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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser (NEWS レター)

新しい分割法ツールが、ヘリコプター開発の成功の鍵に

紙製ヘリコプターを作成する作業は、実験計画法 (DOE/Design of experiments) として体験型学習でよく使われる方法です。切ったり、折ったりするだけで紙製ヘリコプターを作成できるテンプレートは、大変広く普及しています。図1が、どのように作るかの分かりやすい例です。ペーパークリップでバランスを取ること ― これは、紙製ヘリコプターの羽根と本体部分の寸法と同じくらい重要な因子です。DOE を体験する学生のゴールは、できるだけ長時間飛び、定められた位置にできるだけ近く着陸できる紙製ヘリコプターを作成することです。Stat-Ease 社のコンサルタント、Brooks Henderson が母校で撮影した映像をご覧ください。http://tinyurl.com/PaperCopter 紙製ヘリコプターが素晴らしい飛行をする様子です。彼の母校は、サウスダコタ・スクール・オブ・マインズ・アンド・テクノロジー (SDSMT) で、私たちが長年にも渡り、定期的にDOEを用いた授業を行っている学校です。

図1:紙製ヘリコプター

 

オハイオ州立大学フィッシャーカレッジで、私はシックスシグマの上級向けクラスで年に2回、紙製ヘリコプターの実験が行われていることを10年以上見てきました。Design-Expert のバージョン 9 (DX9) がリリースされた時には、紙製ヘリコプター制作で変更が難しかった因子を、新しい分割法で試すのが待ちきれませんでした。

 

実験詳細

高品質紙 Conqueror CX22 で作成された紙飛行機が、飛行距離でギネス記録を打ち出したというニュースに触発され、Brooks と私とで、紙製ヘリコプターを用いて、分割法実験を計画することにしました。私たちは、Stat-Ease 社のワークショップのメモ用に使われていた一般的なコピー用紙と、高品質紙 CX22 で実験を行いました。そして飛行テストの実験精度を上げるために、高解像度 (Res VI) 2水準計画で 32回の試行 (=26-1) の実施において、以下の通り5つの因子を加えました。

  1. 紙の素材:普通紙 (24# Navigator Premium) VS 高品質紙 (26.6# Conqueror CX22)
  2. 翼の長さ:短い VS 長い  (※航空機産業用語では、回転翼)
  3. 本体の長さ:短い VS 長い
  4. 本体の幅:細い VS 広い
  5. クリップ:なし VS あり
  6. 落とし方:下向き VS 上向き

構造の性質上、最初の4つ (小文字で表している) は、途中で変更が難しい (Hard To Change/HTC) 因子です。そして他の2つの因子は、操作 (飛行) の際に変更することが可能です。これらは変更が容易な因子 (Easy To Change/ETC) と言えます。

紙製ヘリコプターをできるだけ長時間飛行させるため、最も精度の高いヘリコプターを決めるために、いかの2つの応答 (Y) を計測しました。

  1. 天井の高さから、3回落とした時の平均時間 (秒)
  2. ターゲットからの平均偏差値 (cm)

平均することで人的要因の「紙飛行機を落とす動作の違い」や、「風向き」などを抑える平均化も、考慮すべきことです。

紙製ヘリコプターを作成するために必要な「忍耐力」と「スキル」 (私にはどちらも足りないのですが) のあるスタッフ ― State-Eases 社のコミュニケーションスペシャリスト、Karen Dulski ― にも協力してもらいました。表1で示すように、機体番号によって変更が難しい因子 (HTC) をグループ化したところ、彼女の制作時間は半分に削減されました。

表1:32回の試行における分法テスト計画リストの一部 (最初の3グループと最終グループ)

 

16機の紙製ヘリコプターを制作し (ペンでグループの番号を付け) 、エンジニア達は変更が容易な因子 (Easy to Change/ETC) を試行順に2つ組合せ、表のような実験を行いました。

 

無作為化を制限する場合の検出力のトレードオフ

表2で分かるように、これらの2つの結果から、ターゲットからの距離 (Y2) から、最も低い S/N 比が確認できます。事前の再現調査で計測された 2cm の標準偏差に対して、5cm の重要度の最小偏差が基準となっています。

表2: 紙製ヘリコプター2機の応答の S/N 比

 

