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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser

食品科学の学者も唸る、
うまいジュースの作り方:混合計画

Mark Anderson 社長

ここ数年間、私は、ノースカロライナ州立大学 (NCSU) のフード・サイエンス Tyre Lanier (タイア・ラニアー) 教授の学生向けに、調合を最適化する混合計画 (mixture design) に関する無償のオンラインセミナーを開いています。セミナーの内容は、ラニアー教授の指導の下に実験室で行われる人工オレンジジュースの開発実習と連動したものです。この NCSU の研究室が最終的に目指すのは、市販のオレンジジュース* と照らし合わせて、以下の官能特性 (sensory attributes) を満足させるジュースを作り出すことです。

学生たちはテイスティングした結果 1 ~ 9 の点数を付けます。このうち点数が5のものは実験用ブレンドと基準との間に違いが無いことを示します。

調査した人工ジュースの成分と範囲 (単位:ミリリットル) は以下の通りです:

  1. Flavor :香味料 (5-25)
  2. Citric :クエン酸 (5-25)
  3. Sucrose :ショ糖 (200-400)
  4. Water :水 (500 ml の混合容器を満たすのに要する残りの量)

上記パラメータを Design-Expert ソフトウェアの Mixture タブにある optimal design-builder (最適計画ビルダー) に入力すると、試行数 20 の調合計画がデフォルトで作成されます。これは2次 (quadratic) モデル (シェッフェ多項式) を当てはめるロバストな実験です (適合度点5つと反復点5つを含む)。しかし、クラスの時間的制約もあり、試行数 16 の調合最適計画をラニアー教授は選びます。問題ありません!図1に示すように、この実験はその役目を立派に果たしました。

図1:最も望ましい結果。素晴らしい一致!

 

ご覧のとおり、NCSU の食品科学の学生は、自分たちの力で基準の官能プロファイルと完全に一致するオレンジジュースを味見したのです。

実にすばらしいスタートです。しかし、私はもうひとつ別な問題を彼らに与えました。原料の中でも非常に高価な成分、すなわち、人口香味料の量を減らすことで製造コストを削減できるかどうかという問題です。図2に示すのは、この目標を条件に加えたときの結果です。

図2:香味料成分の最小化によるコスト削減

 

クエン酸と砂糖をわずかに増やすことで、味覚の大部分を誤魔化せることが分かります。この一致の精度 (Desirability 値) はやや落ちますが、オリジナルの (高い風味を生み出す) 原料コストを 20% 引き下げるには、まずまずのトレードオフだと思います。

図3: 香り高いオレンジジュース

 

本題は、以上でおしまいです。しかし、その後、私は標準偏差を官能評価に含めることで新たな事実を発見しました。クエン酸の量を増やすほど、オレンジらしさ (orangeness) についての感じ方がそれだけ大きく変化するのです。従って、このことを考慮して調合をいじり回していたら、価格削減についてもう少し慎重になっていたでしょう。クエン酸と砂糖でオレンジ風味を置き換えても中には誤魔化せない人がいるので、そのことがかえって逆効果になる可能性があるからです (図3のオレンジジュースの例を参照)。

話は変わりますが、こうした経費削減の苦労を失敗させない秘訣をラニアー教授がこっそり伝授してくれました。それは、オレンジ色をもっと濃くすればいいというものです。なんてズル賢いフード・サイエンティストなのでしょう (;_;。

–Mark Anderson, mark@statease.com

 

*彼らが対照に使用したジュースの製品名は具体的には分かりませんが、若いころの定番 Tang であればいいなと思います。宇宙飛行士のジョン・グレンも飲んでいたというので私もそれを好んで飲んでいました。

 

最適化ラーメンの確認実験

前回の Stat-Teaser (Sept 2012) で、我々は不景気な気分を吹き飛ばす方法を紹介しました。ラーメンのレシピに関する大いなる試食です (ある意味で (^_^;)。我々は、以下に示す4つの因子について最適なラーメンの仕様を突き止めました:

  1. Water Amt :水の量 (g)
  2. Cooking Time :調理時間(s)
  3. Brand :ブランド
  4. Flavor :風味

全体平均の味覚としての最適条件は、水 367 g、電子レンジ 250 秒のセッティングであることが分かりました。ブランド名を明かさなければチキン風味が最も好まれました。どちらのブランドも等しく条件を満たし、市場原理によってこの経済的食品の低価格が維持されることもあるので、みなさんがお好みのブランドをそれぞれお選びいただければ良いと思います。

この最適条件は、Design-Expert® の Numerical optimization tool (数値最適化ツール) を使って見つけ出したものです。我々が設定したのは、平均的味覚を Maximize (最大化) する目標値だけです。最適条件が見つかった後は、これらの結果を確認するために確認実験を施行することが重要になります。正にこの目的を果たすために追加された新しいツールが Design-Expert には用意されています。Confirmation ノードがそれです。

モデルを確認するには、最適化された設定条件で実験を行い、その後、得られた結果がモデルで予測されたものと一致しているかを確認します。Design-Expert では点予測 (point prediction) だけでなく、予測を調整するためにその点予測の周囲を囲む統計的区間も用意されています。いずれにせよ、経験ある技術者なら、誰もが同じ設定で実験を行っても、結果は毎回異なるものであることをご存じでしょう。

Design-Expert の Confirmation ノードでは、ユーザーが作業できる範囲として補正区間を計算します。既に Numerical optimization (数値最適化) が実行されていれば、その解があらかじめ読み込まれています。Confirmation Tool (図1)では、実行したい確認実験の回数を入力します (我々は n=3 にしました)。レポートされる予測区間は、この確認実験の回数に応じて調整されます。

図1: Confirmation Tool

 

表1は、実験後に我々が実行した3回の確認実験についてレポートされた点予測と予測区間 (PI) を示します。結果の平均は、麺重量の増分 (noodle weight gained) については 160.2%、平均味覚 (average taste) については 8.2、平均食感 (average crunchiness) については 4.0 でした。簡単に比較できるように、この結果を表1に1列追加しました。ご覧のとおり、この結果は Confirmation ノードで求めた予測区間の範囲にうまく収まっています。実験は成功です!

表1:確認実験の結果

 

ここで、最も量的に変化する応答 (麺重量の増分) に注意すると面白いことが分かります。予測から最も遠ざかっています。Avg. Taste と Avg. Crunchiness については、ほぼ正確に予測値と一致していますが、麺重量の増分も予測に近いものです。恐らくこれは、味覚のテスターが自分たちは最適な味覚実験を採点するのだという先入観を持っていることによるものでしょう。実際、我々はこのようなことが偶然に起きないように計画を立てました。

採点付けに先入観が働く可能性を理解していれば、最適設定の確認実験だけを行うことはなかったでしょう。テスターの公正性を保つために、我々は別な点を無作為に散りばめました。悪い、もしくは、可もなく不可もないラーメンのテイスティングを作成するためです。実際に我々は、最適条件が3つしかない7回の確認実験を完成させました。これら3つの実験の平均が、上記の表1に記載してあるものです。

テスターに公正を保持するよう確認しても、彼らは予測値に合致する良い仕事をしました。これは4人の別なテスターを使ってその平均をとったという事実によるものです。我々は、誰もが合意し試すことができる定義済み採点スケールと、強力な予測モデルも用意しました。我々のモデルで確認すれば、食費を安価に済まそうと決意したとしても、少なくともお金で買えるラーメンを最も最適な状態で食べることができるようになるはずです。

–Brooks Henderson, brooks@statease.com

 

 

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