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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser

飛行競技を通じた実験計画法の体験学習

Stat-Ease 統計学担当の
ブルックス・ヘンダーソン先生

先日、サウスダコタ州立鉱業工科大学 (SDSM&T) の化学工学系の学生向けに実験計画法 (DOE) の授業を開催しました。毎年恒例で開催されるこの授業を私は毎回楽しみにしています。若くて知識欲旺盛の学生と一緒にいると、知的好奇心を掻き立てられないときはありません。授業を締めくくるメインイベントは、「ヘリコプター・フライオフ」大会です。学生はここで、自分たちの威信をかけてヘリコプターの飛行性能を競います。

今年のフライオフの最終結果を報告する前に、授業の背景を手短に紹介しておきましょう。この授業は、特別なプロジェクトのもとに2部に分けて開催されました。プロジェクトの最終目標は、最も性能の高い紙製ヘリコプターを作り上げることです。学生は紙製ヘリコプターを別々のチームに分かれて作成するよう指示されます。作成するヘリコプターは、もちろん、昔からあるものであってはいけません。DOE の厳しい試験を耐え、最適な飛行特性を備えた選り抜きのヘリコプターであることが求められます。

図1:飛行中のヘリコプター。このヘリコプターは二階から落下させたものです。

 

学生は、まずはじめに Design-Expert® ソフトウェアで DOE をセットアップし、自分たちの考えたアイデアをテストします。続いて、その結果を分析します。最後に、そこで得られた結果を使って、飛行性能試験に耐えるようヘリコプターの特性を最適化していきます。フライオフ大会は互いに打ち解けた雰囲気で行われ、プロジェクトに参加する学生たちのモチベーションを高めます。この競技で目指す目標は2つあります。一つ目は、出来る限り長時間重力に逆らう (すなわち「飛ぶ」) ことです。二つ目は、正確であることです。つまり、標的 (フロアに青いテープで×印を付けたところ) まで、ブレずにまっすぐ飛んで着地することを目指します。フライオフのスコアを集計する計算式はシンプルです。飛行時間 (単位:秒) に 10 を掛けて、標的から外れた距離 (単位:インチ) をその数量から差し引きます。各チームは、それぞれ3回ずつ投下をおこない、その中から最も高いスコアを競います。このプロジェクトとその後の競争は、教育ツールとして大変素晴らしいものです。授業で習った DOE 理論の適用を、学生はこれによって身を持って体験することになるからです。

学生は、DOE の設定と分析に関する多くのレッスンを学びます。さらに良いことに、参加者はあらゆる「落とし穴」を体験し、また、実験の準備段階から試行に至るまでに必要とされる事前の注意を実際に学習します。ディスカッションにふさわしいテーマは、プロジェクトそのものから生み出されます。例えば、使用するのに最も適切な測量は何か?どうすれば結果の一貫性と測量の精度を確保することができるか?予期せぬ結果をもたらす特殊な要因はなかったか?などです。これらはいずれも、あらゆる実験で避けては通れない重要な問題です。

今年の授業では、競争を白熱させるために基準を引き上げることにしました。飛行体を落下させる場所を、高さ8フィート (約2.4m) のはしご台から、高さ 19 フィート (約5.8m) の二階席に変更したのです。この変更による違いは明白です。落とす位置を高くすることで、単に2秒間落下し、数回スピンするかわりに、ヘリコプターは実際に空を飛んでいるかのように落下します。

落下させる位置を高くしたことで、ためになる疑問がいくつか生じました。例えば、飛行時間を延ばすことで、精度に負の影響が出るだろうか?我々は競技の途中にそんな疑問を抱きました。空調システムのスイッチが入れられ、巨大な扇風機が音を立てて廻り出しました。ヘリコプターは風に吹き飛ばされて目標とする着地点から離れてしまったり、上昇気流に乗って飛行時間が延びたりするだろうか?もしそのような影響が出るのであれば、参加チームすべての条件を同じくするために、どのようなことをすればよいだろうか?

私は、落下させる高さを19フィートに引き上げたことで、計算式の見直しも考えましたが、今年の授業ではそれは見送ることにしました。現在、手元には実験データが集まっていますので、それを分析して、式の変更が必要かどうかを後で調べることにします。私はいつも物事をちょっとずつ改善していくのが好きなんです。何か新しいことにトライしなければ、そもそも実験する意味なんてありませんからね。

 

実験結果

検定する因子に関して、学生から良いアイデアがいっぱい出ました。とりわけ準優勝したスリザリン・チームの DOE は、目立った業績を残しました。彼らは、5つの因子を試行数 25 の完全実施計画で検定して、他のチームを大きく引き離し、最も精度の高いヘリコプターを作りあげたのです。このうち2つの因子、すなわち、Paper Wt. (A:紙の重さ) と Tape Amt. (B:テープの量) は、精度に関するものです。2つの関係を示したのが、以下の図2です。2つの因子は、精度の向上に役立つものかも知れませんが、飛行時間には悪影響を及ぼします。このプロットは、Tape Amt. (B) と Paper Wt. (A) の間に有意な交互作用があることを明白に示しています。赤のラインを見てみましょう。これはテープの使用量が多い場合ですが、紙の重さは飛行時間に影響しないことを示しています。しかし、テープの使用量が少ない場合は (黒のライン)、紙の重さを軽くするほど飛行時間を伸ばすことができます。飛行時間と精度の間にはトレードオフの関係にありますが、これこそ DOE を使って最適化すべき問題なのです。

図2:Design-Expert で作成した飛行時間 (Flight Time) と紙の重さ (Paper Weight) の関係をあらわす交互作用プロット。

 

今年のフライオフ大会で優勝したのは「空中襲撃」チームでした。彼らは総合スコア 55.78 ポイントを獲得し、過去の最高記録 32.61 ポイントを見事に撃沈しました。もちろん、落下する位置の高さを変更したことで、飛行時間に関して言えば、これまでの授業に比べれば大幅に有利になったと言えるでしょう。精度が多少落ちても、飛行時間の伸びの方が大きいからです。統計的な実験を計画した全てのチームの成績は、 1チームを除いて、私がその場しのぎで作ったヘリコプターのスコアを完全に上回るものでした。私の作ったヘリコプターは、DOE の恩恵は全く受けていません。技術的なカンと僅かな実験をたよりに作成したもので、獲得したスコアはわずか 33.69 ポイントに過ぎませんでした。エンジニアがどんなにカンや経験知識を働かせても、適正に計画された一連の実験にはかなわないことが実証されました。自分の知識をいくら駆使しても、期待できるのはせいぜい現在までの自分です。だから私は言うのです「実験データを見せなさい」と。

—Brooks Henderson,
brooks@statease.com

追伸:フライオフ大会の模様を撮影したビデオを 5月10日付けの Stats Made Easy ブログでご覧いただけます (http://statsmadeeasy.net/2011/05/video-of-paperhelicopter-fly-offs-at-south-dakotaschool-of-mines-technology/)。

SDSM&T 2011 Flyoff

追々伸:紙製ヘリコプターの実験は、DOE のスキルを培うのにすばらしい方法です。この実験を含む自分でできる実験に関するリストは次の文書をご覧ください。DOE It Yourself : Fun Science Projects compiled by Mark Anderson, Principal at Stat-Ease. スポーツファンとしての私が特に引きつけられるのは、“Tabletop Hockey” と “Golfing” の実験です。リストにはたくさんの実験が掲載されていますので、一度ご覧になってください。スキルをアップする面白い実験が必ず見つかるはずです。

 

記事原文:

 

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