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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser (NEWS レター)

実験計画法 (DOE:Design Of Experiements) を成功させる8つの秘訣

Stat-Ease 社コンサルティンググループ: (後ろ、左から右へ) Brooks Henderson、Mark Anderson、Wayne Adams。(前、左から右へ) Pat Whitcomb、Shari Kraber、Martin Bezener

 

実験計画法 (DOE) に取り組むのが始めての方々は、何から始めればよいか分からないかもしれません。そこで今回は、我々のコンサルタントチームから、順調に実験を始めるための助言をお届けします。我々の統計チームの助言をもとに、入念に検討して、似たような内容はまとめ、8つのランクでリスト化したものを示します。これらのヒントを有効に活用し、是非 DOE を成功させてください。

  1. 時間をかけて実験を計画し、その目的、測定すべき応答、調べる因子、最も適合する計画を丁寧に書き出します。この段階で、スクリーニング (S) 、特性化 (C) または最適化 (O) など、実験の戦略をよく考えます (SCO – Ron Sneeによって実証されている優れたDOEアプローチを参照してください) 。事前準備に時間をかけることによって、その後のデータ解析で起こる問題を減らすことができます。

  2. 単に因子設定の最適な組み合わせを選別するだけでなく、プロセスの理解を目指して DOE を適用します。問題が生じたとき、プロセスに関する十分な知識があれば無駄な努力を避けることができます。

  3. スクリーニング計画の場合、Sparsity Of Effects Principle、つまり「掘り下げた研究に有用なのは、いくつかの極めて重要な因子のみ」、に依存します。すべてが相互作用すると見込まれる因子で実験をしている場合は、スクリーニング計画ではなく、分解能 V または、さらに水準の高い計画を使用してください。

  4. 試行8回以下の小規模な計画で発見できるのは、大きな効果のみとなります。それが非常に重要であっても、統計的に有意な因子は存在しないという結果が示される可能性があります。これは検出力の問題です。計画の検出力の判断については、こちら を参照してください

  5. 正確で精密な測定システムがなければ、統計的分析は意味のないものとなってしまうでしょう。DOE を実施する前に、データ収集手法についての知識を蓄えてください。

  6. 配合実験の場合、最も良い結果が得られるのは混合計画でしょう。応答が (水も含めて) 原料の比率の関数である場合、混合計画を使用します。この理由について詳しくは、こちら (primer on mixture design) を参照してください。

  7. すべての問題に合致する定型の計画はありません。DOE のツールについて学び、状況に最も適した手法を選択してください。標準的な計画よりも、最適化 (カスタム) 計画のほうが適合するかもしれませんので、躊躇せずに使用してみてください。例えば、Optimal Numeric チュートリアルを参照してください。

  8. 現実の問題では、しばしば無作為化の制約が必要になることがあります。実験の実施を容易にするために、DOE の試行をソートしているのであれば、分割法が適しています。この場合、通常の分散分析 (ANOVA) だと、ある種の効果が過大評価され、その他が過小評価されることがあります。分割法の詳細については http://www.statease.com/training/webinar にアクセスして、以下の 2つのオンラインセミナーをご覧ください。

DOE をスタートダッシュするために、さらにヒントが用意されています。効果的な要因計画に向けて Stat-Ease Academy が提供する新たな 4つの手法 (4 Easy Steps to Effective Factorial Design) を参照してください。この無料オンラインコースには、ここから アクセスすることができます。

—Shari Kraber, shari@statease.com


部分的なエイリアス化の解決方法

本記事は、2015年3月に Stat-Ease 社のコンサルタントである Wayne Adams が部分的なエイリアス (別名) 化について説明した記事 「一部実施要因計画のエイリアスの理解」 をフォローアップする内容となっています。その後、彼は好ましくない効果についても述べ、産業界における例をあげて、こうした悪影響を修正する方法を示します。

部分的なエイリアス化を用いた計画の例として一般的なのは、処理数 12 の Plackett-Burman (P-B) 計画です。表1 で示す因子Jのように、この分解能 III 計画では主効果の交絡は抑制されます (なぜ、この因子が選択され、交互作用 AB と AD がハイライトされたかについては、後ほど明らかになります)。

表1: 因子 J の主効果の Plackett-Burman エイリアス構造

 

この Plackett-Burman (P-B) 計画では、すべての主効果が、主効果を含んでいない個々の 2因子の交互作用 (2FI) を使って、部分的にエイリアス化されます。従って、すべての主効果 (ME) および、交互作用の予測は互いに偏っています。最悪の場合、エイリアス化された効果がキャンセルされます。例えば、A の係数が本当に +1 で BC の係数が +3 である場合、計算結果はゼロ ([A] = 1*A – ⅓*BC = 1*1 – ⅓*3 = 0) となります。幸いこのような最悪な状況が発生するのはまれです。ほとんどの場合、ほんの少しの交互作用がアクティブで、これら交互作用の係数が、間違った主効果が生成されるまで積み上がります。DOE のベテランの中には、この結果を 2FI が多くの ME 上で「smeared out (濁されている) 」 と言う人もいます。どう見てもこのような結果であれば、ご使用の方法に関してさらに深い知識は必要ありません。

