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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser (NEWS レター)

カップケーキの製造に分割法を活用

STATCON 社 (ドイツ) から第5回 ヨーロッパ DOE ユーザーミーティングにゲストとして参加した セバスチャン・ホフマイスター氏、カップケーキとともに。

分割法は Design-Expert のバージョン9 (DX9) で最も重要な新機能です。この特異な計画の用例は数多くありますが、本記事では一例として、カップケーキを焼く技術を取り上げて検討します。最初のセクションでは、標準的なアプリケーションと基本的な用語について説明します。次のセクションでは、統計的視点から分割法の必要性を示します。最後のセクションでは、要因分割法の設定と解析のプロセスについて述べます。

私の DOE (実験計画法) 分野のトレーナーとしての経験において、ダニエル・カスバート (アメリカの工業統計学者) が述べた「すべての工業実験は、分割法の実験である」ということを確認しました。ほとんどの場合、基礎レベルの DOE (実験計画法) のトレーニングでは、観測および「変更困難な因子」の独立性に関する議論で終わらないものはありません。しかし Design-Expert バージョン 9 が提供されてからは、適切な例とともに、分割法で解決できる問題および、Design-Expert でどのように行うかを示しながら、どのような議論でも迅速に終わらせることができるようになりました。

 

カップケーキでの実験

「カップケーキを製造する会社で働いている」と想像してみましょう。仕事の一環として、製造工程の最適化があります。主な目標は所定量の練り粉で製造されたカップケーキの大きさを最大にすることです。制限事項は、練り粉の基本配合をコントロールできないことです (ここにはドーナツミックスはありません) 。問題を解決できるのは、焼く工程 (温度と時間) の変更によってのみです。さらに、カップケーキにチョコレートチップを加えるかどうかを選択することができます。

これらの因子および、私が「データ収集プロトコル」と呼ぶものをざっと見てみましょう。実験の第一段階は、当然ながら練り粉を焼き型に入れることです。特定の温度 (temperature) 時間(time) でカップケーキを焼くために予熱したオーブンに練り粉を入れる前に、チョコレートチップ (chocolate chips) が加えられる可能性があります。

そして、そこには「焼き型」という重要な要素が存在します。一般的に、カップケーキ用の焼き型には6つのカップがあり、同時に6つのカップケーキをつくることができます。ここでの問題は、同じ温度と時間で、これら6つのカップケーキを同時に焼かなければならないということです。このような場合、分割法が有益です。標準的な DOE (実験計画法) では完全な無作為化の手法 (各試行の間ですべての因子を完全にリセットする手法) を使用しますが、分割法では非独立の実験を使用することができます。

本状況では、温度と焼き時間は計画全体において無作為化できないため、「変更困難な因子」と呼ぶことにします。これに対し、チョコレートチップは無作為化に関する制限がないため「変更容易な因子」とします。チョコレートチップを入れる場合、焼き型のどのカップに入れるかは自由に決めることができるものとします。

 

なぜ独立性が関係しているのか

これまでに述べたシナリオでは、実験のグループについては言及しませんでした。6つのカップケーキは同時に焼かれ、どのグループも同じ温度と時間で焼かれます。しかし、各グループ内の個々のカップケーキには、チョコレートチップが入っているかも知れないし、入っていないかも知れません。統計学では、これらのグループを「全区画 (whole plots) 」そして、個々のカップケーキを「副区画 (subplot) 」と呼びます。

では、なぜこれら実験グループの存在が重要なのでしょうか?その理由は、ほとんどの統計手法 (最小二乗回帰および分散分析 [ANOVA] を含む) で、観測はそれぞれ個別のものであると仮定しているからです。今回の例では、問題はカップケーキをいくつか並べて同じ温度と時間で焼いたということではないということに注意してください。問題は、それらを同時に焼いたという点にあります。

それぞれが独立した実験であれば、同じ因子設定で何度か実験を行っても問題ありません。今回の実験では、ここに各カップケーキを製造した後でオーブンを室温まで冷却すること (処理パラメーターの完全なリセット) が含まれます。

経済的観点から言えば、これは明らかに良いことではありません。そのため、代案として、これらのグループの試行が独立して行われないように Design-Expert に指定します。すると解析に適した統計手法が選択されるようになります (これは混合モデル (mixed model) である場合に機能します) 。この設定を行わなかった場合、Design-Expert 9 は、各グループ内のカップケーキを独立しているものとして扱うため、ユーザーは何らかの変化を過小評価してしまうでしょう。しかし、カップケーキは一斉に焼かれるため、完全に個別で焼かれたカップケーキで想定できるものよりも、状態はさらに似通っていると思われます。これは、温度 (temperature)時間 (time) の影響の第1種の誤り (Type 1 Error) 率増加につながります。

 

適切な手順

Design-Expert 9 のスクリーニング・セクションでは、Split-Plot Regular Two-Level Factorial Designs (分割法通常2水準要因計画) の設定オプションが用意されています (図1 参照) 。今回は、このオプションを使用する必要があります。私達は、これら3つの因子 (そのうち2つは変更困難な因子) に対し、完全な要因計画を設定しています。それぞれの時間と温度の組み合わせに対して、6つのカップケーキを焼いているため、反復 (replicates) には 6 を入力します。これにより、チョコレートチップの因子にも自動的に反復が適用されます。これらの反復は最後に手動で削除する必要があります。

図1

 

因子は簡単に入力することができます (図2 参照)

図2

 

結果として得られた計画を図3に示します。それから Design-Expert 9 の計画編集ツールを使用して、6つのカップケーキのグループにレイアウトを変更しました。

図3

 

データ収集後は、これまでとほとんど同様の形式で分析が示されます。唯一の変更点は、半正規プロットを提供する2つのタブが追加されたことです。このタブを使用すると、グラフを使用してプロット全体の影響 (温度時間) および、サブプロットの影響 (チョコレートチップ) を分析することができます (図4a および 4b 参照) 。

左:図4a – 全区画
右:図4b – 副区画

 

本実験では、全区画 (whole-plot) と 副区画 (subplot) の効果を推定するときの評価情報が異なっているため、このタブを利用する必要があります。全区画の因子を完全に無作為化しなかったため、これらの因子の情報量は副区画の因子に関する情報に比べて少なくなります。これは、ANOVA タブで標準誤差を解析する場合にも確認することができます。

図5

全区画効果の標準誤差 (0.27) は、副区画効果の標準偏差 (0.075) よりもはるかに大きい値となります (上記、図5 参照) 。

分割法計画の解析で示されるレポートとグラフの内容は、標準的な回帰モデルで示されるものと非常に似ています (図6 参照) 。

図6 (チョコレートチップの効果の P 値が低いことに注意してください)

 

これで、「チョコレートチップは、カップケーキの大きさを最大化することにおいて重要な因子である」ということを簡単に確認できるようになりました。甘党にとっては残念なことに、本実験では「チョコレートチップなし」のほうが有利でした。とはいえ幸運なことに、このシナリオはすべて想定なので、チョコレート好きが喜ぶ別の結果が得られる望みも残っています。

楽しいお菓子作りを!

Sebastian Hoffmeister

 

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