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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser (NEWS レター)

 

コンテンツ

  1. Brewing the Perfect Pot of Office Coffee with Design-Expert® Software, Version 10
  2. Shock-ing Improvement: An Experimental Design to Improve Mountain Bike Riding
    ショックの改善にショックです:マウンテンバイクの走行を改善する実験計画
  3. Minimum Runs—Maximum Results!
    最小の試行 — 最大の結果

 

Brewing the Perfect Pot of Office Coffee with Designs-Expert® Software, Version 10

Stat-Ease Staff (from L to R): Joe Carriere, Martin Bezener (author), Neal Vaughn,
Hank Anderson, Mark Anderson

動機

実験のきっかけは、我々のプログラミングリーダー、ハンク・アンダーソン氏がウィスコンシン州北部にある小宿に滞在していたときに思いついたものです。宿の亭主は、専用のグラインダーでコーヒー豆を挽いて彼にコーヒーをごちそうしてくれました。彼がコーヒーを飲むようになったのはつい最近、息子が生まれてからのことです (理由は、お子さんをお持ちの方ならすぐにおわかりいただけるでしょう)。食料品店には既に挽いてあるコーヒー豆が各種ブランドで売られていますが、彼は、これまでに、こうしたコーヒーを飲み比べたことなど一度もありませんでした。Stat-Ease 社のオフィスにあるコーヒーは、平たく言ってしまえば、イマイチなのですが、これを改善できる実験が可能なのではないかと彼は即座に思い始めました。

因子の選択

ハンク氏はオフィスに戻ると、パートナーになるよう私に協力を求め、コーヒーを飲むそれ以外の人たちにも声をかけて実験の計画に着手しました。最も重要で関心のある因子について、まず最初に思いついた因子は、コーヒー豆のブレンドの仕方になるだろうということでした。Stat-Ease の世界本社の所在地には、Up Coffee Roasters というコーヒー店 が通りを挟んだところにありますので、実験に使用するコーヒー豆は、もちろん、そこから調達しました。我々はコーヒー豆を3種類選び、それぞれに浅煎 (light)、中煎 (medium)、深煎 (dark) という3段階の焙煎をほどこしました。ポットに淹れるコーヒーを1種類の豆だけに制限したくなかったのは、より詳しい情報を得るためです。3種類全部の混合はもちろんですが、2種類の豆のブレンドについても試したかったのです。

このグループが重要だと考えたもうひとつの因子は、各ポットに抽出するコーヒーの量です。簡単な範囲測定テストを経て、コーヒーポット1つあたり、2.5 ~ 4.0 オンスの間を使用することに決めました。コーヒーの理想的な量は、コーヒー豆のブレンドごとに全て異なるものになるのではないかと我々は考えました。

我々は当初、コーヒーの味をグラインダーの種類、すなわち、回転型 (blade) かバー型 (burr) かの違いの効果で検定しようとしました。しかし、回転型 (blade) グラインダーを使って幾つかの豆を試しに挽いてみたところ、この考えはすぐに放棄されることになりました。回転型グラインダーには、幾つかの欠点があります。まずはじめに、豆を挽く粒の大きさがグラインダーを動作する時間によって決まる点です。オペレーターは挽くたびに時間を正確に計る必要がありますが、これは、実験のノイズ量を増やす可能性があります。また、回転型 (blade) グラインダーの挽き具合の非一貫性もあります。完全に粉砕される豆もあれば、大きい欠片が残る豆もあります。我々は、回転型 (blade) グラインダーの3種類のセッティング(Low、Medium、High の3つ)使うことにしました。これで粉砕サイズを数量化できると見込んだのですが、幾つかの手法を試してみたところ、あまりにも時間がかかり過ぎたり (デジタル画像解析)、精度が低くかったり (メスシリンダーで体積を測定)、あるいは、あまりにも厄介な作業である (ふるい分析) と判断しました。

結局、以下に示す実験因子を設定することになりました (小文字表記 [a, b, c] は、変更困難な因子 hard-to-change 因子になります):

* グラインダーの設定水準は、 Fine (細挽き), Medium (中挽き), Coarse (粗挽き) の3つになります。

応答

最後に決めるのは、応答の測定方法です。コーヒーの味覚を適切に測定するには様々な選択肢がありますが、我々は、各ポットのコーヒーについてコアとなる5人の試験者グループが、様々な特性に関する度合いをつける方法に決めました。この中で最も重要な特性は総合的な好み ("overall liking") です。この "overall liking" は、現在のオフィスのコーヒーの点数を5として1~9の尺度で評価されます。味覚テストは、実験の設定内容に関する知識が各コーヒーポットの主観的評価に影響しないように盲目的 (blindly) に行います。

