HOME > ソフトウェアパッケージ > 統計解析/グラフ作成 > Design-Expert (デザインエキスパート) > Stat-Teaser > Stat- Teaser 2012/01 号
新規購入お見積
アップグレードお見積

Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser

高度な DOE (実験計画法) ツールで失敗しないクッキー作りを

Andy Sleeper, Successful Statistics, LLC

サクセスフル・スタティスティクス社の社長アンディ・スリーパー氏は、Design-Expert® ソフトウェアのツールを使用して、クッキーを様々な時間と温度で焼き上げるこのおもしろいケーススタディを考案しました。ロバストな計画で誤差の伝搬 (POE) をどのように使うかを説明するものです。

「POE で分析したら、求めていた最適解が見つかりました!」 (Andy Sleeper)

表1は、無作為化された計画を5回反復した 22 (2因子2水準) の要因配置実験の結果です(スペースを節約するために結果は因子の組み合せ4つに簡約化し、標準的な順序で配置しています)。風味 (Flavor) については、リッカート法による尺度で焼き具合のランクを付けています。1 は焼き不足 (raw)、4 は丁度良い (ideal)、7 は焼過ぎ (charcoal) となります。

 

表1:クッキーの2水準要因配置計画で得られた結果
A:Time
(min)
B:Temp
(deg F)
Flavor
(Likert)
8 325 2, 2, 2, 2, 3
12 325 4, 5, 4, 4, 5
8 375 2, 3, 2, 3, 3
12 375 7, 6, 5, 7, 7

 

アンディはとある講演 (*) でこのデータを使用して、ロバスト性が最も高い (失敗のない) 調理法を交互作用を使っていかに選び出すことができるかを説明しました。図1の半正規プロットをご覧ください。AB の選択で、純粋誤差 (偶然誤差) をあらわす▲が一直線上に揃うことを確認できます。実際、交互作用 AB は ANOVA (分散分析) で p<0.05 と有意です。

 

図1:交互作用を明らかにする効果の半正規プロット

 

このモデル (A, B, AB) の等高線をあらわしたのが、図2のグラフです。

図2:理想的な風味に赤線を付けた等高線プロット

 

アンディは、理想的な 4 の値が連なる線 (リッジ) をグラフで確認しましたが、それでは、その中から一体どのようにして時間と温度の理想的な組み合わせを突き止めれば良いのかと思案に暮れていました。表2に示すように、彼は2つの因子 (Time と Temp) の標準偏差を入力し、POE (誤差の伝搬) を適用することで、その答を Design-Expert で明らかにすることができました。図2でフラッグの立った地点、すなわち、Time = 10.83 分と Temp = 332.90 °F がその答です。

表2:2つの因子の標準偏差の入力と ANOVA で算出された Flavor の標準偏差

 

アンディは、最もロバストな (POE が最小となる) 解が、時間と温度に対する相対的な制御によって変化することを学びました。クッキーを焼くための最適条件が一方の端から他方の端、あるいはその中間になるのは、こうした相対的な値 (標準偏差) 次第なのです。アンディは語ります「これで納得しました。これが実にパワフルなものであり、そして、こんなことができるソフトウェアは今までに見たことがない。このことは今度のプレゼンテーションで付け加えるつもりです」と。

—Mark J. Anderson, mark@statease.com

*“Robust Design Simplified,” ASQ Lean Six Sigma Conf., 2008 , andy@oqpd.com

 

POE に関する付記:誤差の伝搬 (POE) による手法は、応答のばらつきを最小化するセッティングを見い出します。プロセスや製品はこれによって、入力因子のばらつきに対してよりロバストなものになります。POE 法の内実は、応答曲面上にできるだけ高い平坦域 (プラトー) となるような平らな領域を配置する偏導関数の適用に関連します。数学的な詳細については、Whitcomb と Anderson が 50th Annual Quality Congress in 1996 で発表した論文 "Robust Design—Reducing Transmitted Variation" をご覧ください。

 

エンジニアの実用的観点からみた実験計画アルゴリズム

(本アーティクルは、2010年秋季に開催された Technical Conference の Whitcomb と Wayne Adams によるShewell Award プレゼンテーションをベースにしています。)

良い応答曲面計画は、統計学的条件だけでなく研究の目的をも考慮します。「アルファベット的な最適性だけでは不十分なんです!」と Pat と Wayne は指摘します。彼らは D 対 I 対その他のアルファベットで表記される計画尺度に関するディベートを引き合いに出して言います。

Pat と Wayne のアドバイスを展開する前に、最適化 (optimality) の問題について話をはじめます。我々の Design-Expert® ソフトウェアには幾つかの選択肢が用意されていますが、デフォルトで設定されているのは、以下に示す2つのいずれかです:

図 1a: D-optimal 計画の 14 点
図 1b: IV-optimal 計画の 14 点

 

もしも実験者が純粋にこれらの規準に基づいた実験を計画したいのであれば、係数を最良に見積もるか (D-optimal)、予測分散を最小にするか (IV) いずれかのオプションで不正操作を加えることになるでしょう。しかし、いずれの計画も、仮定モデルの充分性の評価に必要な情報を提供しません。

ここに来てはじめて計画の「実用的 (practical)」見地が登場します。純粋に「アルファベット的な」スタンスでは決して考慮されない重要な2つのタイプの点があります:

不適合度 (Lack-of-fit) 点は、モデル点の「中間 (inbetween)」に位置します。これらを使って仮説モデルの妥当性を検定できます。例えば、仮に線形を選択して、モデル点が領域外に移動したら、計画空間の中心は LOF 点にとって良い位置となります。もちろん、lack-of-fit 点によって最適性規準は下がりますが、エンジニアの観点からすればこれは良いトレードオフの関係になります。図 2a と 2b をご覧ください。オリジナルのモデル点の 4つ (D と IV それぞれ) が lack-of-fit 点として選ばれ、どのように移動して全体の散らばり方を変えているかを示しています。

図 2a: D-optimal 計画の 10 点と
LOF の4点
図 2b: IV-optimal 計画の 10 点と
LOF の4点

 

反復点は、モデルの仮説とは独立した、系統の「純粋」な実験誤差を見積もる計算ができるようになります。この純粋誤差は、不適合度の検定に必要な規準を提供します。Design-Expert は、この検定を達成するのに十分な反復回数をデフォルトで提案しますが、予算を吹き飛ばすほど多い試行数ではありません。

それでは、分かり切った質問に答えることにしましょう:D と IV のどちらの最適性規準がベストな選択か?我々は、 Design-Expert のデフォルト設定を通じて実験者が D で最適な要因を配置できるよう提案します。この基準は、スクリーニング用途として最も重要なモデル係数にもっとも正確ににあてはまるからです。一方、応答曲面のためのデフォルトの最適性基準は IV です。この基準は、モデル予測をもっとも正確に見積もるからです。

以上をまとめると、アルファベット的な最適性では、以下の技術的課題を乗り越えるのが困難です。

Design-Expert は、これら現実世界の問題すべてに対処することはできませんが、不適合度 (Lack-of-fit) と反復 (replicate) 点による最適計画を補強する提案によって実用的な面で必ずお役に立てるはずです。Stat-Ease 社のスタッフ一同を味方に付けることで、2012 年が皆様にとって良い年となりますよう願うばかりです。

—Shari Kraber, shari@statease.com

**“FDS—A Power Tool for Designers of Optimization Experiments”, 9/08, Stat-Teaser.

 

記事原文:

 

関連情報: