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ナノチューブ/ナノ材料の開発に MacTempasX を活用

独立行政法人
物質・材料研究機構 (つくば市)
国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
MANA 研究者 三留 正則 博士
(所属は取材当時のものです)

電子顕微鏡を使った半導体やセラミック、無機材料等の材料構造解析に必須のソフトウェアです。

研究されている内容について教えてください

最先端の電子デバイスに組み込むための、新規のナノチューブやナノ材料の基礎的研究を行っています。ナノスケールの新規物質を合成し、主には電子顕微鏡を使用してその構造や物理、化学特性の評価を行います。

図1:原子識別電子顕微鏡

電子顕微鏡でその構造を撮影し、解析を行うのですが、ナノ材料の非常に興味深い点として、太さや大きさがわずかに変化するだけで、その性質がガラッと変わることが挙げられます。

例えば、BN ナノチューブという物質があります。この物質は通常の鋼鉄の約 20 倍という強度を持ち、あまり電気を通さないという性質を持っています。この性質を利用してフィルムやその他の物質に組み込むことにより強度を高めるといった利用がされます。ところが、この BN ナノチューブは曲げると電気が流れるという性質も持っています。

ここで活用しているのが「‘その場’ 測定技術」です。この技術を使うことによって、電子顕微鏡での測定中に、特定のナノ物質・材料に物理的、化学的変化を加え、その構造や性質をより正確に理解することが可能となります。

ただし、物質の構造が複雑なケースもあるため、電子顕微鏡で撮影した画像の解釈は非常に難しい点です。基本的には撮影した画像と実際の構造は一致しないと考えていただいても良いかもしれません。そのため解釈を行うために、我々研究者は電子顕微鏡像のシミュレーションが必要になるのです。

 

MacTempasX をどのような用途で活用されていますか?

上述した構造のシミュレーションを行うために MacTempasX を使用しています。実際の研究において、例えば電子顕微鏡で撮影した BN ナノチューブの画像から、そのコントラストを使って物質の強度を測定します。その際シミュレーションした結果との比較を行い、シミュレーション通りの測定値(強度)となっているかを確認します。基本的には、シミュレーションした結果を基準としますので、その基準と異なる場合は、測定を行っている材料/モデルの修正を行い、再度測定を行います。

図3と図4は、BN ナノシートとグラフェンと呼ばれるカーボンのナノシートについて計算したシミュレーション像と、その強度ラインプロファイルです。このように、元素の種類が変わると像コントラストに微妙な変化が現れます。しかし、このような変化は、必ずしも元素の違いだけではなく、試料の傾きやレンズの収差によっても引き起こされる可能性がありますので、実験像を解釈する上で、いろいろな可能性をシミュレーションして検討することが重要になってきます。

図3:BN ナノシートのシミュレーション像 (左) とラインプロファイル (右)

図4:グラフェンのシミュレーション像 (左) とラインプロファイル (右)

 

MacTempasX でシミュレーションを行う際、原子位置を入力する必要がありますが、複雑な結晶構造になると、全ての原子位置を間違いなく入力する作業が大変になります。このようなときは、CrystalMaker などの結晶構造モデルを表示するソフトと連携して入力していくこともあります。

図2:CrystalMaker で表示した結晶モデルの例
(左が BN ナノシート、右が グラフェンを表示したもの)

 

MacTempasX を使い始めたきっかけは?

1999年ごろから使っております。当時 MacTempasX 以外にもシミュレーションソフトはあったのですが、どれもベンチャーでの開発が多く、製品化され市販されているソフトは MacTempasX を含め数製品のみでした。その中でも、MacTempasX は関連する論文にも登場していたため、使用することにしました。実は、学生時代にシミュレーションソフトを自作したこともあったのですが、ユーザーインターフェースが備わった MacTempasX の方が使い易さに優れていました。

図5:CrystalMaker の画面(左)と MacTempasX の 画面(右)

 

MacTempasX の便利な機能は?どのような研究者に勧められる製品ですか?

最近、MacTempasX に、フォーカスを変えて撮影された複数の画像を用いて顕微鏡像の解像度を改善する機能が追加されました。この手法は、従来から知られてはいましたが、ユーザーインターフェースの整った MacTempasX のプラグインとして供給されることで、電子顕微鏡像の結像理論を知らなくても、手軽に超高分解能画像を再生することができるようになりました。

透過電子顕微鏡 (TEM) のみならず、走査透過電子顕微鏡 (STEM) のシミュレーションもできるようになっているので、利用範囲はかなり広がっていると思います。電子顕微鏡を使って、半導体やセラミック、無機材料等の材料構造解析を行う際には必ず必要だと思います。

他のシミュレーションソフトと比べた場合、性能に大きな差があるとは思いませんが、インターフェースは非常に使いやすいため、これから初めて電子顕微鏡シミュレーションソフトウェアを使う方にお薦めしたいと思います。

シミュレーションの精度も充分に信頼でき、複雑な構造モデルの解析にも活用できますので、今後の様々な研究でも活躍するソフトだと思います。

(本事例作成に関し、三留博士のご協力に感謝いたします)

(インタビュー:2012 年6月)

 

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