5人全員のスコアが集まったら、コーヒーポットそれぞれの応答について次の2つの応答を作成することになります:

  1. 5人の総合的な好み (overall liking) の点数の平均値
  2. 5人の総合的な好み (overall liking) の最小値

なぜ、5人の総合的な好みのスコアの平均値と最小値の両方を集計するのかついては、後ほど説明します。

実験計画

これが、混合-量 (mixture-amount experiment) に、粉砕サイズに関するカテゴリー型因子が加わる実験になることは明白です。mixture-amount experiment に関する詳しい情報につきましては、参考文献に掲載した Greg Piepel and John Cornell (1985) をご覧ください。ところが、我々は、完全無作為化実験には焙煎したての独立したブレンドコーヒーがポット毎に必要になるという実際的な困難があることに気がつきます。いずれのコーヒー豆も、ある単一の焙煎処理工程の一部として袋詰めされたものでしか購入できないため、これを実現させることは不可能です。我々は、1袋1ポンドのコーヒー (またはそれらの混合物) を分割して、幾つかの量-粉砕サイズの組合せにして使用したいと考えました。この方法で実験を行うとすれば、分割 (split-plot) 型の計画を使うしかありません。都合の良いことに、Design-Expert® バージョン 10 (DX10) には、combined mixture-process split-plot という新機能が装備されていますので、これを使うことで、オフィスのコーヒーポットを完全に作成することができます。

作成したのは、試行数 74 、コーヒーのブレンド数 16 の計画です。いずれのコーヒー豆のブレンドも、平均して4つの量-粉砕サイズの組合せでテストします。我々はまた、実験全体に現在のオフィスのコーヒーについて6つの試行を無作為に組み合わせて、それを対照群 (control) としました。

The first 6 pots of coffee in the experimental design. Note the Group column, which clearly indicates the convenient split-plot arrangement of hard-to-change factors (a, b, c) in the experiment.

実験のセットアップと実行をまとめた動画を作成しましたのでぜひご覧ください。

分析

【左側】図 1-1 【右側】図 1-2
The predicted average (left) and minimum overall liking (right) at a (1/3, 1/3, 1/3) blend of light, medium, and dark beans. Even though the average overall liking looks okay at 4 ounces, the minimum sees a steady drop off at the finest grind setting.

約3ヶ月ほどのコーヒーの味覚実験を経て、ついにデータを分析するときがやってきました。問題のある幾つかの実験を除外し、スプレッドシートの二重チェックを行ったあと、最適化に使用するモデルを考案する必要がありました。モデルには大量の項があったため、DX10 の新しい機能である自動モデル選択機能を使用したら、以下の内容を即座に記録しました。

  1. 浅煎 (Light) のコーヒー豆が全て (または殆ど) を占めるコーヒーポットは、量-粉砕サイズのほぼ全ての組合せを通じて評価が低い。Stat-Ease 社のコーヒードリンカーは、深煎 (dark) が好き!
  2. 量-粉砕サイズには、明らかに交互作用があった。総合的な好み (overall likings) で高い平均値を獲得するには一般に粗挽きであるほど多量のコーヒーを要する。具体的には図 1-1 を参照。
  3. 好みの平均値は、一般にコーヒーの量を多くするほど上昇するが、総合的な好み (overall likings) の最小値は、粉砕設定が細挽きのときに低くなる。これは、全体としてはこれらのポットは好まれるものの、1人または2人の試験者にとっては強すぎたことを示唆します。具体的には図 1-2 を参照。赤線が急激に下降している点に注目。

最適化

あるモデルが決定したら、コーヒーの抽出法について勧告する必要があります。コストを低く抑えつつ味覚を最大化するような最適化パラメータを求めるのに多くの時間を費やしました。我々は、以下の目標を同時に満たすようなコーヒーのブレンドを理想的なものとしました:

  1. 期待される総合的な好み (overall liking) の平均値を最大化するもの (良いコーヒー)
  2. 期待される総合的な好み (overall liking) の最小値が 9 点中 5 点以上あること (皆に好かれるコーヒーは、少なくとも現在のコーヒーの点数よりは上である)
  3. 使用するコーヒーの量が最小化されること (費用の削減)