S/N 比が減少している時に、十分な検出力レベル (一般的には 80% 以上) が必要とされる試行数は指数的に増加します。従って Y2 は、応答を制限します。私たちが全区画 (whole-plot) を、2 (事前の調査で得られた数値) の分割法分散比に入力した後、32回の試行の2レベル要因配置計画の 2.5 S/N 比は、表3で示される検出力を生じました。

表3:主効果を引き出す検出力 (分割区分法 対 無作為法)  

 

このような結果から、どのような重要な結論が確認できるでしょうか。それは、完全に無作為化された計画に対して、変更が難しい因子 (Hard to change/HTC) をグループ化することで、検出力を失ってしまったということです。(このケースではさほど大きな問題ではありませんが、他の因子 (Easy to change/ETC) は、97.5% から 99.8% と、少しですが増加しています。) しかしながら、完全に無作為な実験計画で必要とされていた 32 機ではなく 16 機の紙製ヘリコプターを作るだけでいいという、効率的で費用をかけない方法は (CX22 は、実験用にストックしておくだけでも大変な費用が掛かります) 、一般的に 80% 以上であれば許容範囲とされる検出力の損失にまさります。表2のように分割区分法での計画は、航空整備士からも「いいね!」のサインをもらえるでしょう。

 

結果

aE の相互作用プロット (図2) で示されるように、紙の種類 (a) がペーパークリップの選択 (E) と相互に大きく影響を及ぼす (p<0.5) ことが明らかとなりました。ペーパークリップを取り付けて飛行させると、飛行時間が急激に低下しますが、紙自体が重い CX22 (高品質紙) を使うと、それほどでもありません (緑の△のライン) 。

図2:紙の種類の相互作用

 

正確な飛行を目指すには、ペーパークリップの使用が必須です―もちろん、航空機のドリフトを重力が制御することを可能にするには、重量が必要なのは当然のことです。図3が示すのは、紙製ヘリコプターが、最も一貫して、長く正確な飛行 (最小標準偏差) をするための最も望ましいトレードオフの Design-Expert 9 での様々な応答の結果です。

図3: 様々な最適化結果

最終的には、CX22 が圧勝!

 

結論

分割法と特にこの実験の結果については、多くの事が言えると思いますが、主に得られると思われたことの範囲外でした。

さらに本実験に関して言うと:

このタスクを Design-Expert 9 の新たな分割法で実施することを、私自身大変楽しみました。授業に飽きてしまった時、多くの人が、教師や上司の目を盗んで教室やオフィスで「紙」を投げて遊ぶこともあるでしょう。ただこれは、紙ヘリコプターを飛行させることを「プロダクティブな仕事」と捉えれば、それも素晴らしい仕事の1つになるかもしれません。

By Mark Anderson (mark@statease.com)

 


一部実施要因計画のエイリアスの理解

Wayne Adams が、電子レンジでポップコーンを作るケーススタディを使って、エイリアシングとは何か、また、なぜ注目すべきなのか、例を用いて解説します。

 

ケーススタディ: 4回の試行の一部実施要因の実験計画法 (DOE)

電子レンジでポップコーンを作る事、これは、Stat-Ease 社では大変人気があります。私たちは様々な方法で、ポップコーンを作る実験を楽しみました。私たちのポップコーン作りの共通の測定法は、「味の評価」です。

とにかく結果を素早く導き出したいと思いながらも、私たちは3つの因子に対して4回の試行計画を実施しました。私たちは、ブランド (低価格か高価なポップコーンなのか) 、電子レンジでの調理時間、電子レンジの出力設定のどれがポップコーンの味に関係するかを調査しました。図1での半正規プロット (half-normal plot) では、全3因子が味に関係すると確認できたことが分かります。皆さんは、ブランドによってポップコーンの味が変わる、という結果を信じますか?

