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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser

不況に耐える最適なレシピ

この記事を読んでいるほとんどの方は大学に進学し、わずかな予算で暮らした経験をお持ちでしょう。それは、どのエンジニアや科学者も通る道です。ラーメンは、そのように限られた予算で過ごす大学生の主食として、なじみ深い食べ物です。わずか 20 セント払うだけで、380 カロリーの食事ができ、さまざまな味を選択することができます。それは、チキン、クリーミーチキン、ローストチキン、ビーフ、ポーク、チーズ、シュリンプまで … 選択肢に限りはありません!

John は、Stat-Ease 社に最近入社した新人プログラマーです。大学を卒業したばかりの彼は、いまだにこの費用対効果の高い食事になじんでいて、実のところ週に 2~3 回は昼にラーメンを食べています。DOE (実験計画法) のワークショップをすべて受講し、彼は是非とも自分の新たなスキルを実践してみたくなりました。彼のお決まりの食事をもっとおいしく調理する方法はないだろうか?根っからの実験者である私は、この機会に飛びつき、何人かのプログラマーを率いてブレインストーミングを行い、DOE を計画して実験を実施しました。そして、この面白い取り組みから得られた結果は、すべての大学生の夢 – パーフェクトなラーメンの調理法でした!

図 1: ラーメンの味の評価者。左から右へ Brooks Henderson、Joe Carriere、John Dennis、Hank Anderson

 

私たちは、ラーメンの味と調理時間に影響を及ぼす要因についてブレインストーミングすることから開始しました。ラーメンの味と歯応え (食感) を評価したいのは確かでしたが、麺の出来栄えを定量的に数値で示して判断できるようになることも望んでいました。多くの可能性を却下した後、ついに目的に達しました。私たちは、どのくらいの水分が吸収されたかを確認するため、調理の前と後で麺の重さを量りました。そして、これが麺の食感とよく相関していることが判明したのです。また、後述するように、この反応から予想外のことが分かりました。

ブレインストーミングの結果、次の 4つの因子に絞込みました。

  1. 水 – 240 から 720 グラム
  2. 調理時間 – 60秒 から 300秒
  3. ブランド – Maruchan® (マルちゃん) vs. Top Ramen® (トップラーメン)
  4. 風味 – ビーフ vs. チキン

評価項目は、1) 味、2)食感、3) 麺の重さの増加量 (元の麺の重さのパーセンテージとして測定) としました。最も影響力のある要因のみに絞り込んだので、それに最適な応答曲面計画 (RSM) を使用することにしました。この手法は非常に柔軟で独自の設計が可能で、どのような計画空間や制約にも適合させることができます。選択したモデルに最も適した動作がソフトウェアによって選択されます。

すべての応答曲面法の計画で、“どのような応答表面になるだろうか?” ということを自分で考える必要があります。それによって、計画モデルを決定します。今回の実験では、私たちは味と食感の応答は緩やかに傾斜した面になるか、最大まで上昇し、ある時点で低下するであろうと予測しました。その場合、シンプルな一次 (Linear) または二次 (Quadratic) モデルで十分なので、デフォルトの二次 (Quadratic) 設定を使用します。しかし、麺の重さの増加に関しては話が別です。麺がどのくらいの水分を吸収するかについて考えるのであれば、電子レンジ内に置かれている時間が長ければ重さが上昇しますが、要点はこれだけになってしまいます。そして、結局のところ、飽和して麺の重さの上昇は横ばい状態になります。使用する水の量に関しても同様です。水の量が増えるほど飽和が加速し、それによって麺の重さの増加につながります。

この横ばい状態を近似できる最もシンプルなモデルは三次多項式 (Cubic) です。そのため、モデルを指定して最適な計画を構築する際、デフォルトの二次 (Quadratic) モデルに A3 と B3 の項を追加しました。

図1:麺の重さの増加の交互作用プロット
図2:平均の散布図。味 vs. 麺の重さの増加

 

図1 の交互作用プロットでは、水の重さの増加 vs. 水分量と調理時間を示しています。必要な三次 (Cubic) モデルに補正を行いましたが、(B3 ではなく) A3 のみが有意であると判明しました。図1 では、三次 (Cubic) モデルが横ばい状態に達しているのを示しています。プロットを右から左に見るにつれて反応が横ばいの地点まで上昇しています。負の傾きは、私たちの予想とは逆でした。

実際、使用する水が少ないほど麺の重さが増加して調理時間が長くなります。これは、現に今、データを得て、理にかなっていることがわかります。水を多く使うほど、電子レンジには加熱する水分子が多く存在し、沸点に達するまでの時間が長くなります。水が少ないと加熱する質量が少なく調理時間は全体的に短くなります。私は、チップスに細切りチーズをのせて電子レンジで溶かし、“quick nachos (クイックナチョス)” をはじめて作ったときのことを思い出しました。チーズは 15秒で焼けたのに、ほとんどのものはさらに長い時間、電子レンジで調理する必要がありました。質量が少ないほど、調理時間が短くなります。私たちの実験では、常に水が過剰だったため、水が多いからといって麺の重さは増加しませんでした。これは実験後に判明したことで、予想外の結果でした。