我々は幸運だったことが分かります:細挽き (fine grind) 設定で、中煎 (medium) と深煎 (dark) を約 50/50 でブレンドし、2.5 オンスにしたときに、好ましさの期待平均値が 5.7、期待される好ましさの最小値が 5.2 になります。目標の 2 と 3 を無視するとすれば、混じりけのない深入りコーヒーを粗挽き (coarsely ground) 設定で、4.0 オンスにしたときに、期待される総合的な好み (overall likeability) が 6.4 になりますが、期待される総合的な好み (overall likeability) の最小値は 4.2 となり、要求に合致しません。

確認

この結果を将来も確実に再生可能なものにするために、確認実験 (confirmation runs) を何回か行います。「最良」のコーヒーであることの確認が、確認結果に偏り (bias) をもたらす可能性のあることが分かっているため、我々の状況の確認はやや複雑です。この問題を回避するために、以下の確認実験を無作為順で行いました。現在のオフィスのコーヒーで2回、前のセクションの「最良」ブレンドで3回、「最悪」ブレンドで2回、および、どこか中間的なブレンドで2回。幸運なことに、いずれの確認実験も、それぞれに対応する予測範囲内に収まりました。

まとめ

数ヶ月の実験と、数時間の分析と最適化を経て、満足できる結果と、はっきりとした生産品質の向上が得られました。この実験は、DX10 に装備されたパワフルな combined mixture-process split-plot ツールが使用できないと実現不可能です。

by Martin Bezener (martin@statease.com),
with contributions from Hank Anderson (hank@statease.com)

 

参考文献

 


Shock-ing Improvement: An Experimental Design to Improve Mountain Bike Riding

ショックの改善にショックです:マウンテンバイクの走行を改善する実験計画

Jim Anderson, Guest writer

マウンテンバイカーの皆さん、お持ちのバイクのサスの沈み具合 (sag) を調整しようと、道路の縁石にちょこちょこ乗り上げて、ショック圧やタイヤの空気圧のセッティングに時間を費やしたことはありませんか?あるいは、フロントショックに大金を叩いた割に、パフォーマンスが思うようにあがらず、結局、お蔵入りになってしまったことはありませんか?最高の乗り心地を追求するために、皆さんは多くの時間をこうしたセッティングに費やしたんじゃないでしょうか。

この実験を行ったのは、私の持っている 29 インチ・ハードテイル型バイクのフロントショックが圧力を失ってしまいちょうど修理しようかなと思っていたところでした。私は、フロントショックを修理するのをやめて、RockShox® 社の Recon Gold Solo Air という 100 mm ショックを新調しました (写真参照)。私はこれまでにショックを自分で正しく調整できたことは一度もなかったので、ちょうどこの機会を利用して実際にやってみようと思いました。オンライン上で意見を調べたところ、いろんな設定を組み合わせて実験を試みることが誰もが共通して抱く考えのようでした。私は自分の仕事で実験計画法の統計学的な試行実験を行っていることから、乗り心地のよさを改善するこの実験に自分のスキルを活用しようと決心しました。この実験では、マウンテンバイクで競争をおこうのではなく、すばらしい北部カユナ道やウィスコンシン地区の美しいケーブル道はもちろん、レバノン・ヒル、マーフィー=ハンレハン、エルム・クリークといったツイン・シティ地区で中級レベルのクロスカントリーを楽しみます。

RockShox 社製のショック

実験の準備段階に考えたのは、実験を有効におこなうために要する条件です。まず私は地元にある実際の道路区間を使用したいと思いました。好みの乗り心地を試す試験場としては、最高の条件となると考えたからです。道路条件としては、この他に、設定内容を簡単に変更できるように、起点に戻るのが容易である点、そして、試験の中断を最小限に抑えるという観点から混雑の少ない道路にしぼりこみました。私が検討したのは、ツイン・シティ地区にある8つの道路です。いずれも少なくとも機能を試せる区間があるところです。このうち、実験に選んだ道路は、ミネソタ州モンティチェロにあるマウンテンバイク用道路 Bertram Chain of Lakes Regional Park です。この道路を選んだ理由は、最初の1マイルの間に幾つかのカーブや土手といった機能を試せるような地形があったからです。また、自転車道路の近くにはすぐにアクセスできる舗装道路もありましたので、起点に戻って、設定の変更を行い、道路条件を全く同じにして実験を行うことができます。

美しい風景、すばらしい湖、急な坂道と急カーブ。昔ながらのマウンテンバイク乗りには最高の環境です!(Bertram Chain of Lakes のトレイルライダー、ジョー・スウィテック氏談)

