます。Cancel をクリックすると、変更内容は適用されずにダイアログウィンドウが閉じます。
Spherical Anisotropic Model
Spherical Anisotropic Model (球形異方性モデル) は、シルに徐々に近づくという点で球形モデルと似ていますが、シルに到達する速度が異なり、また、このモデルとシルとが実際に収束することはありません。このモデルで使用する式は以下の通りです:
γ (h) = C0 + C[1 - exp(-h/A)] |
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A = √ {A12 [cos2 (θ - φ)] + A22 [sin2 (θ - φ)] }
- A1 = 主軸 (φ) のレンジパラメーター。指数モデルのケースでは、主軸のレンジ (有効レンジ) = 3A1
- A2 = 副軸 (φ + 90) のレンジパラメーター。指数モデルのケースでは、副軸のレンジ (有効レンジ) = 3A2
- φ = 最大変位の角度
- θ = 対間の角度
Linear Anisotropic Model
Linear Anisotropic Model (線形異方性モデル) は、バリオグラムを直線であらわすものです。このモデルにはシルがない点に注意してください。主軸 (major axis) と副軸 (minor axis) は、バリオグラムの最後のラグクラスの距離間隔を使って定義されます。使用する式は以下の通りです:
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A = √ {A12 [cos2 (θ - φ)] + A22 [sin2 (θ - φ)] }
- A1 = 主軸 (φ) のレンジパラメーター。線形モデルの場合、有効レンジ A は存在しません。空間的な自己相関は、サンプリングされた全範囲にわたって存在します。GS + のモデルウィンドウでは、A1 の初期値は、グラフ化した最後のラグクラスの分離距離 (h) に設定されます。
- A2 = 副軸 (φ + 90) のレンジパラメーター。線形モデルの場合、有効レンジ A は存在しません。空間的な自己相関は、サンプリングされた全範囲にわたって存在します。GS + のモデルウィンドウでは、A2 の初期値は、グラフ化した最後のラグクラスの分離距離 (h) に設定されます。
- φ = 最大変位の角度
- θ = 対間の角度
Gaussian Anisotropic Model
Gaussian または Hyperbolic Isotropic Model (ガウスまたは双曲線モデル) は、指数モデルと似ていますが、y 切片が緩やかに上昇すると仮定される点が異なります。このモデルで使用する式は以下の通りです:
γ (h) = C0 + C[1 - exp(-h2 / A2 )] |
ここで、
- γ (h) = 間隔距離クラス h に関するセミバリアンス
- h = ラグ間隔
- C0 = ナゲット分散 ≥ 0
- C = 構造的分散 ≥ C0
- A = √ {A12 [cos2 (θ - φ)] + A22 [sin2 (θ - φ)] }
- A1 = 主軸 (φ) のレンジパラメーター。ガウスモデルのケースでは、主軸のレンジ (有効レンジ) = 30.5 A1
- A2 = 副軸 (φ + 90) のレンジパラメーター。ガウスモデルのケースでは、副軸のレンジ (有効レンジ) = 30.5 A2
- φ = 最大変位の角度
- θ = 対間の角度
Anisotropic Semivariance Surface (2-d Variogram Map)
Anisotropic Semivariance Surface または Variogram Map では、全方位のセミバリアンスを視覚的に表示することができます。これを使って、異方性バリオグラムモデルを定義するための適切な主軸を簡単に見つけ出すことができます。任意の1方向のトランセクト (例:北へ10度) は、この向きのバリオグラムと同じになります。このサーフェス (z 軸) がセミバリアンスになります。x および y 軸は、それぞれ、E-W (東西) および N-S (北南) の分離距離 (separation distances) になります。マップの中心は、全ての方向におけるバリオグラムの原点 γ (h) = 0 に対応します。詳細は、Isaaks and Srivastava (1989; page 150) および Goovaerts (1997; page 98) をご覧ください。
ポイント対は少なくとも3つ以上ないと、特定のラグクラスと方向に関するセミバリアンスの平均値を取れないので、作成されるマップは不完全なものになります。セルが3対よりも少なければ欠損値になります。セルのサイズは、ラグクラスの距離間隔に依存します。
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- Actions