Plackett-Burman (P-B) 計画のこうした欠点については十分に立証されています。この計画の考案者である Plackett と Burman はこれを「…単純な線形仮説を想定」して開発しました。残念ながら、この仮説を知らないままの実験者もいて、因子の交互作用によって影響を受けそうな系でこれらの計画の使用を試みることがあります。そのため、私達は最初のスクリーニング実験の一般的なルールとしては、より分解能が高い IV 計画を推奨します。

私達が行っている Experiment Design Made Easy クラスで使用しているサンプルを使用して、Plackett-Burman (P-B) 計画の解析でよく起こる問題を検討してみましょう。この事例では、冶金のチームが溶接の強度の 11 因子の影響をを定量化したいと思っています。チームは、表2 (順不同で掲載) で示すように、最低12回試行の計画に取り組みました。

表2: 溶接実験のための Plackett-Burman 計画

図1 では多くの要因を例示しています。

図1: 選択した因子を図で示した例

半正規プロット (図2) でわかるように伸縮の強度の効果は、ポジティブがオレンジ色で、ネガティブは青で示されています。溶接棒のエクステンション (J) と冶金の基盤 (D) が、ポジティブな効果として際立っています。これらの2つの因子は 15mm と SS41 で、高設定となっており、それぞれ伸縮の強度が増加しています。次は開口部 (E) のネガティブな効果がきて、低設定 (1.5mm) が最適であることが示されます。

図2: 溶接の結果の半正規プロット

これらの設定が使用されたときに、溶接部の伸縮の強度が確実に向上します。しかし、すべてエイリス化されていても、これらが本当に差異のある主効果であるのか、他の因子の2因子の交互作用かどうかは曖昧なままです。

このエイリアスの妨害を除去するための一般的な手法は、因子設定で「foldover (折り重ね) 」で試行 (run) を追加することです。こうして計画を拡張すると、低因子と高因子、および、高因子と低因子の水準が交換され、計画が反転されて折り重なります。このような「折り重ねの試行」は拡張された設計において2番目のブロックを形成します。通常、折り重ねは再度無作為化されます。しかし、構造を表示するために、表3は表2の試行の最初のブロックと同じ行に沿ってレイアウトされます。

表3: オリジナルの12試行の折り重ねの抽出 (2番目のブロック)

 

データの2つのブロックが結合されると、エイリアスの構造が向上します。主効果は、もはや 2FI でエイリアス化されません。しかし、2FI は他の 2FI (すなわち分解能 IV) でエイリアス化されたままになります。これは、効果 AB と AD のエイリアス化によって表4 で示されています (なぜこれら特定の交互作用が選択されたかについては、後ほど明らかになります) 。

表4:AB と AD の交互作用のエイリアス構造

図3で分かるとおり、半正規化プロットの 24 の試行によって、いっそう多くの事実が明らかになります。

図3: 折り重ね (foldover) 計画の半正規プロット

 

 金属基盤の効果 (D) は、まさに真実でした。それ以外に、何が本当に溶接部の強度に影響を与えているのかについての全体像も覆されました。J と E の主効果は消失し、A、B、C の主効果だけでなく、AB と AD の交互作用も出現しています。 表1 に戻って見てみると、初期の計画が因子Jが最も影響すると実験者を騙していたことがわかります。本当は AB および AD の 2FI で、これらの効果がこの主効果と部分的にエイリアス化されているときです。

角度 (A)、基盤の厚さ (B)、および電流 (C) によって新たに明らかになった主効果は、エイリアスのキャンセルと十分な電力がないことにより、最初の試行のブロックからは明らかになりませんでした。折り重ねを行うことで、実験者は分解能の向上と、より高い検出力という2つのメリットを得ることができます。

表4で示されたエイリアス化が原因で、冶金家たちは交互作用が AB と AD であったと確信が持てませんでした。しかし、ほとんどの場合、交互作用は有意な主効果をもつ因子から生じるということが分かりました。統計の専門家たちは、このことを「効果の遺伝」と呼びます。これは、冶金家たちにとって非常に理にかなっているように思われます。

つまり、折り重ねによって、最初の Plackett-Burman (P-B) 計画における主効果のエイリアス化の問題が修正され、また、小さいが重要な効果も明らかにする十分な検出力が提供されました。折り重ねは、計画を真のスクリーニング計画、すなわち分解能IVにアップグレードします。それから、識別された主効果に基づいて決定することができます。その上、重要ではない主効果を伴う因子はフォローアップの実験から除くことができました。

交互作用が存在しないと 「想定」することは、交互作用が 「存在しない」と同じことではありません。Plackett-Burmans などの分解能 III の計画が実験データを収集するために使用される時、分析の結果は交互作用の大きさに依存します。Plackett-Burman または他の分解能 III の計画の使用が必要であると判断、または、こうした計画を基にした出力作業によるフォローアップをする場合は、プロセスの理解に向けた次のステップとして上記で述べた折り重ねの手法を検討してみてください。

 

—Wayne Adams, wayne@statease.com

 

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