そして、味の評価は麺がよく加熱されているかどうかいうこととかなり密接に相関していることが分かりました。調理時間が長くなる、または麺の重さが増えるほど、味の評価は高くなりました。これは、Design-Expert®ソフトウェアの ”Graph Columns” ノードで使用できる散布図 (図2 を参照) で確認することができますが、見落とされることがよくあります。これら 2つの応答の相関は 0.729 でした。つまり、麺の重さが増えると味も良くなります。

最高の味のラーメンはこのように十分加熱されたものであること、そして水分が多くなるにつれて調理時間も長くなることが分かったので、水の量が少なくても最高の味のラーメンが作れたことは驚きではありません。調理時間も長いほうが望ましいですが、それは最大値の前にピークに達しました。私たちにとって最適なレシピは、水 367g (1.6 カップ) および、電子レンジで 250秒での調理でした。

そして最後になりましたが、どちらのブランドと味が最も私たち試験者に好まれたでしょうか?チキン風味のラーメンが平均的に好まれ、2つのブランドで同等でした。しかし、ビーフ風味では、一方のブランドが際立っていました。メーカーが混乱するリスクを避けるため、これに関しては私たちの胸に秘めておくことにします。このように、実験計画法によってお気に入りのブランド選択することができるのです。そして、私たちは分かっています。この記事を読んだ後、あなたは早くラーメンの袋をパンと割って思い出をたどる旅に出たくなってしまうことを…。

–Brooks Henderson, brooks@statease.com

 

DOE (実験計画法) を始めるには?

実験計画法を成功させるには、事前準備 (計画) が必要です。いくつかの事柄を決めておくことで、より適切な計画を選択することができます。まずは、実験のプロセスや生成物について知識を持った人を 4~6 名集めてブレインストーミングすることから始めてください。最適な計画を選択するには、以下に示す問いを明確にしておくことをお勧めします。

このプロセスで悩みすぎる必要はありません。これらを一歩ずつ着実に対処していくだけで、いつの間にか実験プロセスや成果に大幅な改善が見られるでしょう!

 

目的および計画のオプション

調査の目的は何ですか?考えられる目的と、推奨する計画を以下に示します:

  1. 有意でない因子を排除し、有意である因子を特定する。
    存在する交互作用効果について何か知識を得る

    黄色 (Resolution IV) でカラーコードされた、Factorial Design (要因配置計画) を使用します。また、Min Run Res IV 計画の使用も検討します。

  2. 主効果を理解し、2因子交互作用について詳しい情報を得る
    白または緑色 (Resolution V) でカラーコードされた、Factorial Design (要因配置計画) を使用します。また、Min Run Res V 計画の使用も検討します。

  3. 素早くトラブルシューティングを行い、即座に結果を得る。
    後から元に戻って実験内容をさらに詳しく探求し、なぜその条件でうまくいったのかを理解する

    黄色 (Resolution IV) または、赤 (Res III) でカラーコードされた Factorial Design (要因配置計画) または、Min Run Res IV 計画を使用します。

  4. 重要因子が応答にどのくらい影響を及ぼすか明らかにする (最適化としての用途)
    すでに重要な因子が分かっているので、Response Surface Design (応答曲面計画) を使うときです。各因子を5水準で実験するには、Central Composite Designs (中心複合計画) を使用します。各因子を3水準で実験するには、Box-Behnken 計画を使用します。存在する因子のタイプおよび適合する多項式に基づき、最適な計画によって、独自の計画を作成します。

  5. 配合の最適化。生成物が混合物、または配合物 (食品製品、製剤、化学成分など) の場合
    Mixture (混合計画) を使用します。この計画では、混合物の総量を設定することができます。ひとつの成分の量が増加すると、総量を一定に保つために、ほかの成分を減少させる必要があるため、各成分の範囲が制約されます。Mixture optimal design (混合最適化計画) は、成分の範囲に対する柔軟性が最も高いため、一般的に広く使用されています。

Responses (応答) と Factors (因子)

実験の目的を決定したら、測定する応答を決定する必要があります。計画の検出力 (power) や精度は、SN 比 (signal-to-noise ratio) を推定して計算されます。詳細については、2008年5月に開催されたオンラインセミナー “The Difference Between Repeats and Replicates in DOE” で使用した PowerPoint のスライド、10ページ以降を参照してください。

因子は注意して設定する必要があります。low と high の水準設定が近すぎる場合、応答は正規分布にしたがうプロセスのばらつき以上に変化しにくくなります。そのため、何度も繰り返さない限り、重要因子を発見することはできません。また、low と high の水準設定が離れすぎている場合、この因子の組み合わせによる結果は測定不可能となることがあります。しかし、これは最良の結果を出すチャンスでもあります! DOE (実験計画法) では、何回か失敗を経験することによって、最良の結果を出す方法が分かるのだということを忘れないでください。

ここで説明したトピックに関しては、これまでの「Stat-Teaser (ニュースレター)」 および、Stat-Ease 社が定期的に開催しているオンラインセミナーで取り上げられています。これらは、次のリンクからアクセスすることができます。

実験計画法の始め方について詳しくは、『DOE Simplified』 および『RSM Simplified』 (共に Mark Anderson および Pat Whitcomb 著) を参照してください。これらは、以下のリンクから購入することができます。

記事原文:

 

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