この計画の目標は、フロントサスペンションの性能と、タイヤの空気圧を含む幾つかの因子から最良のセッティングを見つけることです。実際に調査を行う因子としては、ショック圧 (shock pressure)、反発速度設定 (rebound setting)、タイヤの空気圧 (tire pressure) があります。前輪と後輪のタイヤの空気圧は、1つの因子としてまとめました。タイヤの空気圧は、カーブ、ロックガーデン、でこぼこ道を走行中のマウンテンバイクのハンドリングやスピードに影響を及ぼすと考えられます。このバイクのタイヤは、Geax 社製 Saguaro の 29 x 2.2 インチですが、Stan’s NoTubes Flow Ex リムのチューブレスにセットアップしました。

使用する実験計画法には、一時一事法 (one-factor-at-a-time)、完全実施要因計画 (full factorial)、一部実施要因計画 (fractional factorial)、中心複合計画 (central composite) や Box-Behnken 計画法などの各種最適化設計 (optimization designs) など様々な種類があります。私が選んだのは、2水準3因子 (23=8) の完全実施要因計画に、全試行数 10 について中心点の繰返し (duplicate) を加えたものです。この計画にすることで、主効果と交互作用の解釈を明確にすることができます。中心点 (center points) を加えたのは、応答の中に線形でないものがあるかどうかを知るためです。

この実験の設定水準を決めるに際しては、ライダーの重量が最大 220+ ポンドというメーカーの推奨値から、この値を使って外挿を計算し、自分の体重に対するショック圧の推奨設定について 165 psi という値を決定しました。また、ショックの振れ幅 (shock travel distance) には、典型的な推奨値よりも低い方のショック圧がむしろ利用できるという意見がオンライン上にありましたので、低い方には 135 psi という値を決定しました。チューブレスタイヤのタイヤの空気圧は、チューブありの実験よりも低くなりますので、前輪と後輪の水準は、低い方を 24/27 psi とし、高い方を 34/37 と設定しました。幾つかのバイクフォーラムの情報を元に、前輪と後輪の圧力の差は次式で求めました:front = x-1 , rear = x + 2 。反発速度 (リバウンド) の段階設定の高い値と低い値は、それぞれ、1 (ウサギ:速い) と 5 (カメ:遅い) としました。中心点 (Center Point) は、ショック圧 150 psi、タイヤの空気圧 29/32、および、反発速度設定 3 にそれぞれ設定しました。これらをまとめたのが以下の表になります。

表1:計画

実験の応答には、フォークの振れ幅 (fork travel)、乗り心地 (ride quality)、および、経過時間 (elapsed time) があります。フォークの振れ幅については、Recon Gold のフォークでは振れ幅が 100mm すなわち、約 4 インチが最大となります。この値をほとんどそのまま使いたかったのですが、この区間にはフォークの振れ幅を充分に要する崖が全くなかったため、この値はそのままでは使用しませんでした。フォークが一番下の位置まで落ちないよう、一定の振れ幅を保つのがベストです。乗り心地に求めたのは、走りの滑らかさ (smoothness) と牽引力 (traction) の良さです。速度の包絡線を押し上げたくはなかったのですが、各処理の公正な比較のために、経過時間 (Elapsed time) を測定し、試行ごとに同程度の力加減で走るようにしました。

実験の実施

実験を実施したのは、秋空の美しい10月のある日でした。現場に集合したのは、わずか数人のライダーでしたが、思わぬ晴天に恵まれて少しびっくりしました。走行距離は、いずれも 0.8 マイルです。舗道を通って起点に戻るまでには 0.9 マイルありますので、最初の試験走行と処理試行 10 回を合計すると全部で 18 マイル以上の距離になります。バイクの走行に加え、実験毎に設定を変更する作業とで、最終の走行に至る頃には体がもうぐったりしていました。走行と走行の間に行う設定内容の変更は、ショックポンプ、タイヤポンプ、および、反発の調整用のテコの使用で、思っていたよりも時間がかかりました。この日のために充分な耐久力を付けておけば良かったと思いましたが、実験が終わる頃には疲れ果てていました。すぐに家に帰って、統計ソフトで結果を実行しました。