図1: 1/2実施 (23-1) 分解能 III 計画の半正規プロット (half-normal plot)

 

ポップコーンの外観検査 (図2) で、この結果が確認できます。高価なブランドのポップコーンは、半分の時間で焦げてしまい、味も悪くなってしまいます。低価格のブランドのポップコーンは、全く焦げることがなく、その結果、味もよくなります。電子レンジの出力が高い状態だと半分の時間でも焦げてしまい、また半分の出力でも時間が長すぎれば焦げてしまいます。

図2:ポップコーンの外観検査

 

ポップコーンを作ったことのある人は、高価なブランドのポップコーンに熱を加えすぎて長く調理しすぎると、焦げてしまうことをご存じでしょう。そして、「このポップコーンは本当に高価なポップコーンなの?それとも電子レンジの出力が高すぎたの?それとも長い時間調理しすぎたの?」と、疑問がわくでしょう。実験計画したことのある人は、主効果と相互作用間でエイリアシングをするには規模が小さすぎると気づくことでしょう。

Design-Expert では、設計画面上にエイリアスの情報を表示し、実験者に提供します。

図3:計画の作成の際のエイリアス画面

 

この数値とアルファベットの組合せは、何を意味するのでしょうか。なぜ実験者はこのような数値を見るのでしょうか。

モデルマトリックス (X) のコンセプトを簡単に確認しておくことは重要です。マトリックス X には、計画に1試行1行、また計画モデルに各項1列表示されます。最初の行は「全て+1」の行で、多項式モデルでインターセプト (Intercept) 項を表しています。そして、そのモデルで項に関連付いている列は、最小値の -1 と最大値 +1 とコード化されています。

Table 1: 23-1 計画のモデルマトリックス

主効果は、因子そのもの (このケースでは A、B、C) に関連している列です。青くハイライトされているこれらの列は、Design-Expert で確認された Design Layout のスプレッドシートと同じです。この2因子相互作用 (2FI) の列は、2つの主効果を表す列をかけることで作成されます。同様に、3FI の列は3つの主効果をかけています。最初の行を見てみると、A = 1、B = -1、そして C = -1 となっています。ですから、AB = 1 × -1、AC = 1 × -1、BC = -1 × -1、そして ABC = 1 × -1 × -1 となっています。

マトリックス X で列が同一の時には、これらの項は完全にエイリアスされていることになります。表1では、3FI の列と Intercept 項が同一で、A は BC と等しく、B は AC と等しく、C は AB と等しくなります。

 

なぜこれが重要なのでしょうか?

このエイリアスのリストでは、実験者が計画設計を継続するにあたり、入手する情報をレビューすることが出来ます。明らかに優位である項が互いにエイリアスされている場合、多くの資源が不適格な計画によって無駄になる前に、別の計画を選択することができます。

このケーススタディでは、主効果が 2FI で完全にエイリアスされていることが分かります。

図4:23-1分解能 III 計画 (Resolution III designs) のエイリアス構造

 

括弧内がモデル項で、また=記号の右側の項がエイリアスされた項です。[A] から読み取れることは、「 A と BC の合計が [A] である」ということです。他の視点では、BC の相互作用が有るとき、ブランドの効果からの推測にはバイアスがかかり、誤った結果が報告されるということです。

 

エイリアスによって何が実現できるのか

エイリアスは、よりユニークな試行によってのみ設定が可能です。もしサンプルが8回試行完全実施要因設計で開始されれば、完全なストーリーが明らかになる事でしょう。図5で確認できるように、この特有のケーススタディにおいて、ポップコーンの味の決め手は、時間 (B) 、出力 (C) 、時間と出力 (BC) の相互作用となることが分かります。1/2実施の4回試行計画は、主効果は2つの因子の相互作用によって完全にエイリアスされている場合、A ブランドの主効果 (図1) から BC 相互作用の結果を分割することはできません。これは、とてもわかりやすい間違った結論として捉えることができ、次のプロジェクトへ進むことが出来ます。図1で示されるように、計画から正しい結論を導き出すために、実験者は、ブランドは味への実質的効果をもたらすものではないという事前の知識を持つ必要があります。

図5:完全実施(23)設計の半正規プロット

 

試行は、エイリアスを確定するために既存の計画に追加することができます。最初からベストな計画でスタートすることに比べ、計画を追加するということは、最低でも1回の試行を余分に行う必要があることが、否定的な面と言えるでしょう。

一部実施要因計画を設計する際には、エイリアスリストを確認しましょう。その計画によって、あなたが正しい判断が出来るだけの情報を導き出してくれるかを確認しましょう。もしも、どの因子が重要であるかを調べるのがゴールであれば、2因子の相互作用が主効果にエイリアスされないことを明確にすることが重要です。それが設計作業の1部であると思えば、エイリアスリスト (図3) を見るには時間がかからないでしょう。

 

—Wayne Adams (wayne@statease.com)

 

 

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