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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser (NEWS レター)

英国人科学者が本領を発揮、ビールに注ぐ渾身の DOE

昨年夏の第4回ヨーロッパ DOE (実験計画法) ユーザー会で発表された注ぎ方に関するポール・ネルソン氏のプレゼンテーションは、ビールをこよなく愛するスチューデント (*) の一人として実に興味深いものでした。PRISMTC 社 (英国のリセラー) のテクニカルディレクター兼共同創立者であるポール氏は、ビール1パイントを完璧に注ぐ秘密を明かす独創的な実験について詳しく論じました。PRISMTC のメンバー (**) がこの目的を達成するのに作ったマシーンがこれです。自分たちの実験計画 (DOE) と寸分違わぬ設定ができるように作られています。

図1:注ぐ角度を調整するために作成された装置

彼らが着目したのは2つの応答です。すなわち、ヘッドの高さ (注いで出来る泡立ち) と、ビールの寿命 (泡が抜けるまでの時間) です。Design-Expert® ソフトウェアで作成した応答局面法 (RSM) による計画を使用して、以下に示す4つの因子について実験を行いました。

  1. 注ぎ時間 (15 – 30 秒)
  2. グラスの角度 (45 – 90 度)
  3. 注ぎ口の高さ (0 – 150 ミリメートル)
  4. ビールの種類 (プレミアム vs 廉価)

なお、最後の変数はカテゴリー変数 (二者択一) ですが、我々のプログラムを使えば最適計画を含む様々な方法で取り扱うことができます。

この話の続きは、PRISMTC の記事 (http://www.prismtc.co.uk/quality-beer-design/,***) をご覧ください。詳細な説明だけでなく、バーチャルなビール缶とグラスを使ってこの絶妙な操作を実際に試すことができます。すばらしい!

—Mark Anderson, mark@statease.com

* 標本統計に関する論文を "Student" というペンネームで発表したギネスビールの醸造技術者に敬意を表して。
** スチュワート・ウィルソンとアンドリュー・マクファーソン
*** 短縮リンク:http://is.gd/beerfoam を使えば、ブラウザへの入力の手間を省くことができます。

追記:偶然ですが、昨年の夏、私は、ビール飲み放題の野外結婚式に招待されました。樽の横に付けられた蛇口をひねるだけでドラフトビールを好きなだけ飲むことができます。結婚式そのものは滞りなく無事に終了したのですが、ビールの方は残念なことに泡しか出すことができませんでした。その時は幸いにも、経験豊富なパーティ好きの連中がいて、充分なビールと程よい泡をグラスに入れる丁度良い角度を伝授してもらいました。ビールを適切な角度で注ぐ PRISMTC の装置がなかったのが残念でなりません。今度ワゴンが近づいて来る機会があれば、もっと上手に注ぐことができるでしょう。

 

 

パーツ (割合) とフィラー (充填剤) の誤解から敬遠される混合計画

A Primer on Mixture Design: What’s In It for Formulators? による混合 (mixture) の定義です。

混合とは、最終生産物を作り出すのに必要な単一または複数の特性を有する原料 (成分) の組み合わせである。」(John Cornell & Greg Piepel)

混合とはいかなるものか?

    1. その因子が原料であること。
    2. その応答が量ではなく構成比によって左右されること。

これら2つの条件下で、全体の合計を (等しい制約条件で) 固定することで、その応答を成分比の関数として簡単にモデル化できる。」(Pat Whitcomb)

Design-Expert ソフトウェアが混合計画を簡単にしてくれるので、要因計画でもなく、応答局面法 (RSM) でもなく、まさに混合計画が DOE の構築に頼りのツールとなります。あいにく、要因計画/応答局面法 (RSM) しか学んでいない方が多いので、混合計画による手法が見過ごされていることがあります。良くある理由を以下に紹介します (実際の引用文)。

このホワイトペーパーでは、「パーツ」や「フィラー」という言葉が元になって生まれるこうした誤解を払しょくしたいと思います。以下に示すのはいずれも実世界の事例です。

 

事例1:パーツによって実行される RSM 実験の例

何年も前に、我々は RSM を習得しているクライアントと共に作業しました。彼らは、このパワフルな統計ツールの可能性に非常に高い関心を抱き、以下に示すシーリング材 (家庭でシャワーの水漏れに使うような防水材です) のレシピを即座にあてはめました。