実験結果

3つの応答の評価結果は、以下に⽰す表2の通りです。

表2:結果

この実験に使用した振れ幅 (maximum travel) の最大値は 2.5 インチで、可能な振れ幅の値 4 の半分を少し超えただけの値です。振れ幅 (travel used) の可動量に影響を及ぼす因子は、前輪のショック圧 (Front shock pressure) と反発速度 (Rebound) でした。以下に示す図1のグラフは、この関係を示すものです。ショック圧を高く (165 psi) 、反発速度 (rebound) を早くすると、使用する振れ幅は、ショック圧を低く、反発速度を遅くしたときほど大きくはなりません。実験に使用した道路には凸凹が全くなかったため、振れ幅の可動量がこれだけばらつくとは思いませんでした。

図1:前輪のショック圧・反発速度と、振れ幅の可動量との関係

目標とする応答は、乗り心地の良さ (Ride Quality : ridabilit) で、試行のたびに私が採点したものです (乗り心地が悪い = 1 ~ 乗り心地が良い = 10)。私が求めたのは、走り心地のよさ (smooth flowing) と運転のしやすさ (well-controlled ride) です。乗り心地の良さは、図2に示すように、タイヤの空気圧と高い相関関係がありました。空気圧が低いと、乗り心地の良さの平均値は 6.5 あるのに対して、空気圧が高いとわずか 3.25 にしかなりません。この結果は、タイアの空気圧を高く設定するほど振動が伝わりやすくなり (jerky)、空気圧を低く設定したときと比べて制御しにくくなるという事実によるものです。この記事の後部で示しますが、タイヤの空気圧を高くするほど、正規化した経過時間との関係は負の影響が及びます。これによって、制御がしにくくなり、多くの時間をロスします。牽引力が落ちるのは、段差、岩、根っこにより、それだけぶれが増えることによるものです。チューブレスタイヤのセットアップには空気圧を低くする方がメリットがあることは良く知られていますが、私はこの実験を行ってみて、タイヤの空気圧を低くする方がメリットがあることを身をもって学びました。

図2:乗り心地とタイヤの空気圧との関係

バイクに乗るときの力の入れ加減については、乗る度にスキルが向上するのを抑えるように実験ごとに同程度になるよう努力したつもりでしたが、強さを同じにするようにしたつもりでも、思うような結果にならないことを図3のグラフは示しています。試行番号 (run) は、実際に処理を行った実験の順番です。一般に処理を無作為順に実行することで余計な要因の効果を抑えるのに役立ちます。毎回同じ力で乗っていると思っていたとしても、無意識的な改善と区分道路に対する慣れによって経過時間は徐々に短くなっていきます。処理を行うたびに向上するスキルに関しては、制御が困難であることをこれは示しています。事前にレースコースを走ることに価値を見出さないマウンテンバイクのライダーの方は、この結果をひとつの教訓にしてください。

図3:経過時間と試行番号の関係

経過時間の背景にあるこの傾向を補正するために、回帰分析をおこない、結果からこの傾向を差し引いて、経過時間の応答を正規化したものが表3と図4です。正規化した経過時間に対して統計分析を行うと、2つの交互作用、すなわち、タイヤの空気圧と反発速度 (図5参照) との関係、および、タイヤの空気圧と前輪のショック圧との関係の交互作用はもちろん、タイヤの空気圧と前輪のショック圧の主効果も統計的に有意であることがわかります。2つの主効果と2つの交互作用を含むこのモデルでは、3つの応答の最も高い R 二乗値 0.82 が得られました。このことは、その他の2つの応答、すなわち、乗り心地の良さ (ride quality) と使用した振れ幅 (travel) の合計は、他の2つの因子やノイズ因子を含む可能性があることを意味します。これによってばらつきが少ないことがそれぞれのモデルによって説明されます。

表3:正規化した経過時間
図4:経過時間と正規化した経過時間
図5:正規化した経過時間とタイヤの空気圧および反発速度の関係

まとめ

以上をまとめると、タイヤの空気圧を低くするほど乗り心地の良さが向上し、また、経過時間も短縮する一方、反発速度と前輪のショック圧の違いの方は、可動するフォークの振れ幅の量を左右することになります。数値最適化に基づくと、このバイクの乗り方に関する最適な設定の組み合わせは、前輪のタイヤの空気圧を 24 psi 、後輪を 27 psi に低くし、反発スピードを遅めの 5 のカメに設定し、前輪のショック圧を高めの 165 psi にすることになります。これら設定内容を確実なものにするには、この設定内容でもっと長い道のりを使って確認実験を行ってください。この実験では、各因子についてそれぞれ3水準しか見ておらず、これらの水準間には強い予測能力がないため、全体的な最適設定を見つけるためには、最適化計画を使うことで更なる最適化を行うことができます。

この評価の詳細なまとめは以下のとおりです:

実際に行ってみないと分からなかったことが幾つかあります。すなわち、実際に実験を行うことがベストであること、タイヤの空気圧は低い方がメリットがあること、そして、ショック圧と反発速度の設定は、振れ幅の量に影響を及ぼすことです。皆さんも、これと同じ実験を試すことで、それぞれ最高のマウンテンバイク・ライフをエンジョイできるユニークなセッティングを見つけ出すことができるでしょう。

リンク

 


Minimum Runs—Maximum Results!

