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Design-Expert (デザインエキスパート)
Stat-Teaser

一般的な要因配置分析をもっとみんなに広めたい:
V8 の優れたツール

今年に入って早々、麻などの植物から得た天然繊維の特性を研究されているドイツ人科学者からお問い合わせをいただきました。彼の専門分野は高性能複合材料です。彼が Design-Expert® を使って調査したのは次の3つの因子です。

Mark Anderson 社長

これは、3 x 3 x 4 の要因配置です。こうして挙げた変数を使って統計的に有意な影響があることを明らかにした研究成果は、もちろん論文として発表されます。しかし、校閲に協力した同僚のひとりから、次のような異論を唱えられたそうです。他の因子よりもカテゴリ数の多い因子があってもいいのか、つまり、4品種のうちいずれかひとつを分析から除外して、33 (完全3水準要因配置) 計画にこの実験を配置し直すべきなのではないかと。

ドイツの材料学者が誤解したこのような件があったものですから、私はこれから「一般的な」要因配置について話をしたいと思います。もちろん、すべての因子のカテゴリ数を同じにする必要は「全く」ありません。もっと詳しく知りたい方は、DOE の教祖的存在 Douglas C. Montgomery の著した教科書 Design and Analysis of Experiments, 7th Edition (Section 5.4) にある論文 “The General Factorial Design” などをご参考にしてください。要因配置の多くは、 2k とか 3k の「バケツ」の中にスッポリ納める必要はありません (k は因子数をあらわします) 。でなければ一体何を除外せよと言うのでしょうか?

Stat-Ease の製品は、一般的な要因配置のあらゆる組み合わせに対応できます。また、部分的な試行しかできない実験であっても、最適な計画を構築することでこれに対応することができます。Design-Expert のバージョン 8 では、効果の選択に半正規プロットが利用できるようになったため、こうした様々な計画を今までになく簡単に分析することができます (従来は2水準要因配置のみに対応していました)。例えば、図1のスクリーンショットをご覧ください。これは、5種類の木材を5種類の接着剤で付ける実験を試行した例で、使用する装置が2種類、留め具が4種類、圧力が2種類という要因が含まれています。この中のどれが重要な効果かは、グラフを一目見ただけで分かります!

図1:5x5x2x4x2 の一般的要因配置計画の効果をあらわす半正規プロット

 

Stat-Ease 社のコンサルタント Pat Whitcomb とアドバイザーの Gary Oehlert が考案したこの画期的な発明について、統計学的にもっと踏み込んで知りたい方は、2007年秋季技術会議(米国品質協会と米国統計協会による共催)の Shewell Award でプレゼンテーション大賞を受賞したスライド “Graphical Selection of Effects in General Factorials” に詳しい内容が書かれています。ここでは、この半正規プロットを Design-Expert で実際にどのように活用するのかを手短に紹介することにします。

 

バネのおもちゃに関する3因子の実験

Pat と私が共著した本 DOE Simplified (Chapter 7, “General Factorial Designs,” pp 138-143, Second edition, Productivity Press, 2007) の中で取り上げている実験のひとつに、子供(私の娘)と大人(私)のどちらか一方が、4種類のバネのおもちゃ (このうち3つは Slinky® 社製) を各種傾斜 (2水準) の坂で走らせるという事例があります。我々は、4x2x2 の組み合わせからなる合計16回の実験を無作為順に並び変えてそれぞれ実行し、バネのおもちゃが坂を「歩いて」下りるのに掛った時間をその応答 (response) としました(バネのおもちゃ「スリンキー」が階段や坂を下りるのをご覧になったことがない方は、YouTube に行って、"Slinky" で検索してみてください。懐かしのテレビ CM が見つかる筈です)。

Stat-Ease のソフトウェアのバージョン 8 がリリースされる以前は、分散分析 (ANOVA) に供する効果を選択するために表1に示すような二乗和 Sum of Squares (分散の尺度のひとつ) の一覧表をまず作成するという面倒な繰り返し作業を行う必要がありました (具体的な手順については DOE Simplified をご覧ください)。

表1:バネのおもちゃに関する実験の分散をあらわす一覧表
Term DF Sum of
Squares
Mean
Square
 A    3    18.68    6.23  
 B    1    2.91    2.91  
 C    1    0.33    0.33  
 AB    3    0.88    0.29  
 AC    3    1.03    0.34  
 BC    1    0.014    0.014  
 ABC    3    1.71    0.57  

 

Pat と Gary による発明のおかげで、退屈な数字の道を降りてゆく必要はもうありません。図2をご覧ください。半正規プロットのあらわす画面がすべてを物語っています。

図2:バネのおもちゃに関する
一般的な 4x2x2 要因配置実験で得られた効果の半正規プロット

 

私が紹介したかったのは、これで全部です。つまり、この半正規プロットが効果の選択に実に役立つということです。当然のことではありますが、因子 A と B の2つの主効果は、統計学的に有意となります (p<0.05)。

図3をご覧ください。最終的にバネの挙動は、物理学的に予測されるのと同じ結果となりました。

図3:渦巻き状バネの歩行時間に関する有意な効果の3D 応答局面

 

Stat-Ease のソフトウェアでこうした実験が手軽にできるようになったことを何よりもうれしく思います。また、私も娘も等しく Slinky 遊びの達人になれるということが統計的にも明らかとなり胸を撫で下ろしました。このおもちゃが老若男女を問わず楽しめる訳です。

 

—Mark Anderson, mark@statease.com

※ Slinky は Poof-Slinky, Inc. の登録商標です。

 

従来の計画法に代わる現代的手法

実験計画法は、製品や製造工程の継続的改善に活用されるべき様々なツールのひとつです。しかし、いざ利用しようと思っても、選択すべき計画手法が今やあまりにも多すぎて、どれから着手しようかと迷っているうちに、結局、お手上げ状態になってしまうことも良くあるのではないでしょうか。オーソドックスな一部実施要因計画 (fractional factorial) を選ぶべきだろうか?それとも、"Minimum-Run Resolution V " (最小試行分解能 V ) などと見慣れない名前の付いた計画のどれかひとつを選ぶべきだろうかと?その長い名前を見ただけで怖気づいて、結局、使い慣れた計画に戻ってしまう人も中にはいるぐらいです!この記事では、目的に適った計画を正しく選択するためにぜひとも参考にしていただきたい内容を紹介します。

それでは、まず、従来型の計画法と現代的手法とを比較してみましょう。

オーソドックスな一部実施要因計画は、様々な種類があらかじめ用意されていますが、原則として、計画の分解能 (resolution) に従ってその名前が付けられています。分解能 IV 計画 (Design-Expert® ソフトウェアでは黄色で表示されます) は、主効果の価値をきちんと評価しますが、それぞれの2因子交互作用 (2FI’s) は評価しません。この計画法は、スクリーニングに適しています。分解能 V 計画 (Design-Expert® ソフトウェアでは緑色で表示されます) は、主効果と2因子交互作用 (2FI’s) の両方の価値をきちんと評価します。この計画法は、処理の特性をより完全に評価する素晴らしい道具です。

図1:Design-Expert v8 の Design タブ

 

それでは、最小試行分解能 IV (“Minimum-Run Resolution IV: MR4”) や V (“MR5”) 計画にしかない特徴とは何でしょうか?これらはいずれも非直交配列です。つまり、係数が標準的な値とは異なる 1.0 以外の値を取ることによって、エイリアス化されたパターンにやや乱れが生じるということです。効果の評価には、極めてわずかなバイアスがかけられることになり、そして、モデルに選択された他の項からの影響も受ける可能性があります。このことが分析を比較的躊躇させる理由ともなりますが、Design-Expert v8 を使えばこうした不安を払しょくして、この計画法を安心して取り扱うことができます。効果の選択を半正規プロット上で進めていくと、残りの効果は自動的に再計算され、プロット上に再配置されてゆきます。つまり、ある効果を選択しながら、それによる影響をリアルタイムに確認していくことができるのです。

では、分析に不確実性が含まれる場合、どの計画オプションがいいでしょう?頭を悩ますことはありません。MINIMUMRUN (最小試行) 計画があるではないですか!実験の試行コストと、効果の評価に含まれるわずかなバイアスとの間にはトレードオフの関係があります。一般的な一部実施要因計画が予算に見合い、実験計画法の条件を満たしていれば、もちろん、それを実施するに越したことはありません。しかし、わずかな試行回数を加えるだけで、分解能の低い計画 (III または IV) から最小試行計画 (IV または V) に移行し、追加コストを低くおさえながら、より多くの情報を得ることができる場合もあります。

中心複合計画 (CCD: central composite design) は、従来から応答局面法で利用されている手法で、予測可能な構造 (各因子毎に5水準) からなるものです。これは実際の因子設定の中にある変動に対して堅牢性を有します。つまり、ある実用的な価値を達成するために軸の走行を調整する必要があっても、2次モデルの適切な回帰曲線を求めることができます。それが問題に当てはまるときは、最善の計画となります。

最適計画 (Optimal design) は特別仕様の “custom” 計画オプションで、これにも D、IV (アイブイ)、A、G などとスープ風味のような各種アルファベットの名前が付いて用意されています。カスタム仕様の最適計画は、中心複合計画に比べて試行数が少なく済む場合が多くあります。この計画法はコンピュータアルゴリズムによって生成されるため、因子毎の水準数と計画空間におけるポイントの配置は、計画を構築するたびに変わります。この点は、最適計画の初心者を少し不安にさせるかも知れませんが、最適計画は次のような場面でそれを上回るメリットがあります:

従来の計画は、簡潔で堅牢な解法を提供します。したがって、実験を設計する際はいつでもまず最初にこの使用を検討すべきでしょう。しかし、予算的な制限、あるいは、実際上の計画空間の制約などの理由で従来型の計画がうまく遂行できないことがあります。そのような場合も、“既定の枠組み" から踏み出すことを恐れず、別の手段を検討してみてください。最終目標は、それぞれの問題に即した計画を選び出すことなのです!

 

—Shari Kraber, shari@statease.com

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