  1. 可塑剤 (Plasticizer):50~100 のパーツ (割合) で変動
  2. 充填剤 (無機) (Filler (inorganic) ):100~ 250 の割合で変動
  3. その他の原料:57 の割合で固定
  4. ポリマー (Polymer):100 の割合で一定水準に設定

彼らは、充填剤 (filler) と可塑剤 (plasticizer) について試行数 13 の中心複合計画 (RSM) をセットアップしました。図1は、はじめに2水準 (22) 要因のコアを4回試行し (1~4)、その後、軸点 (axial point) について4回試行し (5~8)、最後に中心点 (center point) について5回試行する (9~13) 標準的な順序で行った実験結果を示すものです。

図1:パーツ毎にならべた実験結果

 

あいにく、リアクターに投入する総量が変わってしまったため、その他の原料 (C) とポリマー (D) の構成比も変えなくてはなりません:これら2つは、当初想定していた固定量ではなくなりました。このことは、原料を百分率で作り直した棒グラフを見ると明らかです (図2参照) 。

図2:百分率で再計算された原料

原料の取りうる範囲は以下の通りです:

  1. 充填剤:23% ~ 55%
  2. 可塑剤:10% ~ 28%
  3. ポリマー:19% ~ 33%
  4. その他:10% ~ 19%

ここで、対象となる因子は原料であり、その性能は比率によって変動します。正に混合 (mixture) としての要件を満たします。幸いにも、この説得力のあるプレゼンテーションは、彼らが物事を正しく理解する後押しとなりました。3成分混合計画を使って、これらを以下のように変更します:

  1. 充填剤:充填剤:23% ~ 55%
  2. 可塑剤:10% ~ 28%
  3. ポリマー:20% ~ 33%

残りの 14% は、全 13 混合物すべてについて一定の割合で固定します。

誤った手法を適用したこの事例 (RSM ではなく混合計画にすべき事例) のまとめとして、図3の棒グラフをご覧ください。3成分の合計が 86% に固定された計画がより適切に示されています。

図3:百分率で表示された3成分の混合計画

 

混合計画では、原料の割合をコントロールし、それらを「シェッフェ多項式」と呼ばれる専用の回帰モデルで説明します。この事例では、重要な特性は原料の絶対量ではなくその割合にいずれも依存していますので、RSM から混合計画への変更が成功の鍵であることがわかります。図4に示すの混合計画をご覧ください。

図4:シーリング材に関する3成分の実験計画

 

事例2:「有効」な原料に対する「海のような」充填剤

私の同僚 Pat Whitcomb は、フラットパネルが普及する以前にテレビで使用されていたブラウン管 (CRT) 上に様々な色を生成する「ドーパント」と呼ばれる化学物質の組み合わせを研究していたことがあります。これらは、100億分の1の量で不活性充填剤 (inert filler) に混合するものです。実験者は、当然のごとく要因計画を実施するだけでドーパントの計算を行っていました。しかし、この原料の比率が色に依存することから、残念ながらこのアプローチでは失敗します。青1と黄1の混合と、青2と黄2の混合を考えてみてください。どちらの方法も結果は緑になります。Pat は、この CRT 開発者に実験結果を混合モデルを使って分析しなおすよう助言しました。残念なことに、この問題を解決するための適切なツール (すなわち混合計画) の採用が見送りとなったため、この実験者は、成分の最適な組み合わせの解明がうまくいかず、その結果、成功は限定的なものにならざるを得ませんでした。

 

まとめ

製品開発において多数の化合物と直に取り組み、多数の実験者を支援する化学技術者であろうとするうちに、“filler” (充填剤) という語が矛盾していることに気が付きました。こうした素材は、何らかの機能を発現しない限りレシピに含まれることはありません。含まれるとしても、極めて強力な活性を有する原料の希釈を保つ場合のみです。

また、Parts (割合) によって混合するアプローチでは、バッチ毎にその総量が異なってくるので魅力的ではありません。容量を同じにしないといけないので非常に不便です。私なら、総量を固定してから混合計画を使用する方を選びます。Design-Expert ソフトウェアなら、化合物のスイートスポットを見つけるのに簡単で最も有効な手段となります。

—Mark Anderson, mark@statease.com

 

追記:化合物の合成実験に応答局面法を使用したいと考えている方は、“Applying RSM to Mixtures”, Chapter 11, RSM Simplified, Anderson & Whitcomb をご参照ください。

 

記事原文:

 

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