最小の試行 — 最大の結果

あなたはこれまでに通常の赤/黄/緑の計画を選択するツールの外側にある要因計画のオプションを検討したことがありますか? 特別な注意を負う計画 (Minimum-Run 計画) の特別なクラスがあります。これらの計画は、本当に推定する必要がある、係数の値に関連した過度の試行数が必要な、通常の一部実施要因設計の問題に対処するために作成されました。

完全な7要因の特性を示す必要性を考慮し、主効果と2因子交互作用 (2FI )の両方を推定することを意味します。標準の解像度 V (緑)一部実施要因計画は64の試行が必要です。これは、解像度 IV (黄色) の計画に向けて、ほとんどの人を混乱させるのに十分な仕事です。しかしながら、この32の試行の減少は 2FI の少なくともいくつかが相互にエイリアスされることを意味します。これらのいずれかを選ぶ代わりに、他の計画のオプションを探しませんか。7要因の Min-Run Characterize 計画は、50% の節約を超える30試行だけを必要とします!計画は、すべての主効果と 2FI を推定することができます。

これは素晴らしい計画ですが、公正な立場で言うならば、ただより高いものはありません。試行数が減少する非常に魅力的な利点に加え、部分的なエイリアシングおよび非直交性を認識するために2つの欠点があります。

部分的エイリアシング : これは Plackett-Burman (PB) 計画のように、他の計画で遭遇する特徴です。しかし、2FI のエイリアスをもつ部分的主効果の PB とは違って (例えば解像度 III 計画でレンダリングすること)、Minimum-Run Characterization (解像度 V) 計画は、主効果と 3FI で部分的にエイリアスされた 2FI を持ちます。これらの高次の交互作用は、一般的に無視できると仮定され、したがって、無視することができます。結果として生じる計画は、簡単に主効果と全ての2要因交互作用の両方を推定できます!

非直交性 : 教科書や古い概念では、計画が良い結果を提供するために、直交が必要であることを確信しており—真実ではありません! 計算を行うために鉛筆と紙を使用していたとき、これは本当でしたが、現代のDOE は、ソフトウェアを用いて洗練された数値的手法を使用して分析されています。効果の推定値は、現在でも非直交計画と同等に推定することができます。この効果は、モデル内の他の項目に依存し、あなたが使用しているソフトウェアがこれを説明できることが絶対に必要です。Design-Expert は、非直交解析を完全に扱うことができます。half-normalプロットにおける効果を選択したように、残っている効果は、グラフ上の位置が変更されることがわかります。最初はこれが少し不安にさせる場合がありますが、重要なことは、最大の効果にフォーカスし、常に意思決定を支援するために主題の知識を使用することです。最終的に、すべての DOE は分析の結果を検証するために、いくつかの確認を終了する必要があります。

Min-Runスクリーニング計画 は、解像度 IV(4) であり、非常に効果的なスクリーニング計画と考えるべきです。スクリーニングの定義は、重要である少数要素を発見するために、多くの重要でない因子をふるいにかけることです。良いスクリーニング計画は正しく主効果を推定します。(これらは 2FI でエイリアスされるべきでないことを意味します。) Min-Run スクリーニング計画は部分的なエイリアシングも持ちますが、主効果は、部分的に 3FI でエイリアスされています。

例えば、9要因をふるいにかける場合は、Min-Run スクリーンオプションは 20試行だけ使用します! これは、要因ごとに 2試行で、“padding” として追加される2の追加試行のデフォルトをプラスして、念のための試行または 2 は実験中に失われます。これは、実在の実験のための計画の堅牢性に追加されます。Min-Run Characterize 計画のように、小さな欠点は、部分的なエイリアシングと非直交性です。しかし、利点は、実験を行うために必要な時間とお金の削減です。

最後にもう一度 — いくつかの確認の試行を実行することで、常にあなたの実験結果を確認します!

by Shari Kraber (shari@statease.com)

 


 

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