いずれのグラフも、GS+ のメインウィンドウのメニューコマンド、もしくは、右クリックメニューを使って、Print (印刷), Copy (コピー), Edit (編集), Export (エクスポート), または、List graph values (グラフの値一覧) を実行することができます。
- 3-d
グラフの投影を 3-d から 2-d、または、2-d から 3-d に変更します。
- Azimuth
このボックスにチェックを入れると、マップサーフェス上に方位角をあらわすトランセクト (断面) が描画されます。テキストボックスに角度を指定すると (例:上記ウィンドウでは 348º を指定)、その方位角の領域がグラフィカルに表示されます。このトランセクトの平均セミバリアンスは、Set コマンドの下に A:nnn として表示されます。なお、ある角度とそれに 180º を加えた角度では違いがない点に注意してください。
- Set
このウィンドウに表示される方位角を、Semivariance Analysis ウィンドウの Principal Anisotropic Axis にします。Set をクリックすると、Principal Anisotropic Axis がリセットされます。Semivariance Analysis ウィンドウの角度には、一貫性を保つために、>180º の値は、180º を引いた値として表示されるので、0º から 180º の間の値が表示されることになります (例:225º であれば、Semivariance Analysis ウィンドウで 90º にリセットされます)。
Set を使うと、セミバリアンスウィンドウの異方性バリオグラム (およびモデルを選択している場合はそのモデル) が強制的に Rebuild されることになります。Principal Anisotropic Axis (異方性モデルの主軸:Major Axis) の方向は、最大長の範囲を持つ方向に対応する空間的連続性が最大 (すなわち、異方性バリオグラムモデルの主軸) の向きになります。これに対応して、A の値は、最大方向では小さく (平均セミバリアンスが小さい) 、最小方向 (オフセット 90º) では最大になります。
- A
指定した方位のトランセクトに関する平均セミバリアンスを Set コマンドの下に A:nnn という書式でで表示するものです。ここで、nnn は、平均セミバリアンスです。A の値は、最大方向では小さく (平均セミバリアンスが小さい) 、最小方向 (オフセット 90º) では最大になります。
- Mouse Action
- Off:マウスを通常の操作に戻します。
- Rotate:マウスの左ボタンを押すとカーソルが回転軸に変わり、画像を目的の位置に回転させることができます。このオプションは、3-d マップ投影でしか利用できません。
- Move:マウスの左ボタンをクリックし、カーソルをドラッグさせることでウィンドウ内のグラフを移動させることができます。
- Scale:マウスの左ボタンを使ってグラフ画像を収縮させることができます。
- Zoom:マウスの左ボタンを使って矩形のズーム領域を定義することで、特定のグラフ領域をズームインさせることができます。ズームされた領域のカーソルの位置情報は Mouse Location パネルに表示されます。
- Reset:画像をデフォルトの回転角とスケールにリセットします。
- Mouse Location
カーソルがマップサーフェス上にある場合、現在のカーソルの位置情報が表示されます。単位は、軸によって定義されるマップの単位になります。Z はセミバリアンスの値です。
Anisotropic Semivariance Surface (3-d Variogram Map)
3-d Anisotropic Semivariance Surface または Variogram Map は、2-d マップを 3-d に投影したものです。 3-d グラフのフォーマットは、Edit Graph コマンドを使って変更することができます。
- 3-d マップ投影のコマンドは、上記で説明した 2-d 投影のものと同じになります。
Cross-Autocorrelation または Cross-Semivariance Analysis
Cross-Autocorrelation Analysis ウィンドウは、実行するのがセミバリアンス分析 (Z または Z2) ではなく、クロスセミバリアンス分析 (Z x Z2) である点をを除けば、Autocorrelation Analysis ウィンドウと同じです。クロスセミバリアンス分析は、共クリギングを実行する前に行う必要があります。このウィンドウに用意されているコマンドとオプションの説明については、上記 Semivariance Analysis Window に関する説明をご覧ください。
- Cross-Autocorrelation ウィンドウのコマンドは、この章のはじめに説明した Autocorrelation ウィンドウにあるコマンドと同じです。